正式版開始　BAN祭り 1

「社長、どうしてあの子供の言う事を信じたんですか」


「君は彼らについて知らないんだよね」


「【彼等?】金剛氏はいいとして、もう一人の小僧に関しては全く知りませんよ」


「まぁ、事件を知らない君はそんな認識になるのはしかたがないね。事件を知ってる僕にとっては、彼等は悪魔に近いよ。君を誘ったのも少しでも【被害を減らす為だからね】まぁすぐにわかるさ」










正式版開始、一時間後。ハッカー集団は困惑していた。


「話してた内容と違うじゃねぇか」


それが共通の認識であった。【対策したはずの強制転移】は普通に使われてるし。【ログイン不可の処置】は逆に【こちらのみに】なってしまい。虎の子の【召喚モンスター】に関しても。


「はは、温いのぅ。あの触手の方が何倍も強かったわ」


【初めから知ってかのように】対策済みのキャラクターが配置されて居る。まぁ何故か【そのキャラクター】も何人か巻き込まれてる奴らが居るが、とりあえず【打ち合わせの内容】の内容と違いすぎる。金が多く【後遺症も残さない】から請け負ったが、【他の箇所も同じようだし】これだと無理だな。


「違約金増しにして貰わないとやっていけないなこりゃあ」


「おやぁ、まだ金が入ると思ってる愚か者が居るのかね」


先ほどまで召喚したモンスターを当てていた爺さんがこちらに近寄ってくる。おいおい【雑魚とはいえ、このゲームでの最終のモンスターを召喚したのに】なんであっさり倒してるんだ。


「思うね、なんせ【コネクト本社】からの依頼だ。できなきゃ。【この情報を流すだけだ】」


「ほうほう、【その依頼者が本社から切り捨てられたと】わかってもか」


「それでもだな、【こっちはコネクト社からの依頼書を持っているんだ】これがある以上俺達は負けねぇよ」


「ほう、【依頼書】か、ところで外の世界は大丈夫なのかな。【連絡はちゃんととれているのかな】」


何を馬鹿な事を連絡なんてつくに……


「あれ、おいどうした。何故応答しない」


「おやおや、応答がないとは【現実世界で】何かあったかもしれんのう例えば【不正侵入】で警察が来ているとか」


「ははは、【警察? 】そんなの来るわけないじゃないか」


「そうかの、例えば依頼金よりと同等の金額を【個人】に渡した場合や、【負け戦今のこの状況】を知っていた場合はどうかの」


「……」


そんなわけないとは言えない。元より【きな臭い】と思ってる奴らもいた。【金とリスクが合っていなかった】しかし【社長にも会ったし】信頼はできると思った。だからこの依頼を承諾した。


「ふむ、その顔を察するに、裏切られる可能性は知っておったと」


「確かに、羽振りがいい仕事だったから訝しんだが、このご時勢だ【貰えるもんは貰っとかないと】」


「ふむ、それでは。より儲けられるように【鞍替え】せんかね」


「へぇ、そっちは幾ら位貰えるんで」
















「なんだ……、なんだこれは【何故、強制転移が発動している】」


自らが削除したはずなのに、何故動いている。


「削除コードを移行コードに変える。バックアップを取っていた。そもそも削除したのがダミーだった。考えられるのはたくさんあるね」


「そんな、【そんなしぐさをしている奴なんて】居なかったぞ」


そうだ、誰にも気づかれていなかったはずだ。【私は一切疑われていなかった】


「それは当然でアール。【初めから全員敵だと判断している】人間にそこまでの重要な情報を臭わせるわけないのでアール」


全員的、馬鹿なじゃあ【作ったものはどう管理するんだ】


「つまり、雇った人材は全て敵だと想定し【フレンドの開発者】以外には管理させなかったと」


「多分、バックアップも保存も別枠でアールな。そもそも作業場所も【隔離】されていると考えられるのでアール」


そんな馬鹿な、確かに【来るのは少ないと感じたが】いやまて、そもそも何回あいつは来たのだ。進捗の確認で上が行ってるのは聞いたことがあるが。


「まぁ、これは君のせいじゃないよ。彼等と対峙した時点でこうなることは想定してなくちゃいけなかったんだ。しかし厄介なことになったね。【警察放ったの】君じゃないでしょ」


「【八百長】している人間がしていい行為ではないですね。そんなことをして【依頼放棄】されたら意味がないじゃないですか」


「てことは、【呼んだのは金剛氏】ってことだよね、つまり交渉の材料が増やされるのか」


「交渉って」


「彼等は【僕から毟れるだけ毟る気でいるらしい】つまり、交渉材料を増やしているんだ。今のなら【依頼書】を金剛が持ってて【警察がハッカー確保してるのが】痛いね。恐らく【自分の都合が悪い交渉になれば】このカードを切ってくるだろうね」


「お主ら、後のことを考える前に、今に目を向けるのでアール。本日のメインが動き出したぞ」


そうして、彼等は見ることになる。自分たちが動いていない。本物の悪意というものと。