魅力値突破の『紅黒の魔女』
修練2
心地よく降り注ぐ温かい雫が、透き通る白い肌をつたう。湯気が立ち込めるシャワールームで汗を流すカレンの頭の中に唐突にセロの声が響く。
(カレン、少し気になることがあるんだ。入学した時からずっと学園内で微かな嫌な匂いがする時があったんだけど、最近それが強くなってるんだ。
俺達精霊にとってあまり良くない匂いだ……。
この魔法技学園なら、そういう研究をしている奴がいるかもしれないけど……兎に角少し用心した方が良いかもしれない……)
(セロ達精霊にとって嫌な匂い?
心配し過ぎなんじゃないの。学園はこんなに平和で楽しいんだから悪い事なんて起きるわけないよ)
(そうだといいんだけどね……)
「カレン。先に出とくよ。」
セロが黙ると同時くらいに聞こえる、隣のシャワーを使っていたライラの声。
「あ、私もすぐ出るから先に出ててね」
そう言ってカレンは壁に掛けられたバスタオルを手に取り、全身を拭いてから身体に巻き付けてシャワールームを後にした。
脱衣所に出ると、カレンとは反対の方を向きながらライラが下着姿で涼んでいた。まだカレンがシャワールームから出て来た事に気付いてないようだ。
それを見てニヤリとするカレン。
そしてロッカーの影を利用して、ライラに気付かれないようにこっそりと近付くと、カレンは油断しているであろう彼女に向かって背後から飛びかかった。
ーースカっ。
カレンの画策虚しく、ライラの胸を鷲掴みにしようとした彼女の腕は空を切り、そしてその勢いで盛大に転ぶ。
「アハハ、甘いね。気配がバレバレだよ」
さすが武道の心得があるライラ。
「イテテテ……」
転んだ際にぶつけた腰を擦りながら立ち上がるカレン。それと同時に巻き付けられていたバスタオルがハラリと床に落ちた。
一瞬の静寂。
自分の状態を理解したカレンは両手で身体を隠そうとするが、なぜかそれはライラによって阻まれた。
「え?」
突然の出来事に困惑するカレン。彼女の両手はライラに掴まれ、ロッカーへと押し付けられていた。
(ヤバいっ……。なぜかは分からないけど、もしかして怒らせた?!)
ライラは押さえ付ける力をキープしたまま、膝をカレンの太ももの隙間に捩じ込む。
二人の顔は今にも唇が触れそうな距離。
ライラは妖艶な表情でカレンを見つめている。
激しさを増すカレンの鼓動。
「ちょ、ちょっと、ライラ?
……これはどういう事?」
カレンの疑問などお構い無しにどんどん近付いてくるライラの唇。
そして今にも触れそうになった時……、ライラは突然声を上げて大笑いをする。
「アハハハ! 何を惚けた顔をしてるのさ!
アタシがそんなに色っぽかった?
アンタは本当に可愛いねえ」
そのままの体勢を維持した状態で、冗談だと種明かしをするライラ。
「な、なによ! 別に惚けてなんかないわよっ」
顔を真っ赤にして否定するカレンであったが、そのツンデレ発言は逆に肯定ととられてもおかしくないことに彼女は気付かない。
ライラがそろそろ腕に込めた力を抜こうと考えたその時、ドアが開く音と共に三人の女子生徒が脱衣所に入ってきた。
彼女達はそれまでわいわいと談笑していたのだが、カレンとライラの姿を見た途端、手に持ったバッグを床にドスンと落とし、いけないものでも見てしまったかのような驚愕の表情に変わる。
「え……。マクスウェルさんとコレットさんってそういう関係だったんだ……」
案の定、誤解される二人。
「違うよ!
これはえっと……、そう! シャワー後のストレッチだよ!!
ね、ライラ?! 」
「そ、そうだ。この子身体が目茶苦茶固くてね」
二人の取り繕うような嘘に、女子生徒達は疑いを強め、全員が目を細めている。
どうやら誤魔化す事に失敗したようだ。
「わ、私、女の子同士でも全然素敵だと思います!! この事は誰にも言いませんから! 」
一人の女生徒は顔を赤らめながらフォローしてくれるが、もうこの段階で誤解を解くことが厳しいのは明らかだ。
(なによその応援……かなり勘違いされてる……)
これ以上否定してもあまり意味がなく思ったカレンとライラ。
女子生徒達へ軽く挨拶をしてから、さっさと服を着込み、逃げるように脱衣所を後にするのだった。
そんな二人を校門で既にフォンが待っていた。
「今日はお仕事もういいんですか?」
「大丈夫よー。私はこれでも仕事が早いのです!」
ドヤ顔のフォンは、カレンとライラが苦笑いを軽く浮かべていることに気付かない。
「それじゃ、行きましょ♪ 」
そういってフォンは二人のは腕を引き歩きだす。
この後、三人は学園の近くのカフェで談笑してから帰宅したのであった。
(カレン、少し気になることがあるんだ。入学した時からずっと学園内で微かな嫌な匂いがする時があったんだけど、最近それが強くなってるんだ。
俺達精霊にとってあまり良くない匂いだ……。
この魔法技学園なら、そういう研究をしている奴がいるかもしれないけど……兎に角少し用心した方が良いかもしれない……)
(セロ達精霊にとって嫌な匂い?
心配し過ぎなんじゃないの。学園はこんなに平和で楽しいんだから悪い事なんて起きるわけないよ)
(そうだといいんだけどね……)
「カレン。先に出とくよ。」
セロが黙ると同時くらいに聞こえる、隣のシャワーを使っていたライラの声。
「あ、私もすぐ出るから先に出ててね」
そう言ってカレンは壁に掛けられたバスタオルを手に取り、全身を拭いてから身体に巻き付けてシャワールームを後にした。
脱衣所に出ると、カレンとは反対の方を向きながらライラが下着姿で涼んでいた。まだカレンがシャワールームから出て来た事に気付いてないようだ。
それを見てニヤリとするカレン。
そしてロッカーの影を利用して、ライラに気付かれないようにこっそりと近付くと、カレンは油断しているであろう彼女に向かって背後から飛びかかった。
ーースカっ。
カレンの画策虚しく、ライラの胸を鷲掴みにしようとした彼女の腕は空を切り、そしてその勢いで盛大に転ぶ。
「アハハ、甘いね。気配がバレバレだよ」
さすが武道の心得があるライラ。
「イテテテ……」
転んだ際にぶつけた腰を擦りながら立ち上がるカレン。それと同時に巻き付けられていたバスタオルがハラリと床に落ちた。
一瞬の静寂。
自分の状態を理解したカレンは両手で身体を隠そうとするが、なぜかそれはライラによって阻まれた。
「え?」
突然の出来事に困惑するカレン。彼女の両手はライラに掴まれ、ロッカーへと押し付けられていた。
(ヤバいっ……。なぜかは分からないけど、もしかして怒らせた?!)
ライラは押さえ付ける力をキープしたまま、膝をカレンの太ももの隙間に捩じ込む。
二人の顔は今にも唇が触れそうな距離。
ライラは妖艶な表情でカレンを見つめている。
激しさを増すカレンの鼓動。
「ちょ、ちょっと、ライラ?
……これはどういう事?」
カレンの疑問などお構い無しにどんどん近付いてくるライラの唇。
そして今にも触れそうになった時……、ライラは突然声を上げて大笑いをする。
「アハハハ! 何を惚けた顔をしてるのさ!
アタシがそんなに色っぽかった?
アンタは本当に可愛いねえ」
そのままの体勢を維持した状態で、冗談だと種明かしをするライラ。
「な、なによ! 別に惚けてなんかないわよっ」
顔を真っ赤にして否定するカレンであったが、そのツンデレ発言は逆に肯定ととられてもおかしくないことに彼女は気付かない。
ライラがそろそろ腕に込めた力を抜こうと考えたその時、ドアが開く音と共に三人の女子生徒が脱衣所に入ってきた。
彼女達はそれまでわいわいと談笑していたのだが、カレンとライラの姿を見た途端、手に持ったバッグを床にドスンと落とし、いけないものでも見てしまったかのような驚愕の表情に変わる。
「え……。マクスウェルさんとコレットさんってそういう関係だったんだ……」
案の定、誤解される二人。
「違うよ!
これはえっと……、そう! シャワー後のストレッチだよ!!
ね、ライラ?! 」
「そ、そうだ。この子身体が目茶苦茶固くてね」
二人の取り繕うような嘘に、女子生徒達は疑いを強め、全員が目を細めている。
どうやら誤魔化す事に失敗したようだ。
「わ、私、女の子同士でも全然素敵だと思います!! この事は誰にも言いませんから! 」
一人の女生徒は顔を赤らめながらフォローしてくれるが、もうこの段階で誤解を解くことが厳しいのは明らかだ。
(なによその応援……かなり勘違いされてる……)
これ以上否定してもあまり意味がなく思ったカレンとライラ。
女子生徒達へ軽く挨拶をしてから、さっさと服を着込み、逃げるように脱衣所を後にするのだった。
そんな二人を校門で既にフォンが待っていた。
「今日はお仕事もういいんですか?」
「大丈夫よー。私はこれでも仕事が早いのです!」
ドヤ顔のフォンは、カレンとライラが苦笑いを軽く浮かべていることに気付かない。
「それじゃ、行きましょ♪ 」
そういってフォンは二人のは腕を引き歩きだす。
この後、三人は学園の近くのカフェで談笑してから帰宅したのであった。
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