コネクト  創造する世界

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因果と収束 クエスト9

「さて、三分だ」


転送される。転送されるは、ちぐはぐな機体。不恰好な腕。短い脚、大きい胴体に、縦長い頭。不恰好な腕には手はなく。肩には翼が生えている。


状況を確認する。地面の状態から【完全に成功してないことがわかる】


回りを見渡せば【ボロボロの巨体が見える】そして巨体の隣には……


「なるほど、どうやったかはわからないが。とりあえず【それでいいんだな】」


山のような機体から。大量のミサイルが飛んでくる。数は沢山でいい。数えるだけ無駄だ。


 何をしようが、【この状況に】至れば意味はもうないからな
















…………


「あれが、最高峰のプレイヤーか……化け物だな」


ピカロ社長はそう考える。まず発想がおかしい。誰が普通のRPGで【自爆特攻専用機体を使う】それも、【痛覚などの感覚機能】全てを残して、これだけでも狂ってると言うのに。あいつは……あいつは


「えらく動揺してるじゃないか、若いの」


「むしろなんで貴方は平気なんですか金剛氏、【死んだんですよ貴方は】」


「なに、ゲームにおいて死ぬことなんて日常茶飯事だろ」


違う、そういうことをいってるんじゃない。あれはVRの死じゃない。そんな生易しいものじゃない。


「貴方はその恐ろしさがわかってるはずですよ」


「いかにも、だから【いたのはワシとあやつだけじゃ】」


顔をしかめる。あいつもあいつだが、ここに居るこいつも狂ってる。


狂ってる、狂ってる、狂ってる。常人ができる行為ではない。


「はっきりいって、狂ってますよ。貴方もこの惨事を起こしたスカイアースというものも」


「クク、若いな社長は」


「なにが、若いんですか、貴方はわかってるのですか。【感覚残してキャラロストするってことが】」


本来死は何故VRでも許可されているか。それはVR側で保険を用意しているからである。痛覚をなくす。脳を鈍らせ、死と感じないようにする。死という表現を変える(霊体化や異形化、転移等)どれも、【自分が死んでると認識させないためだ】


そう認識で人は殺せる。心理学で実証済だ、現に心理学者が無傷で人を殺してる。なのに何故……


「貴女方は躊躇なく、その行動がとれるんですか」


「何故ってそれは……」
















……


「それが、最善手だからかな」


「最善手って、死ぬかもしれなかったのよ」


「【その程度で死なないことは体験済】だ」


そう、体験済だ【死ぬ程度で精神が壊れないことも死なないことも】


「学園島……か、そこまでなのか」


ロックはそう漏らすが、【お前も躊躇なく自爆を選べる時点でこちら側】だ。


「そうだな、【命の賭け方を教えてもらう程度には】」


鍛え上げられた。まぁ軍人になるきはないからその手の大学は行かなかったが。


「ちなみに、あれってロック……」


「さて、そろそろ報告が来る頃じゃな。わしたちの結果がどう扱われるか」


また、流されたか。どうにもこの爺さん、相当偉い役職だったんじゃないか。何回か作戦を一緒に考えてたが。思考が軍人のそれだったぞ。


「どうした?まさかここになって報酬山分けせんとか言わんじゃろうな」


「そんなことを言うつもりはないが……」


なんか大事なことを、忘れてるような気がするんだよな。大事な見落としを。


「そう言えばお主のキャラクターはロストしたが、良かったのかそれなりに時間を使ったんじゃろ」


「まぁ、確かに使ったが。そんな長い時間じゃない」


「たった、20時間だ。最も相手も同様もとは限らないけどな」




















……


「2000時間だ」


「はっ?」


「聞こえなかったか、わしのキャラクターは2000時間使ったといっておる」


まぁ、驚くのも無理はない。だから、今回は【大きな痛手なんだ】


「そっちじゃありません。スカイアースの方です。【何故そんなに時間が少ないのですか】」


「そりゃお前、あいつのキャラクターはTRPGのキャラクターだ。あのゲームは【数をこなせるようにキャラクターは短期間で成長できるようになってる】それがあのゲームの利点だ」


「それじゃ利益はどうなるんですか」


「アホかお主、TRPGだぞ、【ルールブックでしか稼いでおらんわ】だいたい紙媒体と仮想現実の費用を比べてみろ。かたや最新機器に最新のネットワーク。システムを一つ作るのにも複数人で数か月かかるこのゲームと、【システムさえ出来れば後は本にまとめてだすのがTRPG】だぞ、比べるのもおこがましいわい」


しかし、こんな初期に【過去の遺産クラウンクラウンの一部】を失ったのはかなり痛い。しかし、しかしだ。


「とりあえず最低限は達成したんだ。約束は守ってもらうぞ」


「えぇ、いいでしょう。【私よりもあなたの方が適任らしい】あなたにも渡しましょう。【■■の権利を】」


「それでいい、さてそれでは【わしらも舞台に上がるとするかの】」


「ところで、彼は自爆できなかったらどうするつもりだったんですか?」


「何をいっとるんじゃお主は」


「ですからなんで、【彼は自爆という】可能性を選んだですか」


「そりゃあ、確定で勝てるならそれぐらいするだろ。そもそも、あの巨体の機体時点で負けが確定してみたいだしな。全くどれくらいの対策が現段階でされているのだか」




















……


「だから、なんで【自爆】が必ず成功するんだ」


「……まだまだ、TRPGをマスターしてないなダンサーは」


「あいにくたまにしかやらないからね」


「簡単に言いますと、今回の行動は【鉄塊】をメインに利用した【ギフト】というTRPGのキャラクターで【デストロイ】というシステムを使った。確実に自爆特効ができるという行動になっています」


「えーと、ギフトってのはあれだよな、ハイリスク、ハイリターンとトラウマ付きのキャラクターでやってく奴で、デストロイってのは、世紀末ヒャッハー系のゲームだよな」


「それであってます、デストロイからダメージ計算表と行動計算表を適合させ、ギフト無理やり行動にねじ込みました」


「えー、あー、……。……。ばっかじゃねーの」


考え込んででた答えはそれか、まぁはたから見ればかなり狂喜じみた行動だが、絶対起こり得ないってことは無いはずだぞ。


「いやいや、馬鹿だろ。てことはあれか【初めから自爆特効で終わらす気だったのか】スカイアース」


普段の丁寧な口調では無くなる。まぁ、無理もないか。


「勿論、最初からその気でしたよ。そうでもなきゃ、一撃食らわせてトンずらして終わりです」




























……


「無論、最初からその気だろうな」


「初めから自爆特効が目的だったと……何故」


「そりゃ、【別にどうでもいいからじゃろ】」


「はっ?」


「わしのスタンスも違うように、あやつのスタンスも違う。いいか若いのあやつの今回のスタンスは」


「恐らく実験だな」
















……


「実験だ」


「実験?」


「そう、運営がコネクト接続について調査してるのと同じ、俺も【コネクト接続でどこまでできるかを調査していた】結果はまぁ、今回の結果だ。【対策をしてなければラスボスですら勝てるようになる】」


「しかし、あれは接続したからだろ」


「いや、違う。【実際は接続しなくてもあの状況に持ち込めた】そういうことじゃろ」


「はぁ、なんでそうなるんだよ」


「【最初の闘技場で、ギフトの能力を確認】し【ラスボスとの戦いで別ゲームの召還に成功した】忘れるでないぞあやつは」


「限定解放の状態で機体を出しておる」














……


「限定解放の状態で機体を使っている、それが答えだ」


そう、それはその気になれば【どのゲームでも自爆特効が可能であることをいってる】それも、【費用はほとんどかからない】安いアイテムをかい使い続けるだけでいい。それで奴はラスボスを破壊できるほどの自爆が可能となる。


「はぁ、全くため息が出るわい。【初戦は我々の負け】だ。それも相手の完勝といってもいい」


まぁ、見つかった時点で負けだから、諦めがつくにはつくが。


「全く、同じ相手に二度も終止符をうたれるとは。とんだ因果じゃな」


だが、それもここまでよの。ここからはわしがリードをつけさして貰う。


「楽しみ待っていろ、キキ、カカカ」


アーハッハッハ。そして、何度目かの会見が始まった。

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