コネクト  創造する世界

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仮想と現実 一日目 召還

病院に戻れば、威嚇したベテランの看護婦と、情報を提供してくれた相田さんが居た。


「きちゃ、駄目よ小『あんたは黙ってな』」


口を掴み、こちらを向いて。


「逃がしちゃしないよ。というか何処にも逃げ道はないよ」


「はぁ」


ふんと鼻息をならしベテラン看護師は言う。


「それで真実を聞いてあんたはどうするんだい」


「参加しますけど」


「はん、そういうと思ったよしかしだね……は」


唖然とする。看護師を前に普通に答える。


「しかし、刻印の時間はこっちが指定しますよ。わざわざ負ける状態で戦いたくないので」


「あぁ、日付は別にいいが」


「あぁ、それと彼女話してあげてください。さすがに見てて哀れです」


「あ…あぁ」


手を離され、面白い顔していた彼女が普通の顔に戻る。


二人とも呆然としている。


「あぁ、あとベテラン看護師さん」


きょろきょろ、と顔動かす。


「そこの貴方ですよ、ほら口掴んでいた人」


「あっ、私かい」


「そう貴方です。武器とか魔法とかそこらへん一式聞きたいので教えてくれませんが、あぁ後メスとか注射器とか下さいね。無理なら無理でもいいですが」


空気注射とかこっちでも効くかな……効くか。メスは一応数本あればいいよな。使い方わからんし、注射針の針の大きさは大きくしてもらって。……


「あっ、まだかかりそうですか。蟲毒のルール」


「いやあんたがいいなら、いいが。大丈夫なのかい殺し合いだよ」


「えっ、刻印する人間は殺し合いとかだよってブルブル震えてなきゃいけないんですか」


「いやそういうわけではないが」


「なら、問題ないですね」


「あっちでも、影響受けるかも知れないのよ」


「ちょっと相田」


あぁ、その可能性はあるのか。


「なるほど、それで」


「それでって、恐怖しないの」


「それで状況が変わるならしますけど。……しないんでしょ」


「……しないわね」


ベテランがまともにかえす。さてどうせ現実世界でも刻印が刻まれるのはわかるが。問題はその後か、極限状態がどう影響していくか……そこが問題か。


「ならやることは、変わりません。足掻いて、足掻いて、足掻いて、生き延びる。とりあえず捧げられたらなんとかなるんでしょ。輪廻転生とかそっちの考えがあるはずですよ。捧げる相手には」


「確かに捧げられるのは時の神様だが」


「なら問題ないはずでしょ。時の神様なら【贄の前まで残してくれるでしょ】」


もっともほんとうに戻るかなんてわからない。負けて死ぬ可能性もある。しかしそこで恐怖しているようじゃ、勝つことなんてできない。


「今までの人達がどうだが知りませんが、ある程度【覚悟は完了してます】だから刻印もいいし、蟲毒も問題なくやりますよ、もっとも気分が変わるかもしれませんから早めに情報を流してくれるとありがたいですね」


「あぁ、わかった、相田さん。村長連れてきて」


「は」


「はやく」


「はっ、はい」


相田という看護師を行かせた後、ポケットからタバコを取り出し一服する。


「さて何処までわかってる」


「多分、町が限定的に作られてたイベント用で、住民は殆どは科学者等の学術的な職についてる人間。イベントは恐らく政府公認であれも脅しじゃなくて実験。実際に人が極限状態になったときにどう動くかそれのシミュレート、及び脳の耐久ですか。タームが多いのはその分の耐久チェックってこですよね」


タバコを吐き。


「じゃあ、あんたらが【何時死んでもおかしくないってことはわかってるのよね】現実世界にも協力者がいるのよ」


「はぁ、で。【殺してなんになるというのです】私のネームバリューは知ってますよね」


「はぁ、つくづく気に入らない小僧だね」


一本すい終わり二本目に入る。


「まぁ、あんたのいうとおり、ここは殆どストレスチェックだよ。私達も殆どは人口AIだよ。まぁあんた見たいのが出るたびに映るけどね」


「なるほど、看護師の名前は【管理番号の役割もあると】」


「はぁ、やだやだ。これだから頭のいい奴は」


「あなたも、その中の一人ですよね。心理学方面の方だと思いますが」


タバコを鼻で吐き出しながら。


「私はいいのよ、私だからね。まぁ脅しも効かないから言っとくけど、【このゲームは死ぬ可能性はあるわよ】貴方は特にね」


「へぇ、それは何故」


「人口AIの管理を放棄したから。あなたのわかりやすく言えば。【アイを放し飼いにした】っていえばいいかもね」


AIの放棄?


脳裏に浮かぶのはあの少女。死を感じたあの光景。何もかも吸い取られ、冷たく暗くなるあの感じ。


「やっといい顔になったね。それくらいの顔がここではお似合いよ」


「まぁ言いたいことはわかりましたよ。それは肝に銘じときます」


「わかったんなら、そろそろ準備しに病室に戻りなさい。ちっここまでたどり着くのは遅いと一週間ほどかかるんだけどね」


最後までタバコ辞めなかったなこのバアサン。病室に向かい歩き出してるとき。


「あぁ、あんたは【最高脅威認定】は確定だから精々頑張んな。殆どの奴があんたに突っ込むけど生き残れば相当のポイントが手に入るわよ」


何か、最近そんな出来事があった気がするな。


「……そいつはどうも」


「あぁ、後他の奴らはともかく、あんたに【支給物資】はなしだ。魔法とかはいつも通りだからまぁ頑張るんだね」


おまけに支給物資もなしかよ。


「……どうも」


「あぁ、後」


ええぃまだあるのか。


「まだなにかあるんですか」


「その贄システムは【私達の管轄外】だよ。後は自分で考えな」


「……」


病室に歩き出す。


「さて……、どうなるかね。できれば頭痛の種である【あいつごと】なんとかしてくればいいが」








病室についた。最後の発言、及び幾つかの発言を元に考えれば。


「人口AIに乗っ取られてるなここ」


今はまだ繋いでいられるが。それもイベント期間のみの可能性があるか。


「ベースは神様、邪心とかでないならまだ可能性はあるが」


今自分達はポットに入ってる。恐らくAIが【生命装置】を外すことも可能だろう。つまりは……


「神様に何時殺されてもおかしくないか……」


実際に可能性が出てくれば、恐怖する。手も振るえ、歯も振るえガチガチと音を鳴らす。


召還に適した時間になるまで。暫くは震えて待っていた。


死の恐怖を感じないわけはない。そこまで人間はできていない。


震えて、震えて、震えて。そうして途中で馬鹿らしくなってくる。そうして怒りがわく。


【何故自分は怯えなくてはいけないのか】


後悔している時間はなく、怒り狂ってる時間はない。だからそこらへんの思いを全て制御し、準備を始める。


「まずは四つ、求めるは、英知、英知、疾風、疾風」


四つ、これで何を伸ばすかを決める。今回は、昔召還した奴にさらに初期ブーストで、【知恵と速さを増やす】


「次に三つ、欲するは、毒、毒、水、我、大海に潜みしものを欲す」


次にスキル、召還のするものの構成を決める。今回は召還した奴なので昔召還したやつをなぞればいい。スキルが決まった後は種族を決定。今回はあいつなので、呼ぶ奴は大海に潜みしものとなった。


「与えるは、二つ、血、肉」


そうして今度は自分が与えるもの……デメリットを与える。定番は魔力の血と、体力の肉だ。今回もそうしてる。中には愛情よこせとか、恐怖しろとか色々いるがな。そして最後に


「そして己が魂を捧げあい、契約とする」


そしてここで普通は終わりだが、昔召還した奴を呼ぶ場合は。


「きたれ時空の彼方より、我の叫びを聞こえしものよ。我ここに召還す」


この後に


「【深遠の毒】を」


後は異名を言えば、召還が確定する。本当なら求めるから与えるを倍にして2巡させて別のものを呼んでもよかったが、数が多いと聞いたからこいつになった。


「まぁ、またよろしく頼むわ■■」


さてこうして、召還も終わったし。


「蟲毒に参加しますか」

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