ペンの勇者 勇者の秘密

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名もなき村

 ライク「ここが名もなき村」


 ミヒト「行ける場所的にこれが最後ね」


 リリ「まさか、遺跡の空間で1年たってるなんてね」


 おかげで受験勉強がヤバい。


 キルダ「ミヒト、リリさん下がりなさい」


 リリ・ミヒト「へっ」


 村から、異形なものが出てくる。思い出すのは夢の中のあの光景。


 あれは恐らく……


 人なんだろうと思う。父さんもそれがわかってるから母さんたちを下げた。


 ライク「危ない」


 母さんたちの動きを父さんが止める。


 ミヒト「キルダ」


 キルダ「落ち着け、周りは騒いでないし壊れたものもないだろ」


 父さんの言うとおり、村は見えるが煙も何もあがっていない。


 ミヒト「だからといって」


 ???「そこの人の言うとおりですよ」


 現れたのは、たくさんの目がある異形だった。体は骨などは見えず。水のような流動体だった。


 ミヒト「ひっ」


 ???「貴方と後ろの臨戦態勢の方は外で待っていてください。そこなら襲いませんから」


 奇妙な声だ、まるで心に響くような……


 ???「貴方は珍しいこと考えますね」


 うん、そうなのか?自分にとっては普通だから考えたこともなかった。


 ???「その、気持ちは大切にした方がいいですよ。少なくとも隣の方みたいに心を閉ざすしたり、その隣で憎悪するよりかは好感が持てます」


 ずるずると村に戻っていく。


 あっ後ろにも眼がついてるんだ。食べるのは下かな?


 そう思いながら着いていこうと思ったら、母さんに止められる。


 ミヒト「待ちなさい」


 ライク「大丈夫だって」


 ミヒト「あれは駄目よ」


 いつもの母さんらしくない。その目は恐怖している。


 それはあの人に? いや違うような気がする。


 ライク「何で?」


 ミヒト「あれは【貴方とは違うのよ】」


 それは僕に言ってるようで……母さん自身に言い聞かせるように言い放つ。


 ミヒト「あれは違うのよ、あれは貴方じゃないの、あれは……あれは【私じゃないの】」


 ライク「母さん? 」


 ミヒト「あれは【化け物】なのよ、私とは違うのよ当然私から生まれたライクも当然【化け物】なんかじゃ……」


 ???「それぐらいなしときな」


 今度は二足足の鳥かな?それっぽいのがこちらにくる。


 ???「そこの」


 キルダ「私か?」


 ???「後ろの連れて帰んな。邪魔だ」


 キルダ「……わかった」


 ミヒト「ちょっと」


 父さんが腹に一発母さんにいれる。久しぶりにこの光景を見た。


 ミヒト「ラ……」


 キルダ「さて、リリさんも眠ります? 」


 状況についていけず。リリさんは固まっている。


 ライク「僕は大丈夫だから、先に帰ってていいよ」


 返事もしてくれない。そして目の前では臨戦態勢を解除しようとしない。


 キルダ「はぁ」


 とため息をつき父さんが1発腹にいれる。


 リリ「うっ」


 りりさんも眠りにつく。


 キルダ「じゃあ、後は頑張れ。後悔だけはするなよ」


 ライク「わかった」


 ???「帰りのテレポートは用意してやる。さっさと行け」


 父さんたちは行ってしまう。


 ???「お前はこっちだ」


 鳥さんの後ろをついていく。


 村の中は異様な光景だった。殆どは鳥さんと同じように何かが変異していた。


 ???「さてここがお前の部屋だ。10日分はここに居ても良い」


 10日か……足りるかな?


 ???「足りるかなって、長居する気?」


 最初の目玉の人に出会う。


 ライク「こんにちわ」


 ???「……やりづらいですね」


 ???「間違っても、あの国王が送ってきた奴だからな。そこらへんは心得ているんだろう」


 ???「そうですね、あの国王ならそれもありえますか。とりあえず【役職については話さない方がいいですよ】」


 役職?あぁ、候補生のことかな。


 ???「それです。それは軋轢を……もうか」


 人型のいや普通の人間がこちらに近づいてくる。


 ???「あら、中々面白そうなことしてるじゃない。私も混ぜてくれない。シ・ア・ン」


 ……感情を出さないように押さえ込む。


 シアン「言わなくても勝手に混ざるでしょヨウ姉さんは」


 明らかに不機嫌になっているのがわかる。


 ヨウ「あらあら、そんなことはないわよぉ。ただ姉として貴方が重大なミスをしないかって思ってるだけだからぁ」


 あぁ、こいつはあれか。


 ヨウ「あれ扱いなんて酷くないかしらぁ」


集中する。幼少期のあの頃に覚えた人の閉じ方。逃げ方。


 ライク「それで、シアンさん。話の続きを」


 シアン「はぁ」


 ヨウ「ねぇ、……い…。……な…、……と…。」


 まだ雑音が残るか。


集中する。声は環境音のように雑音となり、視界には背景のように映らない。


 ヨウ「ざ……、……、……。」


 もう大丈夫かな。


 ライク「あぁ、ごめん雑音が残ったから。それでなんで軋轢を生むんだっけ」


 シアン「……」


 ライク「あれどうかしたのかな」


 一応念の為、周囲を確認みるが、特に何もないな。背景にもヒステリックな方が映ってるだけだし。更年期障害かな。


 シアン「更年期障害ってそれは酷いんじゃないの?」


 ライク「いやだって、あれは酷いでしょ。同情・・・」


 一発痛いのをお見舞いされた。不意打ちなのでかなり痛い。


 ライク「って」


 二発目がくる。見えているのなら普通に避けれるが。


 ライク「一発は一発だ」


 顔面に一発お返しする。


 ???「ヒュー」


 これには鳥人間さんも反応する。


 ???「よくやるな、心読める相手に」


 ライク「読めるからこそですよ、嫌がらせってわかってやってるんでしょ」


 ???「いや、そういうわけではなくてな」


 シアン「避けて」


 ???「おぉ、あぶね」


 気づけば銀色のネバネバに襲われていた。


 ヨウ「よくもやってくれたわね、お返しよ」


 記憶がフラッシュバックする。


 この記憶は苛められている時の記憶だ。両親も手を貸してくれず。ジョッシュとのまだ仲良くなっていなく。村人もまだ白い目を見ていない時代。


 ウル「できそこない」


 唐突な罵倒から始まる。名前では呼ばれず、出来損ないと呼ばれる。


 ウル「できそこない、できそこない。勇者を夢見てここにきた出来損ない。俺みたいに勇者になる素養も力も、権力もないできそこない」


 やめろ。


 ウル「知ってるか?お前は本来死んでるはずだったんだぜ。俺の両親が可愛そうだから生かしてやったらしいんだが」


 やめろ、やめろ


 ウル「まぁ、その結果生まれる時間が変わって、出来損ないになったんだけどな。あぁ~可愛そうだよな。両親……」


 ???「そこまでにしておけ」


 空間が割れる。過去の映像が消え去る。


 そこの居るのは、飛び切りローブを被り骸骨の女性・・・いや。


 ライク「お姉さん」


 ???「ふん、不快だな。そんなに過去を見たいなら見せてやろう」


 お姉さんからの顔から光が出る。


 ???「あぁ、ライクは帰れ。私はおしおきしてから帰る」


 ライク「お姉さん」


 ???「何だ」


 人型の頃とかうってかわって、その見た目は恐怖そのものだった。


 ライク「その顔怖い」


 ???「むっそうか」


 形が変わり、見たことのあるお姉さんに戻っていった。


 ライク「うん、そっちの方が好きだよ。僕は・・・」


 お姉さんはクスッと笑い。


 ???「そうか」


 光を出すのを辞めて。こちらを振り向く。


 ???「あまり無茶はするなよ。何回も助けられないぞ」


 ライク「大丈夫……多分」


 ???「多分っておまえなぁ」


 シアン「ライク、ライク」


 どうやら、シアンに呼ばれているみたいだ。


 ???「ほらさっさと戻れ」


 ライク「うん、ありがとうお姉さん」


 呼ばれている方角に向かい歩く。


 シアン「ライク」


 ???「小僧」


 近づくごとに声は大きくなる。そうして


 足をジタバタさせながら起きる。


 シアン「よかったぁ」


 ???「ったく心配……おいその目」


 ライク「目?」


 あっそうか、あれが発動してるのか。


 ライク「あぁ、気にしないで。プレゼントされただけだから」


 ???「気にするなって……はぁ、まぁいいや、後任せる」


 鳥人間さんは出て行った。


 ライク「シアンは大丈夫?他にすることない」


 シアン「他にすることって・・・何よ?」


 うーん例えば。


 ライク「僕みたいな形になってみるとか?」


 シアン「……」


 まぁ、話の流れからこれができないのは知ってるけど。


 ライク「お姉さんは暫く何もできないくらいにコテンパンにしたからやるなら今だよ」


 シアン「コテンパンって」


 ライク「まぁ、駄目元でやってみなって」


 失敗したら笑ってあげるし、成功したら喜ぶからさ。


 シアン「はぁ、笑ったら怒るわよ」


 液状の形体が人型に変わっていく、まずは形が変わった。腕、膝、人らしい部分が出来ていく。


 ライク「おぉ~」


 シアン「こんなんで褒めないの」


 いやだって凄いことだよこれ、ジョッシュなら間違いなく失敗する奴だ。


 シアン「そのジョッシュって優秀なんじゃなかったの?」


 ライク「優秀だけど、ここ一番の時は必ず最初失敗するから。あいつ実技大丈夫なのかな」


 一発勝負ならせめて華々しく散ってくれよ。


 シアン「形状がぶれること言わない。・・・ふぅ」


 続いて肌が出来上がる。少し色白かな。


 ライク「後ろ向いてた方が良い?」


 シアン「・・・後ろに来てください」


 なるべく見ないように、後ろに行く。そうこうしてる間にも、髪や足、手が出来ていく。後は・・・


 体中にある目が消えていく。しかし、消えてもまた目が戻ってくる。


 ふむこれは……


 シアン「そうよ、これが私の問題点よ」


 なるほど、それはいいことだ。


 シアン「何がいいのよ、こんなのが」


 ライク「少なくともあのおばさんよりかはわかりやすいでしょ。こっち見て」


 一斉に何十の目がこっちに向く。


 ライク「その調子、次に目に集中」


 シアン「どの目よ」


 ライク「僕に1番近い目」


 大丈夫、きっとなんとかなるから。


 ライク「集中して、見ることに集中。息吸って、はいてぇ」


 シアン「スー、ハァ」


 息がこっちに当たる。草臭い。


 シアン「仕方ないでしょ。戻れないんだから」


 はい目を見る。


 ライク「じゃあ、あの格好でご飯食べてたんだ」


 シアン「そうよ、悪い」


 ライク「ちなみに何が美味しかった?」


 シアン「……あんがい生も悪くないわね」


 それ何のお肉?ここだと洒落にならないんだけど。


 覆われていた時を思い出す。


 シアン「はは、あんなことしないわよ」


 ライク「よし、問題ないね」


 シアン「えっ」


 どうやら自分の状況がわかってないみたいだね。


 ライク「目はもうそこにしかないでしょ」


 体中をシアンが見る。とりあえず、近くにある、布を取ってくる。


 シアン「ない、ないないない」


 ライク「そりゃあ無くすのが目的だからないに決まってるでしょ」


 シアン「ライク~」


 裸でそのままシアンが突っ込んでくる。


 シアン「やったよ、成功したよ」


 あぁ、わかるが服を。


 シアン「わかるじゃないよぉ。一緒に喜ぶんでしょう」


 確かにそういったが先に。


 シアン「じゃあ、先に喜んでよ」


 くっそ。


 ライク「おめでとう、シアン」


 手を出す。


 シアン「ありがとう、ライク」


 握手を行い、腕を組み、ハイタッチを行う。


 シアン「もう1回」


 結局2、3回ほどこれを繰り返して。


 シアン「あっ、服」


 ライク「へーい」


 服の存在に気づいたみたいだが、今までの行為もあるから。わかってからも何回か繰り返した。


 シアン「ねぇ、服」


 ライク「イエーイ」


 シアン「私が悪かったです」


 ライク「次からは気をつけましょう」


 そうして、元に戻ってからかなりの時間がたったころやっとシアンは服を着てくれた。


 シアン「はぁ、お待たせ」


 こうしてみると、僕とたいしてかわらなそうだ。


 シアン「まぁ、ここに居るのはみんな子供だけだしね」


 ライク「じゃあ、やはりここって」


 シアン「情緒不安定や暴走状態の力のある子が隔離されている村よ。大人は居ないわ。居るだけで不安定になる子もここには居るしね」


 それでもあんな態度の奴がいるのか。


 シアン「姉さんはアレだからね、周囲から嫌われて、そのせいで大失敗して。この村いきよ。私はさっきも見た通り周りの目が気になって村いき」


 まず間違いなく姉のせいだな。


 シアン「姉さんも少しは関係あると思うけど、これは私のせいよ」


 ライク「いや、確実にお姉さんのせいだよ。だって【失敗の映像ってお姉さんに作られたでしょ】」


 シアン「えっ」


 おおかた、失敗した目を大げさに言って……いや、あれなら何もないところに大量の目があるとかいって目を作り出そうとしたな。多分覚えがあるはず。


 シアン「あっ」


 そうやって、手伝ってる振りして悪化する方向に誘導して笑いものにしたんだろうな。ちなみに心象ってオンオフは……


 シアン「からだで覚えたわ」


 ライク「じゃあ普段は切っていた方がいいよ。父さん曰くそれは【依存に繋がるから】後お姉さんみたいにトラウマ植え付けられるし」


 シアン「そうね切っておいたほうがいいわね」


 言葉と反応で切ったかどうかなんて見当つくから、ほら依存してるでしょ。


 シアン「うっ、そうね。そうみたいだな」


 ライク「お姉さんの方は、もっと酷いから多分今地獄だね」


 シアン「……」


 依存……か


 シアン「どうかしらね」


 これは先が思いやられるな。


 ライク「1回逆を味わったからさ。また同じことが起きるかもしれない」


 シアン「でも切ると、私以上に酷い状態だから」


 ライク「まぁ、ひきこもりが簡単な手かな。恐らく陰口だけで実際直接殴られた経験が殆どないと見た」


 シアン「正解。もっといえばさっきみたいにトラウマを憂さ晴らしに使ったりしてたから」


 まぁ、最悪一生つきまとうかもな、その問題に。


 ???「うわぁ」


 外が騒がしい。


 シアン「まさか、姉さん」


 ライク「シアン」


 外は阿鼻叫喚であった。息を吸っただけで、息苦しくなる。これは・・・


 ライク「毒」


 ???「誰かあいつを止めろ」


 ???「いやぁぁぁ」


 ヨウ「はっは、もっとやりなさい疫病・・、ゲホ」


 シアン「姉さん」


 シアンと一緒におばさんの所に向かう。


 シアン「姉さん」


 ヨウ「シアン、随分うまく隠してるわね」


 シアン「悪いけど、おままごとに付き合ってる暇はないの」


 ヨウ「おままごとって、どいつもこいつも私を馬鹿にして」


 馬鹿な事をしてるんだから、馬鹿にされて当然じゃないか。


 ヨウ「ひひ、聞こえたは。この毒の当事者がきたわよー」


 当事者……あぁ、馬鹿が考えそうなことだ。


 ヨウ「馬鹿で結構。みなさーん、不出来な妹の隣に居るのがこの騒動の原因者でーす。【勇者らしいわよ】」


 シアン「まず」


 周囲から敵意が伝わってくる。


 ヨウ「酷いわよねぇ、勇者だから私を討伐しに来たらしいわよ」


 シアン「この毒は、姉さんがあの子を弄くって出しているんじゃない」


 ヨウ「だから何よ、貴方が言うとおり動かないからいけないんじゃない。私のせいではないわ。私をこうさせたのは勇者ライクよぉ」


 目が焼けるように熱い。片方の視界が赤く染まる。


 ???「やはり、とどめをさしとくべきだったか」


 ヨウ「ひっ」


 気づけば、右腕にも紋様をだし、オッゾさんも呼ばれる。


 ???「開放しろ」


 オッゾ「うぉぉぉぉぉ」


 腕が焼けるように熱い。それに毒が体を蝕む。


 ???「あなたは……ますか」


 声が聞こえた。誰かに呼ばれた気がする。


 ヨウ「ヒィ」


 ???「どうした、先程までの元気はどうした。ほら心を見ないと死ぬことになるぞ」


 ドシンと音が鳴り響く。


 ???「…に……ますか」


 声のほうに元を特定することができた。片方の目では、普通に女性が映るが赤い視界の目では夢で見た偉業にみえる。


 ライク「ガハ」


 思わず肺の部分をさすってしまう。もう振動しか感じない。


 一歩、また一歩と彼女に近づく。


 もう足が動かない。でも彼女まではもうすぐだ、動く片手を動かし彼女の前に行く。


 ???「貴方は側に」


 きてあげたぞ。


 っていっても声はでないから無理か。あぁもうしょうがないなぁ。


 彼女の側により、倒れこむ。


 ここまで側に寄れば。文句もないだろう。


 あぁ、なんでこう最近は気絶やらが多くなっていくのか……






 ……


 白い部屋、最近は何度か来ている。最近は自分も動くことができるのが最近の特徴だ。


 周囲を見渡せば、彼女が異形の姿で居るので近づく。


 ライク「側に居てあげるよ」


 その言葉に反応したのか異形が戻る。


 ???「私が言うのもなんだけど、もうちょっと何とかならなかったの?」


 これが僕が彼女と初めての会話だった。





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