コネクト  創造する世界

AAA

コネクトβ

 技術の進歩と共に遊びも進化してきた。はじめは物を使わないものだった。鬼ごっこやかくれんぼ。次に物を使った単純な物、けん玉やトランプ、将棋やチェスと言ったボードゲーム。やがて遊びは機械を用いるようになり、TVゲーム、車やコックピット等の筐体。そして今、遊びはVRまできた。VRは画期的だった、場所を選ばず、調整も機器、幅広い用途にも対応できる。VRは盛り上がった、それこそあるアンケートで国の人口の40%はVRを体験したことがあると回答したぐらいだ。


 しかしVRによりある問題が生まれた。VRの技術の高さから、それ以降の開発ができなくなってしまったのだ。その為、少しずつ、少しずつであるがVRに飽きてくる人物が出てきてしまったのだ。


 開発者達は悩んだ。ネットゲームのような物を作成しようが、シューティングゲームのような物を開発しようが二番煎じと呼ばれてしまい。開発する度に売り上げの勾配が下がっていく。開発者達は悩んだ、悩んだ結果一つの回答をだした。


「それが、VRの多機能世界を統合して作り出された、新たな電脳の世界。全てを混ぜ、プレイヤーと創造していく世界か」


 大空大地は今月のVR専門雑誌を読んでいた。理由は勿論、この大型VRコネクトの特集が知りたかったからだ。


 コネクト、それはゲーム名でもあり、会社名でもある。このゲームはマイナー、メジャーほぼ全てのゲーム会社とVR機器の開発元であるナノ社が提携を結び。ゲーム会社コネクトとして開発したゲームである。そのニュースは連日ニュースで報道され、色々と議論になっている。


 まず全てのゲーム会社が関わったことにより。今まであったゲームは維持するだけとなった。最もイベントとかは少しは実装されていたが。その結果。多くのユーザーがVRから離れていった。まぁ個人的には受験勉強に励むことができたので、いいタイミングだったんだが。


 次に、対象年齢がごちゃ混ぜになったこと。これは全てを混ぜた結果。R18要素も含まれており、当然コネクトにもその要素は含まれている。コネクト社としては、混ぜないようにはしているみたいだがキャラエディット等ができる以上プレイできる可能性がある。そのためコネクト社は人権団体や教育者関係から大きなバッシングを受けた。【なんで全てを混ぜたのか】とね。まぁこれも【いやならやらなければいい】の一言で終わったってしまったが。そもそもVR発表により犯罪率が減少しているという結果から、大きな声で反論したところで……なんだけどな。




 最後にゲーム内通貨の電子マネー化、これが大きな波紋を呼んだ。ナノ社は元々家電メーカーである。またナノ社で開発された電子マネーも普及しつつある。コンビニ等でも使えるレベルには浸透している。その電子マネーをゲーム通貨と相互変換できるといっているのだ。またコネクトの代表である誠氏が「ユーザーの2割をコネクトだけで生活できるよう支援する」との発表をよりも行っている。その結果子供の夢の上位に、「コネクトプレイヤー」が入ってしまったことも物議を醸す※。


 とまぁ、始まる前から色々あるわけだが。個人としては多いに期待している。期待の理由は社員からのメールだ。というのもほぼ全てのゲーム開発者が関わっているため、自分が今までやっていたゲームも含まれている。自分は中学からVRをはじめたが、中学はファンタジー、高校はロボットを行っていた。特に高校時代は鉄塊というゲームで上位300には入っている程度にはやりこんでいた。その結果、コネクト社から多くのメールが届いている。全てやったことがあるゲーム会社からだった。曰く「○○との連携で、△△が再現できるようになった」「○○がさらに進化した」など期待ができる情報が次々に送られ、さらには、「β版体験に大空様には鉄塊専用サーバーに招待、鉄塊ユーザーとの同窓会も開催」や「鉄塊サーバー限定。鉄塊アカウントデータを読み込みB版でコネクト版鉄塊限定体験、装備品はアカウントの機体そのまま」のメールが届いた日には、数年ぶりに鉄塊を起動したレベルだ。まぁオンラインは停止してるので、ソロで感覚を取り戻したり、武器の調整を行うだけだったが、それでもワクワクが止まらなかった。


「あと、五分か」


 βまで後五分ある。数十分前まで鉄塊をプレイしたため準備は万端だ。余りに時の流れが遅く感じたのでコンビニでコネクト特集の本を買って読んでいた。それでもまだ五分もある。


「まだか、まだなのか」


 VR機器をセットして接続を待つ。視界には「コネクトβまで後150S」の表記が見える。149.148……時間がどんどん減っている。それに反比例するかのように心臓の鼓動が高まる。こんなにワクワクしたのは初めてVRをやった時以来か。あのときもデータの読み込みが待ちきれずVR機器歌舞って待ってたっけな。


3.2。1そしてついに。


「コネクトβに接続を開始します」


 待望の、コネクトへの接続が開始された。


 接続された、先は青い空間だった。目の前には一人の男性がいる。


「ようこそ、コネクトへ大空君」


 自分の名前を呼ばれて驚く


「あぁ、よろしく。えーと……」


「あぁ、僕は鉄塊、火器関連の開発担当 岩井勝だ。よろしく 」


挨拶と同時に「フレンド申請、岩井勝M」が送られてくる。


「えっ、開発者なんですか」


「あぁ、代表挨拶でものべてたと思うけど、このコネクトってゲームはユーザーと共に作るゲームだからね。だからβ版ではとりあえず開発者全員が気に入ったユーザーに会いに行って、フレンドになることにしてる。勿論数に限界があるし、ほとんどはAIだけどね。上位ランカーとかはほぼ全員社員からのフレンド登録を貰っているかな」


なんというか想像の遥か上にいってる。


「ちなみに。選ばれた理由って」


「勿論、君の機体構成さ。上位には多くの機体があったが君ほどギミック満載の機体はなかったね」


「あぁ、【昆虫シリーズ】ですかあれ普通の機体よりも遅くなったり、脆くなったりしますけどね」


「でも、つかうんでしょ」


「たまたま使いたい機体がそうなるだけですよ」


 どうも自分のやりたいことは。周りではマイナー扱いになるらしい。ただ単に瞬間火力とか浪漫を求めてたらそうなっただけなんだけどなぁ。


「とりあえず、フレンド登録をしたいのですが。どうすれば承認できるのですか」


「あぁ忘れていたよ。えーとまずはチュートリアルだから」


 その後30分程度、コネクトついての基本登録をすませた。どうやらコネクトは他のVRに行く空間があるみたいで、コネクトベースと呼ぶらしい。またコネクト空間では基本、リアルなアバターになるとのことだ。最も個人用のベースもあるためわざわざ集団の所に行かなくても問題はない。


「まぁ何か聞きたいことがあったら聞いてよ。βから初期設定とフレンドは引き継げるから」


 ブーブーと警告音のようなものが聞こえる。


「おっともう時間か、とりあえずチュートリアルを一つやってからすぐに対人戦にいけるようにするから」


 岩井さんの体が消えていく。どうように自分の体も消えていっている。


「それじゃあ同窓会楽しんでいってね」


 そうして、見慣れた景色へと移っていった。

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