ペンの勇者 勇者の秘密

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復活の兆し

 ライク「……ってことがあったんだ」


 全てを話してみるが……


 ジョッシュ「うーん、やっぱりわからんな。元魔王はわかるけど他の……特に勇者についてはなに言ってるかさっぱりわからない」


 どうやら、前に僕が味わったように話せない内容が含まれているらしい。


 ジョッシュ「とりあえず、この夢ってのは重要なんだな」


 ライク「うんその夢はジョッシュの○×の夢だから」


 ジョッシュ「うん、聞こえん。だけど予想することが出来る」


 どうやら持ち物が勇者であることは無理らしい。他にも自分が二世勇者であることも無理だったしかし。


 ジョッシュ「それにしても、勇者だけでなく魔王の可能性もあるなんてな」


 魔王については秘匿になってないのか。これは聞いた方がいいかも。


 右腕からオッゾさんを呼び出す。


 オッゾ「このタイミングということは、規制についての話でいいか」


 ジョッシュ「なんだこのお兄さんは」


 オッゾ「なに、ただの主従関係さ。それで規制についてだが」


 片目が光る。


 ジーウ「それよりも、話しておく必要がある」


 またジーウが出てくる。それなりに痛いから出るときは入って欲しいんだけど。


 ジーウ「すまない……がことは重要そうだからな」


 ジョッシュ「この人が……魔王、なんか至って普通に見えるけどな」


 ジーウ「ふっ」


 ジーウの姿が変わっていく。


 ジョッシュ「ひぃ」


 ジーウ「これでも腐っても魔王だ、威厳がないならこのままでもいいが」


 ジョッシュ「私が悪かったです。すいませんでした」


 ジーウ「わかればいい」


 元の姿に戻る。うんやっぱりそっちの方が好きだな僕は。


 ジョッシュ「あぁ、パンツ変えないと……それで重要なこととは」


 ジーウ「あぁ、先程の試験を見て思ったが、【近いうちに魔王が復活するぞ】」


 ライク・ジョッシュ「魔王が復活!」


 そんな……なんで。


 ジーウ「どうせわからんが、魔王は○×の△□○×だ」


 ライク「なんていってるかわかりません」


 ジーウ「まぁ、わからなくてもよい。ようはこういう事件が頻繁するのは魔王の復活の兆しってことだな」


 事件が復活の兆し。それなら。


 ライク「魔王は……ウルなのですか?」


 ジョッシュ「ハハーン、それなら今までの行動は納得するぜ。あんなの魔王じゃなければあんな言動にならないしな」


 ジーウ「……【魔王の影響を受けている可能性はある】しかし言ったとおり、勇者と魔王は紙一重だ。むしろウルは操られてるだけで、お前達を魔王にするのが目的かもしれない」


 なるほど、ようはどっちにもなるわけだ。


 僕達が落ちて魔王になるか、あいつが落ちて魔王になるか。


 ライク「ようは、僕達が勇者になって、ウルが魔王になればいいんだね」


 ジーウ「違う、○○は……ええぃくそ」


 いったい何が問題なんだろう。


 ジーウ「おい、お前。わかっているんだろ言いたいこと」


 ライク「本当?ジョッシュ」


 なら何で教えてくれないんだ。


 ジョッシュ「おおよそは予想がつく」


 ジーウ「なら」


 ジョッシュ「だがいうきはねぇ、俺の奥底にはそれぐらいの感情が残ってる」


 それを聞き、ジーウは声を荒げる。


 ジーウ「それは貴様の魔王に繋がるぞ」


 ジョッシュ「魔王、いいじゃないか。それであいつを倒せるなら【俺は魔王でも構わない】」


 ここまで深いものがあるなんて……いや違うか。


 ライク「今回の騒動が原因になった。そうだね」


 ジーウ「なんだと」


 ジョッシュ「俺と同じ生徒だった人の姉がやられた」


 あぁ、やっぱりか。ついでにいえば。


 ライク「好きなんだねその人が」


 ジョッシュ「あぁ」


 ジーウ「馬鹿かそれは『例え偽りの恋だとしても』」


 ジーウの話を遮り続ける。


 ジョッシュ「例え仕組まれていたとしても、あぁこうやって敵を作り戦争の道具になったとしてもだ」


 床を砕き、明確な殺意をあらわにする。


 ジョッシュ「それでもだ、知っちまったんだ。思ってしまったんだ」


 ジーウ「こうなると仕組んで、お前の感情を流したとしてもか?」


 ジョッシュ「話をすりかえんな、元はといえば【あいつらがこんなことをしなければこうはならなかった】あぁ、そうさあいつらがこんなことさえしなければな」


 どうやらジョッシュが本気みたいだ。つまり……


 ジーウ「ライク、もうこいつは無理だ。何をしても止まることはない」


 ライク「諦めろって事?」


 そんなのあんまりだ、もしそんなことなら


 ジーウ「話を最後まで聞け!」


 一喝される。


 ジーウ「お前らは危ういんだ。何故魔王と勇者だけ、話せるかわかるか?【そうした方が落ちやすいからだ】光の中に闇は有。闇の中に光り有。勇者の中に魔王有。魔王の中に勇者有。囚われれば囚われるほど良くない方向に行くぞ」


 ライク「だったらどうしたら」


 ジョッシュ「俺は止まらないぞ」


 ジーウ「馬鹿共が、お前ら自身が忘れてどうする。魔王に落ちないためには」


 溜め込まず発散する。


 ジーウ「特に魔法使い、貴様は【溜めすぎた】とっとと娼館なり、関係者皆殺しなりして発散してこい」


 ジョッシュ「いいのか、どうみても非人道的な行為にみえるが」


 ジーウ「はん、勇者や魔王に【人道も非人道もあるか】」


 ちょっとまってそれはどういう意味。


 ジーウ「ライク、お前が思ってる以上に勇者は過酷で辛くそして【意味のない】行動なんだ」


 ライク「それはどういう……」


 ドアにノックされる。どうやら会議が終わったみたいだ。


 ジーウ「オッゾ帰るぞ。そこの魔法使い。やるならやればいいがやるなら他所でやれ」


 ジョッシュ「それは、俺じゃなくてあいつらにいえ」


 ジーウ「ちっ、結局はこうなる運命なのか」


 こうなる運命。ひょっとして前にもあったのか。


 シス「入るよ」


 ライク「シス国王」


 シス「我々は早急に帰らないと行けなくなった。すぐに帰るよ」


 ライク「あの後どうなったのですか?」


 シス「……」


 シス国王は静まってしまう。


 シス「何も言えない……いや」


 ライク「いってもわからないですか?」


 シス「……そうです。そこまでもういっていたのですか……」


 シス国王は少し考えこんで。


 シス「ベルの国で学校を受ける気はないかね」


 何度か……そう何度かその言葉は聞いた。しかし今このときは話が変わっている。


 この国は変だ。いや違う。騎士が変だ。それがおかしい?


【なんで騎士だけなんだ】何故他は異常ではない。それに……


 ジョッシュも変だ。おまけにジーウも意味深なこと言ってるし。


 ライク「もう【戻れないんです】」


 シス「どういうことですか」


 ライク「騎士の異変」


 シス国王の顔がピクッと顔を引きつる。


 ライク「おまけに、友人が変です。えぇ【まるで何かに憑りつかれたように】」


 シス「ほう、理由はわかっているのですか」


 ライク「好きな人が死んでいたみたいです」


 シス「……そう……ですか」


 その顔、恐らく知っているのだろう。ジョッシュがあぁなった理由を。


 ライク「知っているんですね」


 シス「えぇ、しかしそれは伝えられません」


 あぁ、嫌になるな。どうしてこう。【わかるのに教えてくれないのだろう】


 ジョッシュのこと以外にも、勇者の事、騎士の事、


 知りたいのに


 わかりたいのに


 知ってる奴が居るのに教えてくれない。


 あぁそれは……


 体に何かが纏わりつく感じがする。


 不意に衝動に襲われる。


『・え』


 その思いは不意に起こり。その衝動が強くなってくる。


『そえ。襲え』


 頭にこだまする。


『襲え。その知識を奪い取れ』


 その言葉はどこから聞こえなくしかし芯に響いていく。


『そいつらはわざとだ、わざとお前らに教えていない』


 違和感を覚える。何に?


『それはお前らに不都合で、あいつらに都合がいい』


 何で?違和感が増える。


『そうだ、これは勇者としての当然の権利だ』


 ライク「それはありえない」


 シス「ライク君?」


 勇者の権利?ふざけるな。こちらに都合が悪い?ふざけるな。知識の奪い取れ?ふざけるな。


 ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。


 何処の誰が言ってるのか知らないが、ふざけるなよ。


 ようはこの纏っている何かが問題なんだろ。


 筆を取り出し。物体化を行う。


 シス「ライク君いったいなにを」


 ライク「少し黙っててください」


 思ったより物質化がうまくいかない。


 ライク「あーもう」


 何故かこいつを物質化するのにやっきになっていた。何故かはわからないがこいつは今ここで壊してしまった方が良い。そう直感していた。


 気づけば目が焼けるような痛みと共に、視界の一部が変わる。


 書く文字に光がつく。その光が強くなるように、筆先を光らすように文字を書く。


 ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ ルギン現れろ


 ライク「 ルギン現れろ


 その言葉を発した事はなかった。その文字を書いたことはなかった。


 しかし、僕はこの意味は知っている。使い方もわかっている。何故かは知らないが知っているのだ。


 そうして纏っていた何かに触れられるようになり、それを剥がし右上で彼を呼ぶ。


 オッゾ「連続で呼ぶなら、留まらせて欲しか・・・。なるほど、これは」


 ライク「壊してください」


 オッゾ「ふむ……」


 手から爪が伸びナイフのような長さになる。


 爪を伸ばし、歩いたと思ったら。纏わりついてた何かの先にいて。


 オッゾ「なるほど、切れるのか」


 刻んでくれた。そしてそのまま消失してくれか。


 消失を見終わると、スッキリしていた。何か重くしていた物を取っ払ったように感じる。


 オッゾ「これでよろしいですか」


 ライク「うんありがとう」


 戻らない、片目でズキズキしながらお礼を言う。


 オッゾ「君なら……本当に」


 ライク「本当に……何?」


 また教えられないのかと思ったが。


 オッゾ「本当に、勇者になれるかもな」


 そういい。オッゾさんは消えていった。


 シス「シス君今のはいったい?」


 ライク「さぁ、僕もわかりません」


 だけど……


 ライク「恐らく良いことをしたんだと僕は思います」



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