魅力値突破の『紅黒の魔女』
禁忌2
「私がこのような事をすることに、心当たりがない……とでも言いた気ですねぇ。
今日、学園で聞きましたよ。貴女があの女と脱衣所で抱き合っていたと。
行けませんねぇ、ワタシという主人がいながら、飼い猫の分際で他人に懐くなど。キヒヒヒヒ」
(女と抱き合った?
あ、ライラとの更衣室での事か……)
カレンは昨日のライラとのことを思い出す。
(抱き合ってなんかいないのに……。
多分あの女子生徒達が脚色して噂を流したんだろうなぁ。
だからってそれがコイツになんの関係があるのよ!
主人とか飼い猫とか勝手なこと言って!!)
このような騒動の原因となるにはあまりにも些細な事。しかしアランはこうなって当たり前だとでも思っているのだろう。堂々と勝手なことを話し続けている。
(残念ながらあまりコイツと話しても無駄だよカレン……。禁忌の影響で正気を失ってるからね)
(さっきから禁忌、禁忌って……、だからそれは何なのよ!!)
(禁忌は強制的に魔法の素質を得る方法だよ。精霊を強制的に使役し魔力を得る、最も忌むべき呪法さ……)
セロによるとこうだ。魔法の素質を持たない者、つまり精霊の加護を受けていない者がこの禁忌をおこなうと、精霊を強制的に使役することができ、誰でも魔法の素質を得られるのだそうだ。
ただし、その代償は大きく、徐々に正気を失い狂人となってしまうらしい。
(確かコイツは16回目の解魔の儀式で精霊の加護を得たと言っていたわ……。
でも、シグは複数回儀式を受けても途中で加護が宿るのは稀だって。つまりその禁忌とやらで魔法の素質を得たのね……)
(詳しい事は後だ! 多分コイツは狂人化によってカレンへの執着に感情が支配されている。
逃げた方がいい!!)
アランが不正により魔法の素質を得ていたことを知り、カレンは更に目の前の男を軽蔑する。
「初めて出会った時からアンタのことは嫌だったけど、今日ではっきりしたわ。私はアンタの事が大嫌い!!」
路地裏に響くカレンの怒鳴り声。それが針のような刺激となりアランの鼓膜を揺らす。
うつむきながらそれを聞いた彼の顔からは、それまで浮かべていた気色の悪い笑顔が完全に消えていた。
「やはり躾けが必要ですねぇ……」
アランは不気味に呟くと、目の前に紅色の魔方陣を展開する。特性魔方陣は四つ。
「ば、バカ!! こんな所でっ……」
カレンの制止を無視してその魔法名を詠み上げるアラン。
「四重特性魔法、爆裂火炎玉るぁぁあ!!」
断末魔にも似た叫びの後、魔方陣から放たれる火の玉。カレンは身体をひねり、それをギリギリで避ける。
(まだだっ!! カレン!!)
ーードゴォッ!
セロの警告と同時にカレンの背後で火の玉が炸裂する。最初の火の玉をかわした所で油断してしまっていたカレンは、背中に熱を伴う衝撃を受け、その場に倒れてしまっていた。
「ぐっ……うぅ」
背中は服もろとも皮膚が焼かれ、その激痛でカレンの瞳からは涙が流れる。
(大丈夫か?!
逃げられないなら魔法で応戦するんだ!!
カレンならこんな奴、簡単に殺せるんだからっ!)
限界を越えた痛みに声すら出ない状態で這いつくばるカレンを、アランは再び気色の悪い笑顔を浮かべながら満足そうに見下ろす。
(カレン! カレンっ!!)
激痛に耐えている彼女にはセロの声が届かない。
(痛い……痛いよ……また死ぬのかな……)
カレンの頭に転道前の、あの惨劇が甦る。
ぐったりと動かない、そんなカレンの前にしゃがみ込むアラン。
そして彼は髪の毛を鷲掴みにして、カレンの上半身を引き起こす。
無理やり身体を動かされた事で火傷を負った背中の皮膚が突っ張り、更に気が狂うほどの痛みがカレンを襲う。
彼女の口からは聞くに耐えない悲鳴が漏れ出す。
しかしアランはそんな苦痛に苦しむ彼女を見て興奮したのか、ハァハァと荒い息を吐きながら顔をカレンの頬に近付けた。
ーーベロリ
痛みの中、ぬめりとざらつきが入り交じったなんとも言えない不快感がカレンの頬を襲う。その瞬間、彼女の全身に悪寒が走った。
「ヒッ、イヤァ……嫌ぁぁっ!!」
カレンの目からはボロボロと涙が溢れるが、それが更にアランの歪んだ欲望を増幅する。
「その声……サイコうじゃナイですかぁ。キヒヒひひ!」
とうとう我慢の限界に達したアランはカレンの胸を覆っている服を掴んだ。
錯乱状態のカレンにも、次に目の前の男が何をしようとしているのかがわかった。しかし、それを知ったところで今のカレンには抗う気力もなく、絶望に染まった眼差しでアランを見つめて懇願するしかなかった。
「お願い……や……めて……」
「アアアア! あんなにワタシに酷い態度をしてきたアナタが……。とうとうワタシにヤメテと懇願シテいるなんテ……興奮スルウウウウ!!! 」
アランの感極まった叫びと共に一気に引き千切られる服と下着。背面とは違い、カレンの火傷を負っていない美しい胸が露になる。
(誰か……シグ……、ライラ、助けて……)
心の中で助けを求めるカレンであったが、それも虚しく彼女の意識はそこで途切れてしまったのだった。
今日、学園で聞きましたよ。貴女があの女と脱衣所で抱き合っていたと。
行けませんねぇ、ワタシという主人がいながら、飼い猫の分際で他人に懐くなど。キヒヒヒヒ」
(女と抱き合った?
あ、ライラとの更衣室での事か……)
カレンは昨日のライラとのことを思い出す。
(抱き合ってなんかいないのに……。
多分あの女子生徒達が脚色して噂を流したんだろうなぁ。
だからってそれがコイツになんの関係があるのよ!
主人とか飼い猫とか勝手なこと言って!!)
このような騒動の原因となるにはあまりにも些細な事。しかしアランはこうなって当たり前だとでも思っているのだろう。堂々と勝手なことを話し続けている。
(残念ながらあまりコイツと話しても無駄だよカレン……。禁忌の影響で正気を失ってるからね)
(さっきから禁忌、禁忌って……、だからそれは何なのよ!!)
(禁忌は強制的に魔法の素質を得る方法だよ。精霊を強制的に使役し魔力を得る、最も忌むべき呪法さ……)
セロによるとこうだ。魔法の素質を持たない者、つまり精霊の加護を受けていない者がこの禁忌をおこなうと、精霊を強制的に使役することができ、誰でも魔法の素質を得られるのだそうだ。
ただし、その代償は大きく、徐々に正気を失い狂人となってしまうらしい。
(確かコイツは16回目の解魔の儀式で精霊の加護を得たと言っていたわ……。
でも、シグは複数回儀式を受けても途中で加護が宿るのは稀だって。つまりその禁忌とやらで魔法の素質を得たのね……)
(詳しい事は後だ! 多分コイツは狂人化によってカレンへの執着に感情が支配されている。
逃げた方がいい!!)
アランが不正により魔法の素質を得ていたことを知り、カレンは更に目の前の男を軽蔑する。
「初めて出会った時からアンタのことは嫌だったけど、今日ではっきりしたわ。私はアンタの事が大嫌い!!」
路地裏に響くカレンの怒鳴り声。それが針のような刺激となりアランの鼓膜を揺らす。
うつむきながらそれを聞いた彼の顔からは、それまで浮かべていた気色の悪い笑顔が完全に消えていた。
「やはり躾けが必要ですねぇ……」
アランは不気味に呟くと、目の前に紅色の魔方陣を展開する。特性魔方陣は四つ。
「ば、バカ!! こんな所でっ……」
カレンの制止を無視してその魔法名を詠み上げるアラン。
「四重特性魔法、爆裂火炎玉るぁぁあ!!」
断末魔にも似た叫びの後、魔方陣から放たれる火の玉。カレンは身体をひねり、それをギリギリで避ける。
(まだだっ!! カレン!!)
ーードゴォッ!
セロの警告と同時にカレンの背後で火の玉が炸裂する。最初の火の玉をかわした所で油断してしまっていたカレンは、背中に熱を伴う衝撃を受け、その場に倒れてしまっていた。
「ぐっ……うぅ」
背中は服もろとも皮膚が焼かれ、その激痛でカレンの瞳からは涙が流れる。
(大丈夫か?!
逃げられないなら魔法で応戦するんだ!!
カレンならこんな奴、簡単に殺せるんだからっ!)
限界を越えた痛みに声すら出ない状態で這いつくばるカレンを、アランは再び気色の悪い笑顔を浮かべながら満足そうに見下ろす。
(カレン! カレンっ!!)
激痛に耐えている彼女にはセロの声が届かない。
(痛い……痛いよ……また死ぬのかな……)
カレンの頭に転道前の、あの惨劇が甦る。
ぐったりと動かない、そんなカレンの前にしゃがみ込むアラン。
そして彼は髪の毛を鷲掴みにして、カレンの上半身を引き起こす。
無理やり身体を動かされた事で火傷を負った背中の皮膚が突っ張り、更に気が狂うほどの痛みがカレンを襲う。
彼女の口からは聞くに耐えない悲鳴が漏れ出す。
しかしアランはそんな苦痛に苦しむ彼女を見て興奮したのか、ハァハァと荒い息を吐きながら顔をカレンの頬に近付けた。
ーーベロリ
痛みの中、ぬめりとざらつきが入り交じったなんとも言えない不快感がカレンの頬を襲う。その瞬間、彼女の全身に悪寒が走った。
「ヒッ、イヤァ……嫌ぁぁっ!!」
カレンの目からはボロボロと涙が溢れるが、それが更にアランの歪んだ欲望を増幅する。
「その声……サイコうじゃナイですかぁ。キヒヒひひ!」
とうとう我慢の限界に達したアランはカレンの胸を覆っている服を掴んだ。
錯乱状態のカレンにも、次に目の前の男が何をしようとしているのかがわかった。しかし、それを知ったところで今のカレンには抗う気力もなく、絶望に染まった眼差しでアランを見つめて懇願するしかなかった。
「お願い……や……めて……」
「アアアア! あんなにワタシに酷い態度をしてきたアナタが……。とうとうワタシにヤメテと懇願シテいるなんテ……興奮スルウウウウ!!! 」
アランの感極まった叫びと共に一気に引き千切られる服と下着。背面とは違い、カレンの火傷を負っていない美しい胸が露になる。
(誰か……シグ……、ライラ、助けて……)
心の中で助けを求めるカレンであったが、それも虚しく彼女の意識はそこで途切れてしまったのだった。
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