コネクト  創造する世界

AAA

データの残骸 1対1000 1

「さて、緑朗。多数戦において最も必要なものはなんだ」


多数戦に必要なものか。


「僕なら、【硬さ】ですかね」


ダメージが無ければ。問題ないし。あっても軽減すれば耐えられる。


「なるほど、あやつは多分【行動を制限に来るぞ】」


「行動の制限? 」


「まぁ見ておれ」


TVを見れば、画面が半分に別れ左側に一人のあいつ、もう片方には何百の人が見える。数百の人は相手に向かって走り出している。


左のあいつは詠唱を始めていた。地面には魔方陣が描かれ。手にもたれた杖は。光り輝いている。


「……」


何かを唱え終えた後、数百の体が光り輝く。そして……


【自分に黒い霧をかけたと思うと動いていた数百の足は止まった】


「何が起きたんですか」


「それがわからん、だからそれを確認したい。さて何が起きているのか」


TVを凝視して解読しようとしている。






TVの映像では動きが止まっている数百の人物と、黒い霧に覆われた一人の老人。


……戦闘は進まない。


「何分たちました」


ふと時間が気になる。


「十分か」


あの黒い霧がでていこうどちらも一向に動かない。


「……恐らく、いやだとしたら」


金剛氏はぶつぶつと独り言を言う。


「何かわかったんですか」


「だまっとれ、思考の邪魔だ」


どやされてしまった。しかたないのでTVに注目する。


どちらも何も動かなかった。ただただそれが不気味だった。


……さらに時間がたつ。1分2分……、結局15分達、合計で30分近く時間がたった後にようやく、ようやく【黒霧の男のみが動き出した】


「黒霧のみの動きですね」


他の数百は一切動かない。……何かがおかしい。


「なるほど、【そういうことか】」


「わかったんですか」


「なに、単純な話だった。お主にやった事に同じようにしただけじゃ」


同じことつまり。


「あの光景を全体に見せたって事ですか」


「どうやって、全体に流したかはわからないが。あの光が肝じゃな」


「本当にあれを全体に起こしたのですか」


いまだ信じられない。あれはそんな簡単に起こせるものでない。


視覚や聴覚を奪う幻覚はあるが、【感情すらも惑わすものなど聞いたことも無かった】


あれは、いわば記憶を思い出しているようなそんな感覚だった。


「【感覚の共有】?」


「どういうことだ」


「あの幻覚は……幻覚というよりも、トラウマの再現に近いものでした」


「つまり、あいつの幻覚は【過去の記憶の共有】そういいたいのだな」


「えぇ恐らく」


フームと一息呼吸を置き。


「クク、カカカ」


大声で笑い出した。


「なるほど、あの過去でどんなことがあったか知らんが、そうか……【鍛えてきたか】」


ククと笑いながら、金剛は言うそれは狂気じみた笑いだった。


「さて、緑朗」


「はっ、はい」


気持ち的には驚いてるが、通される音声からは驚きは消えていた。疑問等の抑揚はついているが驚きは着いていないみたいだ。


「これから、どうなると思う」


「どうなるか……って」


あの時の状態を思い出す。無いはずの体が震える。頭にあの時の光景が刻まれている。今はもう映像と音声も見えないが体の震えが止まらない。


「思考が止まります。後は動けなくなるでしょうね。恐らく格好もそのトラウマを思い出す格好なんだと思う」


「なるほどつまり」


目の前にあいつが現れたら……


「うわぁぁぁ」


「いやぁぁぁ」


蜘蛛の子を散らすように逃げていく。


「なるほど、【トラウマによる逃避行動】か」


「いったとおり行動を宣言されましたね」


というか一つの行動しか取れなくなる。取れる行動は【逃げるの一択のみ】


「最初の勝負は決したな」


「あいつの勝ちですか」


まずは一勝か。


「さて次の戦闘を考えるか、どうなると思う」


金剛氏は質問をぶつけてくる。


「まずは人の一斉交換ですか。トラウマ持ちなら次の闘いに持ち越せませんし」


「まぁ、【記憶を一時的に消すだろうな】」


金剛は電話をかけて指示をする。


「あぁ、わしだ。あぁ、TVのあそこを……、あぁ何だ先に言われてたかなら良い。あぁそれで頼む」


「何の電話ですか」


「後処理の話だ。さて後二つどうなるか」


三勝なのに、もう全勝で終わることを信じている。


まぁそれは僕も同じなんだが。


そうして、一戦目は相手が何もできないまま。スカイアースの圧勝となった。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品