コネクト  創造する世界

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仮想と現実 3日目 熱戦 6

目の前の障害に向かい、ただ超えようと殴りだす。


「ああぁあぁ」


障害として立ち塞がる泥。


「ジャマダァァ」


殴ろうとすれば、


「させないわ」


別の所から妨害が飛んできて、威力が弱まる。


バキンと音を立てて、泥は吹っ飛び、こっちも反動で後ろに後退する。


すぐさま、もう一度殴りかかろうとするが、泥はもう戻ってきてる。


「ちっ」


中々先に行けない。何が難しいかって、【泥がこちらの行動に合わせて必ず守ってくることだ】


フェイントならまだ何とかなると思うが、たまに無言で極限まで反応速度をあげた状態で無慈悲に決めにいくのだが。


バキィ


それに対し、何故か【それに対応し】攻撃に当たる。おまけに衝撃の反動がこちらに伝わってきて、こちらも後方に飛ばされる。何回かチャレンジしてるが全部不発に終わってる。


恐らく、自分の中に入っている泥から情報抜き出してそれで何とか耐えていると思うが、それにしても・・・


「なんでぇ、後方支援なら十分なできじゃないか」


タイミングをずらすためにこちらにバフをかける。泥を使って減衰もしくは軌道を逸らしている。


「これまでの過程よ」


「過程・・・ねぇ」


どんな過程だったかしらないが。


「良い感じにまとまってるじゃないか」


「それはまとまるわね」


もう一度反応をはやくし、殴りかかる。


「いい加減、何回も見てたら流石にわかるわよ」


横から見えている。彼女から泥による妨害が入る。


「こう実際戦って見ると、泥も結構有効なんだな」


「はん、悪くはないだろ」


「あぁ、いいねぇ・・・だが」


覆われた泥が変わっていく。上半身は薄く、下半身は濃く。


「時間が無いんでね。そろそろ攻めさせてもらう」


反応を上げる。


視界がぼやける。動きが遅くなる。周囲が歪む。ぼやけた彼女に目を合わせ、再度飛び出す。


泥が目の前に立ち塞がる。反応をまた上げる。そうして【今回の特性を発動される】


チクタクチクタクと、一定のリズムを刻む。周りはスローモーションだがこちらは普通に動くことができる。


これで・・・


突破できると思ったが、泥が反応する。


泥が攻撃が行う。スローに動くはずの攻撃だ自分と同等の速度で動く。そして先程同様、二人とも飛ばされまた戻される。


「どういう、種なんだこれは」


「ネタ晴らしは全てが終わった後だ、あぁ、ギブアップなら今すぐでもいい」


「はっ、上等」


泥の形を再度変える。今度は背に重点を起き後退しないことに目標とする。


「これなら、どうだ」


何度目かの攻撃を始める。何度目かの期待の攻撃が入る。


バキン


後ろには下がらなかった。しかし・・・


【泥も動かない】


これはひょっとして・・・


「トレースなのか」


「正解、まぁ他にもあるけどね」


「てっことは、これって」


「特定の距離に入ったら鏡写し、反応は共有。イベントの始まりから何度か使ってたでしょ、利用させて貰ったわ」


鏡移しか・・・


「じゃあ、ステータスは?」


「泥からデータを収集、最高値に設定。後は拮抗状態の為に調整、妨害。そうなんども殴り合いして相打ちがそう何度も発動するわけないだろ」


調整ねぇ、良くやるよ。このゲームの相打ちってそれなりに発生するが狙って起すのはかなりシビアな調整が必要なはずだが。


「それは、攻撃の幅を広げたら破綻しないか」


「【それ以外なら素直に諦めるさ】まぁ、アレだけ言って最後はそれかよって思いはするがな。それでいいのかい、もう後4.5発が限界だと思うけどね」


「あぁ、そうだないい加減終わらせるか」


泥を剥ぎ、素の状態に戻る。


「何のつもりだい?」


「何、後腐れなく一撃にかける準備さ」


泥を再構成する、つける部分は利き腕と足、炎で心臓を活動させ、雷で反応を上げ。同化で腕を変え、毒で無理やり体を動かし、一時的に限界を突破する。どうせ時間で終わるなら最後は派手にだ。


「どうせなら、限界まで上げるか」


泥を集約させる、魔力の限界を利き腕に捧げる。余りの重さに、腕が下がる。


仕掛けるならこのタイミング、やるなら泥の中。


「それ動けるのかい?」


「動けるんじゃねぇ、動かすなんだよ」


しかしまぁ、これだけ重いと動かせないんで少し策は必要だが。


腕を水でコーティングする、ようは滑らしての攻撃だ。


「そっちのほうがよっぽど器用じゃないか」


「はっ、このぐらい上なら考え付くさ」


「上ねぇ~、あんたはどのくらいの位置にいるんだい」


俺の位置? そんなの考えたこと無いが。


「少なくともあんたよりは強いさ」


ぐるりと腕を回転させ、回転しながら突っ込む。


まわってて良く見えないが、自分と同じように腕を大きくさせ、こちらを待っているだろうと予測する。


「ぶっ飛べ」


互いの腕が当たる。肥大化した腕が砕け散る。


「おら」


【壊れた腕から同化を始める】二つのひび割れた腕が一つにまと・・


「させるわけないでしょ」


固形化させた泥が戻る、勿論同化してた自分の腕もだ。


「当然そうなるよなぁ」


極限の反応速度で彼女の前に行く。


「しまっ」


すぐに泥を戻そうとするが戻せない。事前の仕掛けだ。


「おら、これで止め・・・」


体が動かない、そのまま軌道修正せずに止まってしまう。


「ちっ、時間切れか」


どうやら、思った以上に時間がかかっていた・・・いや


【体感時間を共有】したのか。全く・・・わからないものだ。


「あぁ、よくわからないが私の勝ちってことでいいのかい?」


「あぁ、そうだな」


全力を使い果たし、急に眠気が回ってくる。


「お前の・・・勝・・ち」


あぁ、眠い。最近まともに戻れた試しがないな。


「・ぁ、・・・・い・・」


彼女の言葉はもう届かなかった。





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