ペンの勇者 勇者の秘密

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遺跡

 あの監禁事件から傷も癒えて、話通りの遺跡を巡って5遺跡目、この生活にも慣れてきた。いや慣れてきたのはペンの書き方か、前よりも書きやすく疲れにくくなったと思う。


 あの夢以来、あの女性の夢は見なくなっていた。もう見なくなって半月は経つ、いつもは二日以内必ず見ていたからそれはそれで寂しいような。


 リリ「坊や、遅いわよ」


 ライク「はーい」


 キルダ「今回も僻地だな」


 ミヒト「僻地の方が期待が持てるわよ、そろそろ当たりを引きたいわね」


 罠だけあって、宝はなしとかだと母さん達が怒って遺跡破壊しようとするからね。


 ミヒト「ライク、何か言った?」


 ライク「遺跡を壊すようなことは辞めてねって思ったけど声にでちゃったてた」


 ミヒト「む、あれは仕方がないのよ。せっかく罠も起動してないからあると思ったのに、まさか自動で戻る仕組みの罠だったとは」


 ムムムと母さんは拳を握っている。そもそも入られた後がある時点で期待があんまりできないんだけどなぁ。


 あ~今回はどうなるかな、ふと空を見上げれば太陽と・・・それと。


 ライク「金色の目?」


 目を擦り、もう一度見てもそこには何もなかった。


 ミヒト「着いた。さぁ探すわよぉ」


 そういえば僕達のやってることって違法ではないのか、リリさん曰く


 リリ「未開拓地は権利とか法とかはその土地で決まるから。ここは何も無いわよ」


 らしい、本当かなぁ。


 ミヒト「ほらライクも入り口探す」


 探すって言ってもなぁ、遺跡を全体を見る。ほぼ土で作られた村よりも大きいそこから、入り口を探しに外周を回るだけで一苦労だ。


 ミヒト「ライク~」


 ライク「はーい……ん」


 視線を感じた、視線の方を向けば空で見たようなあの目がこちらを見ていた。


 その目は惹きつける何かを持っていた、僕はその目に惹きつけられ歩き、気づけば


 ライク「うわぁ」


 近くにあった、魔法陣の前に立っていた。


 ミヒト「ライク~何処~」


 ライク「ここだよ~魔法陣があった~」


 今の現状を教える。


 すぐにここに全員集まる。


 ミヒト「お手柄じゃない。どうしてわかったの」


 ライク「瞳に連れられて」


 リリ「瞳?」


 ライク「黄金の瞳を見ました」


 ここが見つかった状況を話した。最初の空で見た目もついでに話した。


 両親とリリさんは暫く考える。


 ミヒト「魅入られてるわね」


 リリ「とりあえず。坊やこちらに来て」


 リリさんの前に来て呪文をかけられる。片目が熱くなった。


 ライク「熱」


 リリ「一応次見るときは、熱い目で見ることをこころがけなさい。魅入られるわよ」


 魅入られる?


 ライク「瞳にですか」


 ミヒト「間違いなく、ライク。お前は【魔眼】に魅入られた」


 魔眼?確か特殊な眼だったっけ?


 リリ「魔眼が見えたって事はこの遺跡は行きてる可能性が高い。普通はそういうものは消し飛ばしてるからね」


 ライク「それで、どうします?」


 入るか、入らないか。個人的には入りたい。


 キルダ「行くに一票だ、そろそろライクにもそういった事を体験したほうが言い」


 リリ「私は坊やの意見を尊重するわ」


 ミヒト「私は反対、魅了は危険以上だわ」


 賛成1.反対1、中立1.結局僕の意思で決まる形になったけど。


 ライク「僕はいくよ」


 ミヒト「だよねぇ、やれやれ」


 諦めたように母さんは魔法陣の上に立つ。


 そこからリリさん、父さん、そうして僕全員が乗る。


 リリ「じゃあ起動させるわよ」


 リリが魔法陣を起動させる。


 光の中、僕はまた黄金の瞳を見た。その眼は魅入られるというよりかは・・・


 夢の中の彼女のような寂しそうな目だったと思う。


 ミヒト「着いたわね」


 遺跡の中はそれまでのものとは比べ物にならなかった。


 リリ「固有……結界」


 キルダ「俺もこの規模は滅多に見たこと無いな」


 ライク「見たことあるの?」


 ミヒト「ライクは知らないと思うけど、私達はそれに凄い冒険者なのよ」


 いや、たまに話は聞くけど、こういう話は聞かなかった。


 まず床が浮いている。下は吸い込まれるような闇で。途中途中は隙間が空き踏み外せば奈落へ一直線だ……


 しかし、その奈落の中に……あの眼が


 フラフラとそちらに歩こうとする僕を父さんが止めた。


 キルダ「やはり帰るか」


 リリ「もう無理ね片道しかなかったわ」


 ミヒト「やっぱりこうなったか」


 3人が話し合っている。


 僕はというと、闇の中で見える光が気になっていた。よく見れば、この広い部屋の幾つかにチカチカと見えている。


 ミヒト「うーん、ライクはどうすればいいと思う」


 ライク「とりあえず、あの光に向かえばいいと思うけど」


 キルダ「光?この真っ暗な世界で何か見えてるのか」


 ?何を言ってるんだ。


 とりあえず跳ばない範囲の光に近づいていく。


 リリ「坊や」


 ?だからいったい何でこの明るい世界でそう注意することがあるのか?


 そうして、光の前に行く。この光は僕がいつも使っている光と同様だ。


 だったら、これを触れれば。


 ……宙に浮いていた岩みたいな物が足場を作り先に進めるようになる。


 よしうまくいった。


 新たな足場が出たことを見届けて、父さん達の元へ戻ると唖然としている。


 ミヒト「ライク、何をしたの?」


 ライク「何って、スイッチのようなものを触れて作動させたんだけど」


 リリ「暗闇の中で?」


 だから何を言っているのだろうか?


 ライク「暗闇ってこんなにも明るいじゃないですか」


 リリ「坊やちょっとこっちにきて」


 リリさんの前に近づき、なにやらやられると、自分の周辺以外は真っ暗見えなくなった。


 ライク「うわっ」


 リリ「これが私達が今見てる景色よ」


 景色が元に戻る。


 ライク「真っ暗でした」


 キルダ「つまりこの世界で自由に歩けるのはライクのみらしいな」


 あの暗い視界ならそうなってしまう。


 ライク「じゃあ僕が案内を」


 ミヒト「無理よ、少なくとも私達は足手まといにしかならないわ」


 リリ「坊やと通信できる状態にするから、何かあったら連絡して」


 キルダ「俺なら」


 父さんの足が蹴られる。


 ミヒト「余計なことはいわない」


 リリ「というわけで、私達は待ってるわ。頑張ってきてね」


 そういわれ、自分ひとりで動くように言われる。


 正直頼られるのは嬉しかったし、ここを自由に動けるのも嬉しかった。


 遺跡かどうこうではなく、僕はこの景色が好きだ。この幻想的な景色が。


 移動し仕掛けを取りに行く。パズルのような物もあったが、通信し知恵を合わせる。


 魔物も居た。リリさんから補助魔法を援護をして貰い何とか倒す。


 そうして色々なものを通り、僕は、僕達は扉の前にたどり着いた。


 ミヒト「全てといたら入り口に魔法陣が出たわね、これが入り口だったら良かったんだけど」


 リリ「現実は扉の前。まぁ入るしかないんだけど」


 キルダ「開けるぞ」


 父さんがドアを開ける、扉の先は……教会?


 ライク「ここは?」


 目の前には金髪の男性?


 奥には女性の像が置かれており、ステンドグラスが見える。


 ???「ここに来る奴なんて勇者ぐらいしかいないと思ったが。それとも君達が勇者なのか?だとしたら随分と小さい者だ」


 男が振り返る。男の目はあの時見た黄金の眼・・・ではない。この眼ではないあの眼はもっと・・・


 もっと惹きつけられる何かがあった。


 例えばあの像のように。ん、あの像なんか変だな。


 ???「それでどうする?このままやるか?帰るだけなら帰らしてもいいが」


 像に向かって歩き出す。


 ???「何だ、死にたいのか」


 男性は構えを変える。


 ライク「像に……いやあの人に用があるんです」


 キルダ「ライク……何を」


 ???「ふん」


 構えを時、進ませてくれる。そうして像の前に立つ。


 像は全て石になっており、黄金の瞳は見えない。しかしこの像から遺跡に入る前に見たあの眼を感じる。


 ???「それは主だ。俺を庇って勇者に石化されてしまった」


 勇者……か。あいつウルのイメージもあって勇者のイメージは最悪だな。


 ライク「治せないの?」


 ???「努力はしたさ、しかしここを離れれば、お前達見たいのに奪われる可能性もあるしな」


 ライク「治せるものはあるの?」


 ???「幾つかあるが、俺が欲しいのは神の雫さ」


 リリ「神の雫それは無理難題だね。だってあれは」


 ???「神の涙だからな、俺達にくれるものではない、だから勇者どもをこうして待ってるわけだが」


 ズキリと頭が痛くなる。視界がぼやける。


 像には黄金の眼が見える。


 ???「書け」


 ドクンと心臓の音が聞こえる。頭に直接命令されているようだ。


 ???「書け、△□×○を」


 気づけばペンを持ち、知らない文字を書く。


 △×


 ???「そうではない、△□だ」


 ○


 ???「ええぃ」


 黄金の眼が自分の目の前に出る。


 ???「その眼のようになぞれ、そうそうだ」


 △□×


 ???「そうだ、最後に○だ」


 そうして瞳と同じように○を描く。


 ???「後はそれを出せばいい。激痛がするが気をつけろ、こぼしたら最初からだぞ」


 そうしてその文字を発動した。


 ライク「カハッ」


 ???「ちっ、干渉の限界を超えたか。急げ」


 口から何か出る初めてでないがこの味からして血?


 視界も赤くなる。そこから光る液体が見える。


 ???「そいつを像に当てろ」


 体が動かない、今にも倒れそうだ。


 ???「ちぃ、余計なものをかけてるから無理やり動かすこともできん。いいか何とかしてこちらに持って来い」


 持って来いって言われても。足は動く気はしない。後は腕だが体はプルプル震えてる。


 ???「早くしろ、そいつは時限式なんだ」


 ええいこうなりゃやけだ。


 水を剣を持つように振り上げる。どんなに痛くてもこれだけはできる。


 そうして振り上げたものを。振り下げ。水を投げる。


 そうして投げはなった水は、消える前に像にあたり、像が光りだす


 ???「よくやった」


 頭からではなく、耳から声が聞こえてくる。


 そこには女性が立っている。赤い視界の中、その金色の瞳だけは認識できた。


 駄目だ……もう限界。


 ???「ゆっくり休め。【私が許可する】」


 気を失う前に聞こえた言葉は不吉な言葉だった。

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