コネクト 創造する世界
仮想と現実 3日目 トラウマ
「さて、そろそろこちらもまともにやりたいが」
彼女は息を上げながらこちらを見るが、こちらに攻撃はしてこない。
「いつまで逃げ回ってるんだお前は、力量はわかってるんだろ。このまま持久戦をするならそれでおわりだぞ」
「はっ、なら近接攻撃でも仕掛けてくるんだね」
それするのは、後二三、手が必要なんだよ。全く。
無茶な要求してくるものだ、熱、熱ねぇ。とりあえず【抱えてるもの】を無くさないとはじまらないか。
一度、白い状態に戻す、音楽はそうだな。調子乗ってる奴の音楽でいいか。
「このままだと、無駄に時間をすごしそうだから少し語ってやる」
「何を?」
「なに、トラウマの払拭方法って奴さ。このままだと本質が見えてこないからな」
何百もの椅子を乱雑に用意し、その一つに座る。
「こう見えても自分は、様々なトラウマを抱えている。あんな光景が偶に起こっているんだ。当然心に響いて忘れられない映像もある。感覚戻してもらえばその場でうずくまって泣く自信もあるしな」
幾つかの椅子にはキャンドルを置き、精神安定用の臭いを出させ、いったんブレイクダウンさせる。
「現に今だって、ほらトラウマが見えるだろ」
目の前に手を差し出す。手は振るえ、体も若干震えている。
「わかるか?浪人時代のトラウマで女性恐怖症だ。今でもある程度の仲になろうとすればトラウマが発祥し否定が入る。まぁ暫くは治りそうにないな」
「払拭できてないじゃないか」
「当たり前だ、トラウマだぞ。簡単に払拭できるならこの世界はもっと自殺者は減ってるはずだ」
「じゃあ、何を教えるって言うのさ」
いかにもな素振りをし、彼女はこちらに問いをする。
「トラウマの扱い方。まぁ簡単に言えばここぞという時には出ない方法さ。ほら場所を考えればトラウマも可愛い要素だろ。問題は出すタイミングってわけだ」
そろそろ音楽を変える。まぁそうだなミステリーの解決した時の音にでもするか。
「ぶっちゃけ、トラウマなんて戦闘中は邪魔でしかない。心を抉るだけ抉って百害あって一理無しだ。だから」
まぁ、趣向を考えて。トラウマ抉るなら、牢獄とかそこら辺かな。
「トラウマで感情を増幅させるように動かすようにする。ようは吹っ切って逆切れするように方向を修正する。……それで一番手っ取り早いのは」
例のモンスターを呼ぶ。昔よくお世話になった奴だ。音楽はそうだな絶対絶命のフォルダからメドレーで流すか。
「トラウマを実体化したという形で怪物を呼び出し。そいつを倒すことでトラウマを消すってのが、俺が知ってる方法だ。人間の脳ってのは曖昧なものでな、こんなことでもだいぶ改善されるんだ。ついでに吹っ切れるまでは死なないように調整するから。好きなだけ対峙しろ」
さて、このモンスターという奴だが、端的にいえば相手の記憶の中から記憶に残っているものを抽出し、負の感情だと思われるものをピックアップし、それを戦闘データと合わせて吟味し召還される。記憶が大きければ大きいほど、深いほど敵は強くなる。まぁ初期の状態じゃ絶対勝てない設定になっている。
「……、いやしかしこりゃ凄いな」
自分で振っておいてなんだが。数が多すぎる。ついでに後ろのほうの奴は狂ったような性能になってるな。
「あぁ、こいつら近づいたり攻撃するだけでトラウマフラッシュバッグさせるから。早く気持ち切り替えないと……って」
いくつかに当てられて。もう駄目な状態になってるか。
まぁ想定どおりだが。彼女の近くに居るトラウマを殴り飛ばし。フラッシュバッグ状態を解除する。
「あっ」
こちらに抱きつき、涙ぐみフルフルと小動物のように甘えてくる。
「なに、小動物見たいになってやがる」
「嫌、あれやだ」
やれやれ、まぁこうなるか。まぁ想定どおりだ。俺もこうなったし。
じゃあ、学園島式、トラウマ払拭方法を始めるか。
「よく聞け、キャリー」
「キャリーじゃない三幸」
「じゃあ、よく聞け三幸。今から俺達はトラウマを殴ります」
「嫌だ行きたくない」
つくづく思うがこの方法て、好感度上げる方法としては最適だよな。まぁ今回は意味はないが。
「何故?」
「嫌なものは嫌だから」
「そうか、だが君に決定権はない」
「嫌々嫌」
そうやって、駄々をこねるから、この方法に到達する。
「なに、大丈夫【今回は俺が居る】」
「何も大丈夫じゃない。あなたは何もわかっていない」
まぁ、当然俺には彼女のトラウマなんてわかってない。だから【この方法は成功する】だから【このやりかたは繋がりを深くする】
「そうか、これでもだけかな」
自分の体が粒子となり、彼女の体の中に入ってくる。
意思が全て共有される。考えが仕草が。こちらに全て共有される。
なるほど、確かに抉られるな。今見てるだけでも女性なら大変だっただろ。
しかし男の自分にとってはただ不快なだけで、こんな感じのトラウマ等多々見せ付けられたものであり。ゆえに足が止まわけがなかった。
立ち上がり、トラウマに向かって歩き出す。
「嫌、やめて」
彼女の心からの悲鳴、諦め、そして怒り。それを全て感じ取りながら。こちらは、いいから黙って見てろと気持ちを送る。
一歩、それだけで幾つかの記憶が迫ってくる。彼女の心は悲鳴を上げるが。気にせずこちらはトラウマの敵を殴り飛ばす。そうして殴った相手から、より鮮明な、より感覚的に記憶がよみがえるが。
「くどい」
そういい、記憶をトラウマをぶち壊す。
「わかるか三幸?お前の抱えてるトラウマなんて俺から見ればこんなものだ」
そう体の持ち主に言い聞かせ。トラウマ退治は続く。
「いいか、もしトラウマを思い出したら。こうするんだぞ」
そういい、トラウマの概念を持った怪物を殴り続ける。
一発殴るごとに記憶を呼び起こす。相手の攻撃を食らうたびに当時の感情が呼び起こされる。
「はっ、そうかよ…で」
感覚は共有している。相手も同じ記憶が同じ感覚を味わっているのが彼女にも伝わってくる。同時に彼女にも伝えている。トラウマに対して、だからどうした…と、その程度かと。この程度で足が止まるものかと、これのせいで足が止まっていたのかと。怒りと侮蔑を抱きながら、排除していく。
そうして、小さな怪物をある程度倒したら次は中ぐらいの怪物が出てくる。
体は疲弊しきっている。おまけに精神攻撃もあり、心身ともにズタボロだ。相手だって小さな奴ですら自分よりも身体能力は高く。うまく事を運ばなければ倒せない相手だった。
「無理よ、次は無理」
まだ言っているのかこいつは、しゃあないギアを上げるか。
「ギアを上げる?」
「そうだよ、よく見とけ一時の感情の凄さっていうのをな」
最初は前奏のながい盛り上がる曲を選定する。
「いいか三幸、よく聞け。感情共有してるならわかると思うが、お前の体はボロボロだ」
「そんなのはわかってるわ」
「しかし、本当にそうなのか?」
「はっ」
さぁ、盛り上げていくぞ。
「ここは、コネクト。仮想VRだぞ。現実じゃないんだ。だれが限界なんて決めた」
俺の体じゃ絶対にしないがまぁ、トラウマ潰すんだし駄賃代わりでいいよな
「まって、何しようとしてるの」
「限界を超える。ついでにトラウマもぶっ飛ばす。いいかこいつらはお前の記憶の怪物だ。お前のトラウマが大きいほど強い。これよりも大きい相手もいるが、今のこいつでも普通に戦えばすぐに負けるだろう。しかし、しかしだ」
感情を込める。拳に思いを乗せる。
「何度も言うとおリここはVRであり、【お前は一人じゃない】ついでに俺はトラウマを潰してきた経験がある。そう何度もこんな状況なんて体験してきた」
記憶を逆転送する。幾多の無理難題の解決を共有する。無論自分のトラウマを退治したときもだ。
「ここは、所詮バーチャル。現実とは違うならば」
ここに来て武器を生成する。当然俺のデータも入ってるんだ。自分用に最適化も行い、本格的な戦闘準備に入る。これよりも大きい大型の時に吹っ切れさせないといけない。【根幹は自分が解決しないといけない】でなければ依存してしまう。
「こんな残骸気の持ちようでなんとかなる」
そうして、中型の処理が始まる。攻撃がくる。近くにあるだけで、記憶がフラッシュバックし体が瞬間止まる。たまに体が思うように動かず相手の攻撃をまともにうけ吹っ飛ばされる。
こちらの攻撃は相手には効いてようには思えない。怯む素振りも見せずにこちらにカウンターを食らわせてくる。
体に激痛が走る。現実ならば死んでるならば死んでいるだろう。
何百も攻撃を当てた。しかし倒れる気配は見えない。どうやらこの大きさでもう超えられない壁になっているらしい。
それでも、戦うことはやめない。体は悲鳴を上げる。激痛で意識が飛びそうになる。通じているかわからない攻撃で精神がやられそうになる。
(どうしてここまでするの?)
もはや息以外の声なんてなんて出ない状態で。心のなかで彼女が問う。
(そんなの、決まっているだろ)
(もしかして、わ〔気に食わないからだ〕)
というか、あれで惚れる要素なんてあると思っているのかおま
気をとられ、攻撃に当たってしまう。
(気に食わない?)
(あぁ、気に食わないね。これまでのトラウマに全部落ち度はない。だから気に食わない)
気に食わない。屑が真面目な奴を食らい、甘い蜜を吸ったのが気に食わない。
気に食わない。失敗を自分に擦りつけ、逃げ切った奴らが気に食わない。
気に食わない。他人贔屓する上司、強要する客。そして何よりも。
【彼女が手を止めてるのが許せない】こいつには、潰す力があるはずだ。潰す理由もあるはずだ。なのに過去に囚われ、本気すらださない。それに苛立つ。
(気持ち共有してんなら、わかるだろ。ようは気の持ちようなんだよ。騙されたと思って自分で攻撃してみな【簡単に消えてなくなるから】)
本来、中型如きがこんなに強いわけがない。ようは【彼女がそう思っているから】こんなに強くなってるのだ。
(……簡単に言うよね)
(ここまでお膳たてしたんだ。攻撃するなら口上考えろ。こっちも曲変えるから)
(全くよくいうよ)
彼女が笑っているのがわかる。ようやく、ようやく動いてくれるらしい。
曲を変え、口上の準備をする。
(全くやになるね、青春時代に売られ。飽きられ捨てられ、そうして今度は拾われるとは)
武器が変わっていく。これは大剣か。
(あぁ、そうさ今は良くても、昔のことを思い出すよ気持ち悪くなるよ)
武器を握る手に力が入る。
(あぁ、本当に)
ボロボロの体は傷は何処へやら今はなんとも感じない。
「本当に、糞な生活だった」
敵に攻撃が当たる。大剣の攻撃なはずなのに、斬る速度が居合いみたいに速い。
吹っ飛んだ敵に、追撃をかける。
「あぁ、そうさトラウマさ、下種な大人に可愛がられる青春時代なんてそうなるしかないだろ」
攻撃の速度があがる。型もへったくれもない。
「誰も助けに来なかった」
攻撃が重くなる。
「助けを求めても誰も答えてくれなかった」
攻撃が鋭くなる。
「それで、はっ今頃になって助けてくれるだぁ」
空中に飛び相手に切りかかる。大剣は更に大きく、重く、より鋭利に見える。
「ふざけるな、今頃助けたって遅いんだよ。遅すぎんだよ」
激昂する彼女の渾身の振り下ろしが敵を捕らえる・
「あああぁぁああぁぁああぁ」
そうして、先程まで苦戦した中型は跡形もなく消え去った。
「ほら、簡単に倒せただろ」
「あぁ、そうだな」
そうして次の中型が来る。
「もう大丈夫か、なら」
「逃げるな。ここまで焚きつけたんだ。せめて最後まで付き合って貰うよ」
「はいはい、まぁ」
これで、ようやく計画通り進められるかな。
彼女は息を上げながらこちらを見るが、こちらに攻撃はしてこない。
「いつまで逃げ回ってるんだお前は、力量はわかってるんだろ。このまま持久戦をするならそれでおわりだぞ」
「はっ、なら近接攻撃でも仕掛けてくるんだね」
それするのは、後二三、手が必要なんだよ。全く。
無茶な要求してくるものだ、熱、熱ねぇ。とりあえず【抱えてるもの】を無くさないとはじまらないか。
一度、白い状態に戻す、音楽はそうだな。調子乗ってる奴の音楽でいいか。
「このままだと、無駄に時間をすごしそうだから少し語ってやる」
「何を?」
「なに、トラウマの払拭方法って奴さ。このままだと本質が見えてこないからな」
何百もの椅子を乱雑に用意し、その一つに座る。
「こう見えても自分は、様々なトラウマを抱えている。あんな光景が偶に起こっているんだ。当然心に響いて忘れられない映像もある。感覚戻してもらえばその場でうずくまって泣く自信もあるしな」
幾つかの椅子にはキャンドルを置き、精神安定用の臭いを出させ、いったんブレイクダウンさせる。
「現に今だって、ほらトラウマが見えるだろ」
目の前に手を差し出す。手は振るえ、体も若干震えている。
「わかるか?浪人時代のトラウマで女性恐怖症だ。今でもある程度の仲になろうとすればトラウマが発祥し否定が入る。まぁ暫くは治りそうにないな」
「払拭できてないじゃないか」
「当たり前だ、トラウマだぞ。簡単に払拭できるならこの世界はもっと自殺者は減ってるはずだ」
「じゃあ、何を教えるって言うのさ」
いかにもな素振りをし、彼女はこちらに問いをする。
「トラウマの扱い方。まぁ簡単に言えばここぞという時には出ない方法さ。ほら場所を考えればトラウマも可愛い要素だろ。問題は出すタイミングってわけだ」
そろそろ音楽を変える。まぁそうだなミステリーの解決した時の音にでもするか。
「ぶっちゃけ、トラウマなんて戦闘中は邪魔でしかない。心を抉るだけ抉って百害あって一理無しだ。だから」
まぁ、趣向を考えて。トラウマ抉るなら、牢獄とかそこら辺かな。
「トラウマで感情を増幅させるように動かすようにする。ようは吹っ切って逆切れするように方向を修正する。……それで一番手っ取り早いのは」
例のモンスターを呼ぶ。昔よくお世話になった奴だ。音楽はそうだな絶対絶命のフォルダからメドレーで流すか。
「トラウマを実体化したという形で怪物を呼び出し。そいつを倒すことでトラウマを消すってのが、俺が知ってる方法だ。人間の脳ってのは曖昧なものでな、こんなことでもだいぶ改善されるんだ。ついでに吹っ切れるまでは死なないように調整するから。好きなだけ対峙しろ」
さて、このモンスターという奴だが、端的にいえば相手の記憶の中から記憶に残っているものを抽出し、負の感情だと思われるものをピックアップし、それを戦闘データと合わせて吟味し召還される。記憶が大きければ大きいほど、深いほど敵は強くなる。まぁ初期の状態じゃ絶対勝てない設定になっている。
「……、いやしかしこりゃ凄いな」
自分で振っておいてなんだが。数が多すぎる。ついでに後ろのほうの奴は狂ったような性能になってるな。
「あぁ、こいつら近づいたり攻撃するだけでトラウマフラッシュバッグさせるから。早く気持ち切り替えないと……って」
いくつかに当てられて。もう駄目な状態になってるか。
まぁ想定どおりだが。彼女の近くに居るトラウマを殴り飛ばし。フラッシュバッグ状態を解除する。
「あっ」
こちらに抱きつき、涙ぐみフルフルと小動物のように甘えてくる。
「なに、小動物見たいになってやがる」
「嫌、あれやだ」
やれやれ、まぁこうなるか。まぁ想定どおりだ。俺もこうなったし。
じゃあ、学園島式、トラウマ払拭方法を始めるか。
「よく聞け、キャリー」
「キャリーじゃない三幸」
「じゃあ、よく聞け三幸。今から俺達はトラウマを殴ります」
「嫌だ行きたくない」
つくづく思うがこの方法て、好感度上げる方法としては最適だよな。まぁ今回は意味はないが。
「何故?」
「嫌なものは嫌だから」
「そうか、だが君に決定権はない」
「嫌々嫌」
そうやって、駄々をこねるから、この方法に到達する。
「なに、大丈夫【今回は俺が居る】」
「何も大丈夫じゃない。あなたは何もわかっていない」
まぁ、当然俺には彼女のトラウマなんてわかってない。だから【この方法は成功する】だから【このやりかたは繋がりを深くする】
「そうか、これでもだけかな」
自分の体が粒子となり、彼女の体の中に入ってくる。
意思が全て共有される。考えが仕草が。こちらに全て共有される。
なるほど、確かに抉られるな。今見てるだけでも女性なら大変だっただろ。
しかし男の自分にとってはただ不快なだけで、こんな感じのトラウマ等多々見せ付けられたものであり。ゆえに足が止まわけがなかった。
立ち上がり、トラウマに向かって歩き出す。
「嫌、やめて」
彼女の心からの悲鳴、諦め、そして怒り。それを全て感じ取りながら。こちらは、いいから黙って見てろと気持ちを送る。
一歩、それだけで幾つかの記憶が迫ってくる。彼女の心は悲鳴を上げるが。気にせずこちらはトラウマの敵を殴り飛ばす。そうして殴った相手から、より鮮明な、より感覚的に記憶がよみがえるが。
「くどい」
そういい、記憶をトラウマをぶち壊す。
「わかるか三幸?お前の抱えてるトラウマなんて俺から見ればこんなものだ」
そう体の持ち主に言い聞かせ。トラウマ退治は続く。
「いいか、もしトラウマを思い出したら。こうするんだぞ」
そういい、トラウマの概念を持った怪物を殴り続ける。
一発殴るごとに記憶を呼び起こす。相手の攻撃を食らうたびに当時の感情が呼び起こされる。
「はっ、そうかよ…で」
感覚は共有している。相手も同じ記憶が同じ感覚を味わっているのが彼女にも伝わってくる。同時に彼女にも伝えている。トラウマに対して、だからどうした…と、その程度かと。この程度で足が止まるものかと、これのせいで足が止まっていたのかと。怒りと侮蔑を抱きながら、排除していく。
そうして、小さな怪物をある程度倒したら次は中ぐらいの怪物が出てくる。
体は疲弊しきっている。おまけに精神攻撃もあり、心身ともにズタボロだ。相手だって小さな奴ですら自分よりも身体能力は高く。うまく事を運ばなければ倒せない相手だった。
「無理よ、次は無理」
まだ言っているのかこいつは、しゃあないギアを上げるか。
「ギアを上げる?」
「そうだよ、よく見とけ一時の感情の凄さっていうのをな」
最初は前奏のながい盛り上がる曲を選定する。
「いいか三幸、よく聞け。感情共有してるならわかると思うが、お前の体はボロボロだ」
「そんなのはわかってるわ」
「しかし、本当にそうなのか?」
「はっ」
さぁ、盛り上げていくぞ。
「ここは、コネクト。仮想VRだぞ。現実じゃないんだ。だれが限界なんて決めた」
俺の体じゃ絶対にしないがまぁ、トラウマ潰すんだし駄賃代わりでいいよな
「まって、何しようとしてるの」
「限界を超える。ついでにトラウマもぶっ飛ばす。いいかこいつらはお前の記憶の怪物だ。お前のトラウマが大きいほど強い。これよりも大きい相手もいるが、今のこいつでも普通に戦えばすぐに負けるだろう。しかし、しかしだ」
感情を込める。拳に思いを乗せる。
「何度も言うとおリここはVRであり、【お前は一人じゃない】ついでに俺はトラウマを潰してきた経験がある。そう何度もこんな状況なんて体験してきた」
記憶を逆転送する。幾多の無理難題の解決を共有する。無論自分のトラウマを退治したときもだ。
「ここは、所詮バーチャル。現実とは違うならば」
ここに来て武器を生成する。当然俺のデータも入ってるんだ。自分用に最適化も行い、本格的な戦闘準備に入る。これよりも大きい大型の時に吹っ切れさせないといけない。【根幹は自分が解決しないといけない】でなければ依存してしまう。
「こんな残骸気の持ちようでなんとかなる」
そうして、中型の処理が始まる。攻撃がくる。近くにあるだけで、記憶がフラッシュバックし体が瞬間止まる。たまに体が思うように動かず相手の攻撃をまともにうけ吹っ飛ばされる。
こちらの攻撃は相手には効いてようには思えない。怯む素振りも見せずにこちらにカウンターを食らわせてくる。
体に激痛が走る。現実ならば死んでるならば死んでいるだろう。
何百も攻撃を当てた。しかし倒れる気配は見えない。どうやらこの大きさでもう超えられない壁になっているらしい。
それでも、戦うことはやめない。体は悲鳴を上げる。激痛で意識が飛びそうになる。通じているかわからない攻撃で精神がやられそうになる。
(どうしてここまでするの?)
もはや息以外の声なんてなんて出ない状態で。心のなかで彼女が問う。
(そんなの、決まっているだろ)
(もしかして、わ〔気に食わないからだ〕)
というか、あれで惚れる要素なんてあると思っているのかおま
気をとられ、攻撃に当たってしまう。
(気に食わない?)
(あぁ、気に食わないね。これまでのトラウマに全部落ち度はない。だから気に食わない)
気に食わない。屑が真面目な奴を食らい、甘い蜜を吸ったのが気に食わない。
気に食わない。失敗を自分に擦りつけ、逃げ切った奴らが気に食わない。
気に食わない。他人贔屓する上司、強要する客。そして何よりも。
【彼女が手を止めてるのが許せない】こいつには、潰す力があるはずだ。潰す理由もあるはずだ。なのに過去に囚われ、本気すらださない。それに苛立つ。
(気持ち共有してんなら、わかるだろ。ようは気の持ちようなんだよ。騙されたと思って自分で攻撃してみな【簡単に消えてなくなるから】)
本来、中型如きがこんなに強いわけがない。ようは【彼女がそう思っているから】こんなに強くなってるのだ。
(……簡単に言うよね)
(ここまでお膳たてしたんだ。攻撃するなら口上考えろ。こっちも曲変えるから)
(全くよくいうよ)
彼女が笑っているのがわかる。ようやく、ようやく動いてくれるらしい。
曲を変え、口上の準備をする。
(全くやになるね、青春時代に売られ。飽きられ捨てられ、そうして今度は拾われるとは)
武器が変わっていく。これは大剣か。
(あぁ、そうさ今は良くても、昔のことを思い出すよ気持ち悪くなるよ)
武器を握る手に力が入る。
(あぁ、本当に)
ボロボロの体は傷は何処へやら今はなんとも感じない。
「本当に、糞な生活だった」
敵に攻撃が当たる。大剣の攻撃なはずなのに、斬る速度が居合いみたいに速い。
吹っ飛んだ敵に、追撃をかける。
「あぁ、そうさトラウマさ、下種な大人に可愛がられる青春時代なんてそうなるしかないだろ」
攻撃の速度があがる。型もへったくれもない。
「誰も助けに来なかった」
攻撃が重くなる。
「助けを求めても誰も答えてくれなかった」
攻撃が鋭くなる。
「それで、はっ今頃になって助けてくれるだぁ」
空中に飛び相手に切りかかる。大剣は更に大きく、重く、より鋭利に見える。
「ふざけるな、今頃助けたって遅いんだよ。遅すぎんだよ」
激昂する彼女の渾身の振り下ろしが敵を捕らえる・
「あああぁぁああぁぁああぁ」
そうして、先程まで苦戦した中型は跡形もなく消え去った。
「ほら、簡単に倒せただろ」
「あぁ、そうだな」
そうして次の中型が来る。
「もう大丈夫か、なら」
「逃げるな。ここまで焚きつけたんだ。せめて最後まで付き合って貰うよ」
「はいはい、まぁ」
これで、ようやく計画通り進められるかな。
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