僕の道

あい

17話

   私はタマ。訳あって奴隷になったものです。元々は冒険者だったらしいのですが…。何故、らしいなのかと言うと、実は私には奴隷になる以前の記憶がないのです。そんな私ですが、なんと今日、お客様の出した条件に合うらしく、初めてのご主人様になるかもしれない方と対面することになりました。その方はとても格好良く、それに礼儀正しそうな方でなんだか少し安心しました。

   その方は20分程私達を見つめると、私だけを残し後の皆は下がるように言いました。それから私達は色々な事を話しました。もちろん、私には奴隷になる以前の記憶がないということも。彼はイノチさんという方らしく、とても優しくて少し不思議な方でした。奴隷である私に気遣ったり、謝ったりしていました。そんな彼になんだか懐かしいような、不思議な気持ちになっていた時、彼がこんな事を言ったんです。

「僕達、どこかで会った事がある気がするんだけど…。」

   私は驚きました。それはもうとびきりに。私は彼が運命の人なのでは。そんな事を考えてしまいました。



   それから私達は契約を交わし、奴隷商を出ました。次に寄ったのは装備屋さんでした。そこで私の装備1式や普段着なども買ってくれました。ご主人様はアイテムバッグを2つ持っているらしく、1つ私に渡してくれました。

   その後、宿屋へ行き夕食をとることになりました。私がいただきますと言うと、ご主人様は不思議そうな顔でこちらを見てくるので、どうしたのかと聞くとおかしな事を聞いてきました。それは、何故いただきますを知っているのか、という事でした。私は訳が分からなかったので、

「食前にはいただきます、食後にはごちそうさまでしたと言うのが普通のことではないんですか?」

と聞き返すと、ご主人様はなにやら考え込んでしまいました。



   食事を終え、遂にこの時が来てしまいました。もちろん奴隷のために1部屋借りるのはお金の無駄ですし、覚悟は出来ていましたが、いざ同じ部屋で泊まるとなると少し緊張してしまいます。そんな事を考えていると鍵を渡され、

「隣の部屋だから、何かあったらすぐ呼んでね。」

と言われてしまった。なんだか1人で想像し、1人で緊張していたのが馬鹿らしくなって来ました。

   それから部屋へ入りベッドに座る。今日は色々あったけど優しいご主人様で良かった。そんな事を考えながらゴロゴロとしていると、いつの間にか眠ってしまいました。明日は、朝から旅に出ると言っていたのでしっかりと休み明日に備える。願わくば私達のこれからの人生に幸多からんことを。

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