コネクト 創造する世界
正式版開始 スカイアースの実験室
一面が真っ暗な空間、音もなく静寂に包まれている。足を動かす。コンコンと音がなる。床はあるようだ。
「ようこそ、スカイアース。自分の罠に嵌まるのはどんな気分だ」
声が聞こえてくる。今回の首謀者の清水……だったか、自分の姿も見せないとは度胸がないことだ。
「どうした、あまりの出来事にビビっちまったか」
いや、お前の小物加減にびびっただけだが。
「どうでもいいが、何かやるならとっとと始めてくれないか、こっちはわりと疲れてるんだ」
「疲れてる、ははそりゃあいい。自分の作ったシステムに殺され続ければいいさ」
「だからとっとと始めろ、【清水国光】それとも、昔の記憶が甦ってまともに動くことすら出来ないのか」
「ははは、そんな実名報道如きで俺か止まるわけないだろ、残念だったか、スカイアース。いや■■■■と言った方がいいか」
まぁ当然のようにクラッキングはするよな、まぁ個人情報など名前ぐらいしか【まともに入力してないから】無意味な事だからな。
「どうしたなんていってるかわからないぞ」
「あぁ、■■■■って言ったんだよ。このチート野郎」
チート野郎か、昔と変わらんなこのての輩は。自分が出来ないことは不正扱いする馬鹿共。引かれたレールの上しか歩けない愚か者。だから、相手もやってるからいいさの精神でチートを行う。それで起こる出来事を無視して。
「おいおい、俺は昔から【チートなんてしてないぞ】お前と違ってな」
「ふざけるな、俺がチートなんかしたはずないだろ、全部お前に嵌められたんだ■■■■に。ちくしょう発音ができねぇ」
「当たり前だ、【個人情報の漏洩】なんてできるわけないだろ。当然運営が対策してる」
「じゃあなんで俺の情報は漏れるんだよ」
「不正を行っている【犯罪者】に適用されるわけないだろ。その程度のこともわからないからチートを使ってしまうんだよ、お前は」
現に自分が本名をいってる相手は、全部不正者かフレンドになってるものだけだ。他はニックネームだ読んでる。まぁ最もフレンドでもニックネームで読んでる奴もいるが。
「うるさい、うるさい、うるさい」
「癇癪を起こすな、二十代にもなって恥ずかしくないのかお前は、どうせこの状況も生放送してるんだろ。」
「あぁ、そうだ。お前の醜態を晒す為にな」
芸がないよなこいつら、ハッキングして醜態晒して悦に浸る。もう少し捻ってくるやつはいないのか。
「この話をするのは三度だったと思うがもう一度言うぞ。【俺の繋がり知っててお前らは視聴してんだよな】」
「当然だろ、金持ちだかなんだかしれないが。そんな程度では俺は止められない」
「お前なんぞはどうでもいいんだが、見てる奴らはどうだ? そこまでしてこんな放送見る価値あるのか」
「はっ、見てる奴だって、殆どは【お前にやられた奴だ】気にしないさ」
「そうか……、ところでお前は戦わないのか」
「お前が最終面まで到達したら戦ってやるよ。じゃあせいぜい足掻いて楽しましてくれよ」
そういわれ視界が歪んでいく。そうして、不正者対策システムこと、ボスラッシュ難易度 ヘルが始まった。
スカイアースの実験室 ACルームにて
長机に座り、いかにもな席で大型スクリーンにスカイアースが映っているのを確認してる人物がいる。最も周囲はその大型のスクリーンを見るものもいれば、筐体に夢中になりコインを台の上に乗せゲームに熱中してるものもいるが……
長机に座ってる男が中継を始める。
「さて、主催者の読み通りクラッキングを受けたわけですが、ここからどうなると思います? 榊さん」
「まぁ、私から言えば、わざわざ受ける必要ないと思うんですがね。そこら辺はどう考えで角地博士」
「なに、彼はただ言いたいだけでアール。【不正しようが雑魚は雑魚】と」
「なるほど、角地博士は主催者のスカイアースが圧勝すると? 」
「勿論、当然でアール。なにしろ主催者は【無駄に対策】してる暇人でアールからな。恐らく今回も……。そういってるうちに第一の敵が出てきたのでアール」
大型スクリーンには緑の巨大な触手が映る。大型スクリーンでさえ敵の全容は映しきれてない。
「さぁ、最初の敵はディープワンです。榊さん解説をお願いします」
「ディープワンは公式で【勝てない】とされてるモンスターです。そもそもこいつを召喚されたらPC側の負けなので、いかにして召喚を妨害するかのゲームなのですがね」
「なるほど、つまり普通の方法では倒せないと」
「まぁ、倒しかたはいくつかありますが何分別のゲームとして扱われているのでね。倒すのは難しいと思いますよ」
「製作者からの辛口のコメント、さぁ挑戦者のスカイアースはどのようにああーっとこれは」
スクリーンには触手がスカイアースに当たる映像が映し出されている。しかし触手が当たったと思ったら、周囲に鎖が発生し。スカイアースの銃が撃たれ敵が消滅した。
「なんということでしょう。ディープワンの攻撃が当たったと思ったら、ディープワンが消滅しました。これが榊さんの言ってた対処法でしょうか? 」
「いや、こんな方法はありませんね。少なくとも私は想定してません」
「では、何が起きたんでしょうか? ひょっとしてスカイアース選手あれだけ嫌っていた不正行為を行ったのかー」
「あれは、一撃必殺技ですよ」
「あぁ、ここでワルツチームの長谷川さんが参加して来ました。たしかワルツゲームの大会をやっていたと思いますが。そちらの方は終わったのでしょうか」
「いえいえ、あっちはまだまだ盛り上がってますよ。しかし主催者が参加しているとあっては、僕はこちら側を見ときたいですね」
「ほぅ、それはアーケードゲームの復活をさせたからですか」
大型スクリーンでは次の敵が出現している。
「おおっと、次の敵も大型のようですね榊さん次のモンスターは。あーっと」
長机から実況者が乗り上がる。
「これはなんということでしょう。スカイアース選手、なんと、なんと、敵がでるまでに自分のこめかみに銃を撃ち、死にました。これはどういうことなんでしょう」
「お目当ての敵が出なかったので、死に戻りリセットを行ったのでアール」
「死に戻りリセット? 、それはどういうことなんでしょうか角地博士」
「このゲームは敵を複数用意してるのでアール。その中で【どうしても先に潰しておきたい相手】がスカイアースにはいるのでアール。さっきはその敵じゃないとわかったので自殺したと考えられるのでアール」
「なるほど、敵の選定ですか。榊さんどう思います? 」
「確かに選定は必要だとは思うが【ほぼ全て勝てるように調整してある】」
スクリーンには、ポリゴンから人形へと変わり、スカイアースが再度映し出される。
「つまり、何を狙ってるかはわからん」
「我輩は少しはわかるがな、それにしたらはるかに面倒な事をやると思うのでアール」
「はるかに面倒とは、どういうことですか角地博士」
「まぁ、見てればわかるのでアール。まぁ少し時間がかかるとは思うが」
そうして、スカイアースの自殺は続けられた。何度も……何度も、戦うのは最初に勝った巨大な敵のみ。そうして自殺すること数十分。何十をも試行が繰り返され、やっと状況は動いた。
「あー、ようやくスカイアース選手戦うようです。正直ここまで長かったのでだれてます。それにしてもなんですかあの人型は? 」
「あれは【双子】だ、この状況ででるのは弟の方だな」
「ほう、弟ですか……。兄と何か違いあるのですか」
「元々は超能力等を人工的に作る人体実験集団の被検体だ。弟は再生能力の増加、兄は元は素養がなかったが時空移動の能力を後で入手した」
「時空移動、それはお約束的なあれで」
「いやお約束でもなく、胸糞悪い展開だ。まぁ見てればわかる」
そうして、双子と呼ばれる男が出現する。左肩から腹にかけて大きな丸い球体が剥き出しになっている。スカイアースは双子に銃口を構え止まっている。
「何ぼさっとしてるのでアールか、さっさと撃て。死にたいのか」
「死にたいって、あれがどういう存在か知っているのですか博士」
「ええーい、話してる暇は」
話は終わる前に双子が光りだす。それに合わせるように銃を撃ちだす。
画面が白く包み込む。最も【ゲーム】なので、スカイアースは色もあるし。何をやってるかはわかる。
「あれは、何をやってるのでしょうか。なにやらスカイアースの体が白く点滅してるように見えますが」
「あれは、【ジャストガード】ですね、攻撃した瞬間にガードをすることで、一時的に無敵状態になりさらにゲージも増えます。勿論ガードによる削りもありません。まぁ簡単に言ってしまえば。爆発の最初にタイミングよくガードして、爆発が終わるまでそれを繰り返してるって感じですね」
「なるほど、しかしジャストガードはそんな簡単にできるものなのでしょうか」
「通常は相手の攻撃から2Fつまり1/30が猶予のタイミングですね」
「ちなみに、【人間の反応速度】がだいたいそのぐらいでアール」
「反応速度ということは、普通は反応できないんじゃないんですか」
「それを読んで動くのが、格闘ゲームなんですよ。まぁVRのせいで廃れちゃったけどね。まぁそう思うのも今回までかな。立派にジャスガ繰り返してるもんね、スカイアース君はいったいどれくらい練習すればあんだけうまくなったんでしょうね」
「それは、アナログチックな発言であるな。【VRはモーションを登録することができる】つまり最初の爆発から終わりまでのモーションを作っとけば楽々突破できるのでアール……、まぁそんなことしなくとも普通に一発撃ちこめば死ぬのになあやつは」
白い光がなくなり、元の空間が戻ってくる。そこには無傷のスカイアースと……ボロボロの双子がいた。
「なるほど、双子を生きたか。これで共闘の道が開かれたな」
「双子を生かす? 相手は消えておりますし、死んだように見えますが」
「あの双子が爆発したら、塵も残さず消えるか、ボロボロに生き残るかの二択しかない。原型が残ってるなら生存確定だ。また爆弾が消えたので敵対する理由もなくなった」
「そもそも、双子とはなんなんですか? 途中で話が終わってしまいましたが」
「弟には再生能力があった。なので科学者は弟に【人間の生命力で爆発する】種を植えた。その結果、半永久的に肥大化し、通常では考えられない程の威力になった爆弾を弟は抱えることになった」
「爆弾って、普通人ならそれほど強くならないんじゃないんですか? そういうのは竜とか神様とかに植えられたらかなりの威力になりそうですけど」
「それが、公式で【最高の生命力】として周知されている。勿論双子の弟が爆弾をはずしてラスボス化するルートもある」
「そうなんですか、ところで兄はどう関わってくるんですか? 全く話に出てきませんが」
「兄はな、弟が爆発する手前で神様から力を貰うんだよ」
「おぉ、それは王道ですね、それで弟を元の状態に戻すと」
「いや、それは無理だ。兄の能力は【貰う前の状態】までは戻せない。つまり兄は爆発手前の弟の状態にしか戻せない」
「それなら、神様は何がしたかったんですか」
「【這いつくばって足掻いている姿を見たい】ただそれだけだ。現に弟が治りそうになると、【強制的に別の場所に飛ばす】からな」
「つまり、兄は……」
「いつ爆発するかわからない弟の爆弾を解除するために、何百、何千と様々な時空を漂流するNPCだ。ちなみ爆弾としての価値が高いので良く人間爆弾にされる。爆発したら弟も時空移動で復活した弟と別の場所にいくので特に問題なく話が進むしな」
「弟は爆発したから死んだんじゃないんですか」
「【貰った直後の状態】に戻せば兄も復活する。まぁ、時空移動もセットだから別の場所に移動するがな」
「なるほど、そういうことでしたか。……ところで長い時間話していましたが、スカイアースの挑戦はどのくらい進みましたか」
「双子兄が居なくなったので、今が七戦目。佳境であるな我輩が思ってるルートならここであやつが出るのでアール」
スクリーンに映ったのは一つ目の雲を纏ったモンスター。それを銃弾で目を撃ち続け、楽々と倒すスカイアース。三分もたたずに戦闘に勝利した。
「楽々、突破しましたね。何が難しかったのですか角地博士」
「スクリーンを見てればわかるのでアール」
一つ目モンスターが消えて数秒後、スクリーン上部にウィンドウが現れ。
『君が倒した、雲の魔物クラウディは幻だった。彼を本当に倒すには奴の雲を取り除かないと倒せないぞ。もう一度最初からやり直すんだ』
ウィンドウが消え、また戦闘に戻る。出てくる敵は【最初に戦った巨大な触手のモンスター】
「角地博士……、これって」
「見ればわかるであろう。【二周目】でアール。あの雲の魔物は【二回戦わないと先に進めない】仕様でアール。まぁ最も、サクサク進む熟練プレーヤーには苦にもならないないようでアールが」
「確かに、もう一人目を倒しましたね。さすがスカイアース。これまでの停滞位が嘘のようにサクサク進むぞ」
「そして、今ので【乱入フラグ】が立ちましたね……」
「乱入フラグ。確か格闘ゲームで特殊条件を満たせば……あっ」
「確かそれは【システムの仕様】でアールナ……」
「御三方、わかるように教えてくれ」
「ちょ、ちょっとまつでアール。少しこれの開発者と確認してくるのでアール」
・・・数分後
「確認がとれたのでアール。乱入フラグはある。というかあやつがこのコースで乱入させて勝ってるのでアール」
「こちらも、次でラストですね。相手は巨大戦艦ですが、攻撃を難なく避けてダメージを与えていきますね」
「追尾攻撃があっても、誘導切り有になってるので、ステップしたら誘導切れますし丁寧に戦えば負ける要素がないですしね」
「しかし、数分で九戦目とは早すぎないのでアールか」
「戦闘は格闘ゲームから引っ張ってるみたいで。【割合ダメージ】や【制限時間】もかけてるみたいです」
「そのため、早々にやられたりして見る分には楽しめるぞ。……九戦目も終わったな」
「タイムアップ勝利ですね。無傷なのでこちら側の勝利ですね」
戦闘ルームにて
スクリーンの画面が暗転し、数十分前に聞いた声が聞こえてくる。
「よくここまでこれたな。まぁ最も【不正を使った】勝ち上がり方だがな」
「どこで俺が不正したんだ」
「とぼけても無駄だ、二戦目の人型との戦闘の時。不正を使ってただろ。光でわからないと思ったら大間違いだぞ」
ACルーム
「と言っていますが、どう思いますか」
「実際には彼は全く不正してないんですがね。しかし不正としてネットにあげられてるみたいですよ」
「一応確認したが、何がなんだがわからなかったな。なんせ【光ってる中で光が見えただけだからな】」
「それでも、奴らは【勝利宣言をし】堂々と不正の証拠として、コネクトにも提出してるのでアール。ちなみに処分しても【運営と繋がってる】という難癖をつけられるのでアール」
「まぁ、そのための生放送ですしね。馬鹿はほっといて、先に結果だけ確認しましょう」
戦闘ルーム
「………、どうした図星をつかれて何も言えなくなったか」
「いや、おめでたいやつだなと思って。……ところでいつまで喋ってたらいいんだはやく帰りたいんだが」
「ふん、安心しろ。今すぐボコボコにしてやる」
暗転が解除され、目の前にハッカーが現れる。そして
【背後から道着を着た男が現れ、ハッカーをボコボコにする】
「笑止」
そう男が言うと、消えていった。どうやら根幹が倒されたのでクリア扱いなったらしい。
「さて、帰るか」
ログインボタンを押し。今度こそ現実世界に帰るのであった。
「ようこそ、スカイアース。自分の罠に嵌まるのはどんな気分だ」
声が聞こえてくる。今回の首謀者の清水……だったか、自分の姿も見せないとは度胸がないことだ。
「どうした、あまりの出来事にビビっちまったか」
いや、お前の小物加減にびびっただけだが。
「どうでもいいが、何かやるならとっとと始めてくれないか、こっちはわりと疲れてるんだ」
「疲れてる、ははそりゃあいい。自分の作ったシステムに殺され続ければいいさ」
「だからとっとと始めろ、【清水国光】それとも、昔の記憶が甦ってまともに動くことすら出来ないのか」
「ははは、そんな実名報道如きで俺か止まるわけないだろ、残念だったか、スカイアース。いや■■■■と言った方がいいか」
まぁ当然のようにクラッキングはするよな、まぁ個人情報など名前ぐらいしか【まともに入力してないから】無意味な事だからな。
「どうしたなんていってるかわからないぞ」
「あぁ、■■■■って言ったんだよ。このチート野郎」
チート野郎か、昔と変わらんなこのての輩は。自分が出来ないことは不正扱いする馬鹿共。引かれたレールの上しか歩けない愚か者。だから、相手もやってるからいいさの精神でチートを行う。それで起こる出来事を無視して。
「おいおい、俺は昔から【チートなんてしてないぞ】お前と違ってな」
「ふざけるな、俺がチートなんかしたはずないだろ、全部お前に嵌められたんだ■■■■に。ちくしょう発音ができねぇ」
「当たり前だ、【個人情報の漏洩】なんてできるわけないだろ。当然運営が対策してる」
「じゃあなんで俺の情報は漏れるんだよ」
「不正を行っている【犯罪者】に適用されるわけないだろ。その程度のこともわからないからチートを使ってしまうんだよ、お前は」
現に自分が本名をいってる相手は、全部不正者かフレンドになってるものだけだ。他はニックネームだ読んでる。まぁ最もフレンドでもニックネームで読んでる奴もいるが。
「うるさい、うるさい、うるさい」
「癇癪を起こすな、二十代にもなって恥ずかしくないのかお前は、どうせこの状況も生放送してるんだろ。」
「あぁ、そうだ。お前の醜態を晒す為にな」
芸がないよなこいつら、ハッキングして醜態晒して悦に浸る。もう少し捻ってくるやつはいないのか。
「この話をするのは三度だったと思うがもう一度言うぞ。【俺の繋がり知っててお前らは視聴してんだよな】」
「当然だろ、金持ちだかなんだかしれないが。そんな程度では俺は止められない」
「お前なんぞはどうでもいいんだが、見てる奴らはどうだ? そこまでしてこんな放送見る価値あるのか」
「はっ、見てる奴だって、殆どは【お前にやられた奴だ】気にしないさ」
「そうか……、ところでお前は戦わないのか」
「お前が最終面まで到達したら戦ってやるよ。じゃあせいぜい足掻いて楽しましてくれよ」
そういわれ視界が歪んでいく。そうして、不正者対策システムこと、ボスラッシュ難易度 ヘルが始まった。
スカイアースの実験室 ACルームにて
長机に座り、いかにもな席で大型スクリーンにスカイアースが映っているのを確認してる人物がいる。最も周囲はその大型のスクリーンを見るものもいれば、筐体に夢中になりコインを台の上に乗せゲームに熱中してるものもいるが……
長机に座ってる男が中継を始める。
「さて、主催者の読み通りクラッキングを受けたわけですが、ここからどうなると思います? 榊さん」
「まぁ、私から言えば、わざわざ受ける必要ないと思うんですがね。そこら辺はどう考えで角地博士」
「なに、彼はただ言いたいだけでアール。【不正しようが雑魚は雑魚】と」
「なるほど、角地博士は主催者のスカイアースが圧勝すると? 」
「勿論、当然でアール。なにしろ主催者は【無駄に対策】してる暇人でアールからな。恐らく今回も……。そういってるうちに第一の敵が出てきたのでアール」
大型スクリーンには緑の巨大な触手が映る。大型スクリーンでさえ敵の全容は映しきれてない。
「さぁ、最初の敵はディープワンです。榊さん解説をお願いします」
「ディープワンは公式で【勝てない】とされてるモンスターです。そもそもこいつを召喚されたらPC側の負けなので、いかにして召喚を妨害するかのゲームなのですがね」
「なるほど、つまり普通の方法では倒せないと」
「まぁ、倒しかたはいくつかありますが何分別のゲームとして扱われているのでね。倒すのは難しいと思いますよ」
「製作者からの辛口のコメント、さぁ挑戦者のスカイアースはどのようにああーっとこれは」
スクリーンには触手がスカイアースに当たる映像が映し出されている。しかし触手が当たったと思ったら、周囲に鎖が発生し。スカイアースの銃が撃たれ敵が消滅した。
「なんということでしょう。ディープワンの攻撃が当たったと思ったら、ディープワンが消滅しました。これが榊さんの言ってた対処法でしょうか? 」
「いや、こんな方法はありませんね。少なくとも私は想定してません」
「では、何が起きたんでしょうか? ひょっとしてスカイアース選手あれだけ嫌っていた不正行為を行ったのかー」
「あれは、一撃必殺技ですよ」
「あぁ、ここでワルツチームの長谷川さんが参加して来ました。たしかワルツゲームの大会をやっていたと思いますが。そちらの方は終わったのでしょうか」
「いえいえ、あっちはまだまだ盛り上がってますよ。しかし主催者が参加しているとあっては、僕はこちら側を見ときたいですね」
「ほぅ、それはアーケードゲームの復活をさせたからですか」
大型スクリーンでは次の敵が出現している。
「おおっと、次の敵も大型のようですね榊さん次のモンスターは。あーっと」
長机から実況者が乗り上がる。
「これはなんということでしょう。スカイアース選手、なんと、なんと、敵がでるまでに自分のこめかみに銃を撃ち、死にました。これはどういうことなんでしょう」
「お目当ての敵が出なかったので、死に戻りリセットを行ったのでアール」
「死に戻りリセット? 、それはどういうことなんでしょうか角地博士」
「このゲームは敵を複数用意してるのでアール。その中で【どうしても先に潰しておきたい相手】がスカイアースにはいるのでアール。さっきはその敵じゃないとわかったので自殺したと考えられるのでアール」
「なるほど、敵の選定ですか。榊さんどう思います? 」
「確かに選定は必要だとは思うが【ほぼ全て勝てるように調整してある】」
スクリーンには、ポリゴンから人形へと変わり、スカイアースが再度映し出される。
「つまり、何を狙ってるかはわからん」
「我輩は少しはわかるがな、それにしたらはるかに面倒な事をやると思うのでアール」
「はるかに面倒とは、どういうことですか角地博士」
「まぁ、見てればわかるのでアール。まぁ少し時間がかかるとは思うが」
そうして、スカイアースの自殺は続けられた。何度も……何度も、戦うのは最初に勝った巨大な敵のみ。そうして自殺すること数十分。何十をも試行が繰り返され、やっと状況は動いた。
「あー、ようやくスカイアース選手戦うようです。正直ここまで長かったのでだれてます。それにしてもなんですかあの人型は? 」
「あれは【双子】だ、この状況ででるのは弟の方だな」
「ほう、弟ですか……。兄と何か違いあるのですか」
「元々は超能力等を人工的に作る人体実験集団の被検体だ。弟は再生能力の増加、兄は元は素養がなかったが時空移動の能力を後で入手した」
「時空移動、それはお約束的なあれで」
「いやお約束でもなく、胸糞悪い展開だ。まぁ見てればわかる」
そうして、双子と呼ばれる男が出現する。左肩から腹にかけて大きな丸い球体が剥き出しになっている。スカイアースは双子に銃口を構え止まっている。
「何ぼさっとしてるのでアールか、さっさと撃て。死にたいのか」
「死にたいって、あれがどういう存在か知っているのですか博士」
「ええーい、話してる暇は」
話は終わる前に双子が光りだす。それに合わせるように銃を撃ちだす。
画面が白く包み込む。最も【ゲーム】なので、スカイアースは色もあるし。何をやってるかはわかる。
「あれは、何をやってるのでしょうか。なにやらスカイアースの体が白く点滅してるように見えますが」
「あれは、【ジャストガード】ですね、攻撃した瞬間にガードをすることで、一時的に無敵状態になりさらにゲージも増えます。勿論ガードによる削りもありません。まぁ簡単に言ってしまえば。爆発の最初にタイミングよくガードして、爆発が終わるまでそれを繰り返してるって感じですね」
「なるほど、しかしジャストガードはそんな簡単にできるものなのでしょうか」
「通常は相手の攻撃から2Fつまり1/30が猶予のタイミングですね」
「ちなみに、【人間の反応速度】がだいたいそのぐらいでアール」
「反応速度ということは、普通は反応できないんじゃないんですか」
「それを読んで動くのが、格闘ゲームなんですよ。まぁVRのせいで廃れちゃったけどね。まぁそう思うのも今回までかな。立派にジャスガ繰り返してるもんね、スカイアース君はいったいどれくらい練習すればあんだけうまくなったんでしょうね」
「それは、アナログチックな発言であるな。【VRはモーションを登録することができる】つまり最初の爆発から終わりまでのモーションを作っとけば楽々突破できるのでアール……、まぁそんなことしなくとも普通に一発撃ちこめば死ぬのになあやつは」
白い光がなくなり、元の空間が戻ってくる。そこには無傷のスカイアースと……ボロボロの双子がいた。
「なるほど、双子を生きたか。これで共闘の道が開かれたな」
「双子を生かす? 相手は消えておりますし、死んだように見えますが」
「あの双子が爆発したら、塵も残さず消えるか、ボロボロに生き残るかの二択しかない。原型が残ってるなら生存確定だ。また爆弾が消えたので敵対する理由もなくなった」
「そもそも、双子とはなんなんですか? 途中で話が終わってしまいましたが」
「弟には再生能力があった。なので科学者は弟に【人間の生命力で爆発する】種を植えた。その結果、半永久的に肥大化し、通常では考えられない程の威力になった爆弾を弟は抱えることになった」
「爆弾って、普通人ならそれほど強くならないんじゃないんですか? そういうのは竜とか神様とかに植えられたらかなりの威力になりそうですけど」
「それが、公式で【最高の生命力】として周知されている。勿論双子の弟が爆弾をはずしてラスボス化するルートもある」
「そうなんですか、ところで兄はどう関わってくるんですか? 全く話に出てきませんが」
「兄はな、弟が爆発する手前で神様から力を貰うんだよ」
「おぉ、それは王道ですね、それで弟を元の状態に戻すと」
「いや、それは無理だ。兄の能力は【貰う前の状態】までは戻せない。つまり兄は爆発手前の弟の状態にしか戻せない」
「それなら、神様は何がしたかったんですか」
「【這いつくばって足掻いている姿を見たい】ただそれだけだ。現に弟が治りそうになると、【強制的に別の場所に飛ばす】からな」
「つまり、兄は……」
「いつ爆発するかわからない弟の爆弾を解除するために、何百、何千と様々な時空を漂流するNPCだ。ちなみ爆弾としての価値が高いので良く人間爆弾にされる。爆発したら弟も時空移動で復活した弟と別の場所にいくので特に問題なく話が進むしな」
「弟は爆発したから死んだんじゃないんですか」
「【貰った直後の状態】に戻せば兄も復活する。まぁ、時空移動もセットだから別の場所に移動するがな」
「なるほど、そういうことでしたか。……ところで長い時間話していましたが、スカイアースの挑戦はどのくらい進みましたか」
「双子兄が居なくなったので、今が七戦目。佳境であるな我輩が思ってるルートならここであやつが出るのでアール」
スクリーンに映ったのは一つ目の雲を纏ったモンスター。それを銃弾で目を撃ち続け、楽々と倒すスカイアース。三分もたたずに戦闘に勝利した。
「楽々、突破しましたね。何が難しかったのですか角地博士」
「スクリーンを見てればわかるのでアール」
一つ目モンスターが消えて数秒後、スクリーン上部にウィンドウが現れ。
『君が倒した、雲の魔物クラウディは幻だった。彼を本当に倒すには奴の雲を取り除かないと倒せないぞ。もう一度最初からやり直すんだ』
ウィンドウが消え、また戦闘に戻る。出てくる敵は【最初に戦った巨大な触手のモンスター】
「角地博士……、これって」
「見ればわかるであろう。【二周目】でアール。あの雲の魔物は【二回戦わないと先に進めない】仕様でアール。まぁ最も、サクサク進む熟練プレーヤーには苦にもならないないようでアールが」
「確かに、もう一人目を倒しましたね。さすがスカイアース。これまでの停滞位が嘘のようにサクサク進むぞ」
「そして、今ので【乱入フラグ】が立ちましたね……」
「乱入フラグ。確か格闘ゲームで特殊条件を満たせば……あっ」
「確かそれは【システムの仕様】でアールナ……」
「御三方、わかるように教えてくれ」
「ちょ、ちょっとまつでアール。少しこれの開発者と確認してくるのでアール」
・・・数分後
「確認がとれたのでアール。乱入フラグはある。というかあやつがこのコースで乱入させて勝ってるのでアール」
「こちらも、次でラストですね。相手は巨大戦艦ですが、攻撃を難なく避けてダメージを与えていきますね」
「追尾攻撃があっても、誘導切り有になってるので、ステップしたら誘導切れますし丁寧に戦えば負ける要素がないですしね」
「しかし、数分で九戦目とは早すぎないのでアールか」
「戦闘は格闘ゲームから引っ張ってるみたいで。【割合ダメージ】や【制限時間】もかけてるみたいです」
「そのため、早々にやられたりして見る分には楽しめるぞ。……九戦目も終わったな」
「タイムアップ勝利ですね。無傷なのでこちら側の勝利ですね」
戦闘ルームにて
スクリーンの画面が暗転し、数十分前に聞いた声が聞こえてくる。
「よくここまでこれたな。まぁ最も【不正を使った】勝ち上がり方だがな」
「どこで俺が不正したんだ」
「とぼけても無駄だ、二戦目の人型との戦闘の時。不正を使ってただろ。光でわからないと思ったら大間違いだぞ」
ACルーム
「と言っていますが、どう思いますか」
「実際には彼は全く不正してないんですがね。しかし不正としてネットにあげられてるみたいですよ」
「一応確認したが、何がなんだがわからなかったな。なんせ【光ってる中で光が見えただけだからな】」
「それでも、奴らは【勝利宣言をし】堂々と不正の証拠として、コネクトにも提出してるのでアール。ちなみに処分しても【運営と繋がってる】という難癖をつけられるのでアール」
「まぁ、そのための生放送ですしね。馬鹿はほっといて、先に結果だけ確認しましょう」
戦闘ルーム
「………、どうした図星をつかれて何も言えなくなったか」
「いや、おめでたいやつだなと思って。……ところでいつまで喋ってたらいいんだはやく帰りたいんだが」
「ふん、安心しろ。今すぐボコボコにしてやる」
暗転が解除され、目の前にハッカーが現れる。そして
【背後から道着を着た男が現れ、ハッカーをボコボコにする】
「笑止」
そう男が言うと、消えていった。どうやら根幹が倒されたのでクリア扱いなったらしい。
「さて、帰るか」
ログインボタンを押し。今度こそ現実世界に帰るのであった。
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