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僕の道

あい

5話

「どうしたエレナ?ってお客様か。」

「こんにちは。命というものです。」

「イノチ君か、私はリノだ。今日はどんな用で?」

   リノがそう言うとエレナは興奮気味にこれまでの経緯を話した。

「なるほど、魔道具か。使い方を見せてくれるか?」

「はい、少し長くなってしまいますが…。」

   それからスマホを使い音楽や写真、ゲームなど色々なことをした。2人は興味津々といった様子でスマホを見ている。ある程度の説明が終わった所で、今日は切り上げることにする。

「まだまだ使い方はありますが、こんな感じで多くの事が出来ます。」

「これは凄い。私でも値段の判断は出来ないな…。だが本当に納品しても良いのか?」

「はい。どうせもう、使わないと思うので。」

「そうか。お金の件だが、このギルドで出せる最高額は100万円だ。それ以上欲しければ大きな街へ行くといい。」

「いえ、100万円で大丈夫です。」

   そう言って僕がお金を貰おうとするとリノさんは、カードを渡してくれた。どうやらこの世界ではカードが財布代わりらしい。

「ありがとうございます。」

「いや、こちらこそありがとう。こんなに高性能な魔道具を見たのは初めてだ。また何かあればいつでも言ってくれ。」

   こうして僕はスマホと引き換えにお金を手に入れた。エレナさんとリノさんに別れを告げ、宿屋に戻る。宿屋では既に他の客が夕飯を食べており、辺りに美味しそうな匂いが漂っていた。

「こんにちは!」

「いらっしゃい、おや、さっきの子だね。お金は稼げたかい?」

「はい、おかげさまで、助かりました。」

「それは良かった。何泊するかい。」

「とりあえず1週間で、お願いします。」

   そう言ってカードを出す。するとカードから3500円分のお金が引かれて返された。

「あいよ、3500円丁度だね。朝食は6時から8時、夕食は18時から20時だよ。時間を過ぎたら食べれないから気をつけるんだよ。」

「はい!ありがとうございます。」

   宿屋のおばさんに部屋の番号の書かれた鍵を貰い、2階にある部屋へと向かう。荷物を置き夕食をとりに1階へ戻る。今日の夕食は黒パンと野菜スープ、そしてキラーラビットのステーキだそうだ。どれも美味しく、数分でたいらげてしまった。

   部屋に帰りこれからの事を考える。先生の事も気がかりだがまずは自分が生きなければ意味が無い。そのためには多分自分が持つユニークスキル、テイムが鍵となるだろう。そう思い今一度ステータスを見直す。

「ステータス!」





種族   人間
名前   五十嵐 命
性別   男
年齢   18

レベル 18

攻撃   (40)   
防御   (27)   
魔攻   (11)   
魔防   (4)   
敏捷   (38)   

ユニークスキル
   テイム(MAX)
   忘却(MAX)

スキル
   火属性魔法1   鑑定2

耐性
   火耐性2   苦痛耐性5(MAX)





「ステータスが増えてる!」

   レベルは上がっていないがステータスが増えていることから、テイムに何かしらのカラクリがあると予想する。予想を確信へと深めるため、ユニークスキル、テイムを鑑定する。




テイム

自分より"格下もしくは同レベル"の生物を仲間にする。
また、仲間にした生物のステータスを自分のステータスに加算する。
テイムした生物は異空間へ収納できる。





「やっぱりか。」

   便利なスキルだとは思っていたが、ここまで来るともはやチートだ。見える情報が増えたのは鑑定のレベルが上がったからだろう。

   僕はステータスの確認を一通り終え、眠りに着く。


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