ペンの勇者 勇者の秘密

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国の勇者

 ???「昨夜は寝れたか」


 ライク「はい、良い宿ありがとうございます。それで私はどうなりましたか?」


 まぁ、何かやらされるとは思うんだけど。


 カラス「その前に名乗っておく。私はカラスだ」


 ライク「カラスさんですね、よろしくお願いします」


 カラス「ふん、それで少年ライクよ」


 ライク「はい」


 さていったい何をやらされるのか。


 カラス「お主は、この国ベルの勇者になってもらう」


 ライク「……はい?」


 まて、まてまてまて。意味がわからない。


 ライク「僕が……勇者」


 カラス「あぁ、勇者だ。別に問題ないだろ」


 問題はないことはないが。


 ・・・


 暫く考える。勇者と言う肩書きは思い。少なくとも【出来損ない】扱いされてた身にとっては、その肩書きは今はよくないものだとわかる。


 はやるきもちを抑えて妥協案を言う。


 ライク「カラス様、まだ私は勇者と名乗るには未熟です」


 というか、名乗ったところで罵詈雑言の嵐だろう。


 ライク「また、私は勇者らしからぬ行為もするかもしれません。例えば私情での暴行とか。ですのであくまで【勇者候補にしませんか?】」


 カラス「ふむ、お主は勇者になれないと」


 爺さんの眼は怖い、怖いが。昔の奴等の眼の方が何倍も怖かった。


 ライク「少なくとも、今の私は勇者を名乗れません」


 ついでに言えば、【あいつと同じ肩書きになりたくはない】


 カラス「わかった、なら勇者候補として国王に会ってこい」


 会ってこいって。無茶ぶりだなあ。


 ライク「国王はどこにいけば会えますか」


 カラス「そこで、横になってるのが国王だ。おいシス起きろ」


 教会の椅子に横になっているのが国王?


 シス「うるさいぞカラス、お前はそもそも、クアンのものだろう」


 カラス「昨日、ベルの方へと移動となった」


 カラスさんこちらの司祭になったのか。


 シス「そうか、こちらの……うん」


 国王と呼ばれているシスさんから汗が吹き出る。


 シス「冗談だよね」


 カラス「とりあえず最初の仕事だ。そこにいる少年ライクを勇者候補として任命しろ」


 シス「それも冗談だよね」


 カラス「その油はよく燃えそうだな」


 シス「やる、やるから焼き肉にするのはちょっと待って」


 慌ててこちらにかけより、任命式?を行う。


 シス「えーとランク君?」


 カラス「ライクだ」


 背中が火で炙られる


 シス「あつ、あつ、ライクねライク君」


 ライク「はい」


 シス「おっ、緊張してないね。良いことだよ。緊張なんかしてもなーんもいいことないからね、僕なんてさぁ」


 カラスが無言で手に火をあげる。空気を燃やす臭いがあたりに充満する。


 シス「わかった、わかったからえーとライク君。君を勇者候補として任命しまーす。辞めたくなった何時でも辞めていいので、余り肩を張らずに頑張ってね」


 握手を求められる。この人はなんと言うか不思議な人だ。


 任せられないけど、頼りにはなりそうな人、なんと言うかそんな印象だった。


 シス「あぁ、それとこれ。何かあったら使ってね」


 国王から、何やらよく分からない物を貰った。これは……判子?


 カラス「シス……それは」


 シス「別にいいでしょ、僕が持ってても使わないものだし。それで、次は何をすればいいんだっけ?あぁ、それとそれだと危ないからこれもついでに渡しとこう。僕とのお揃いだよ」


 今度はブレスレッドを貰った。よく分からないものはブレスレッドに格納される。


 シス「それ実際は契約の魔法で、最初につけたものに収納の魔法を与える奴だから、盗まれても問題ないよ。だけどここから出したようにしとけば、これを盗むように動くから後が楽だね」


 考えていないようで考えているらしい。……変だなどうにも尊敬できそうにない。


 シス「それで、次はクアンにでも行ってもらえばいいのかな?それとも名もない町?」


 カラス「あれと話した結果、後者の方が価値があると判断した。クアンの冒険者とも親友らしい」


 シス「そうなの」


 ライク「はい、親友です」


 シス「そうなんだ、じゃあ他のところも?」


 その言葉には答えを出せなかった。


 シス「ふーん、まぁいいんじゃない。嫌いなら嫌いで」


 ライク「えっ?」


 その返しは予想してなかった。


 シス「だって嫌いなんでしょ。反応できないってことは?」


 ライク「嫌い……ですけど」


 シス「ならいいじゃない、嫌いで。君一人に嫌われたところで何かが変わるようなら、その人はその程度ってこと。逆に君が嫌われたとしても。何か変わるなら君もその程度ってことさ」


 肩をトントンと叩いて、激励を送ってくれる。


 ライク「それが僕以外の人間にも被害がいくことになっても……ですか?」


 シス「それなら安心だね」


 ライク「安心?」


 国王はニコッと笑い。


 シス「これでも、国王らしいからね。権力と殴りあいなら自信があるよ。ついでに友達の力を借りることも」


 カラス「こいつはこれで、クアン、リンザ、バルタと対等に戦える国王だ、はっきり言って異端だな」


 シス「別にいいでしょ、異端でも。笑えなくなるよりはましだと思うけど」


 カラス「あぁ、そうだな」


 カラスさんから笑みが漏れる。あぁきっとこの国王は、みんなに笑いを届けられる王なのだ。


 シス「というわけで僕も頑張ってるんだけど、なかなか難しいあの町へ行ってきてね」


 ライク「何をすればいいんですか」


 シス「何を、簡単なことだよ」


 国王は、笑う。それが国王の仕事と言わんばかりに笑う。


 シス「君と町の人が仲良くなってくればいい。笑い会えるようになったら最高だね」



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