ゲーマーでモブキャラ扱いの俺が何故かヒーローになった話。

怪盗80

第13話:やっぱり格好をつけると絶対にヘマをする。

「あのさ美琴?」

「ん?何?」

「なんかさっきの奴が言ってた事ってもしかして…お前が関係してるとかないよな?」

もしやと思って念のために聞いたのだが…何故か顔を背けて走りが早くなる。

「なぁ…今お前をぶん殴っていいか?」

「だってぇ!普通こんな所で引き渡すなんて思わないでしょ!だからここを選んだのに!なんでバレてるのよ〜!!」

「説明以前になんで良く考えてないの!?」

頭を抱えながらデバイスの剣状態を維持し続けながら走る。
そして美琴は年上な筈なのに涙目で「ばかぁ…なんでなのよぉ…」とぐずっていた。

「あー、もう!俺は戦闘はしない!絶対にだ!」

「なら私が用意していたデバイスは?」

「知るか!てか、なんでこんなに広いんだよ!」

「確か…学園都市内、三大デパートに入るくらいだししょうがないね♪」

「は?そんな事聞いてないんだよ!確かに言ったけどさ!」

大きな通りを曲がるとテロリストが逃げ遅れた人達を連れて行こうとしていた。

「やめて!その子泣いているでしょ!」

「うるさいなぁ!!こうすれば黙るだろが!」

拳を振り上げて泣いている子供に振り下げようとすると近くにいた黒のラインが入ったパーカーを羽織る青年が拳を受け止めた。
その青年は何処かで見覚えのある肩幅に聞き覚えのある声。

「あのなぁ…小さい子供に手を出すなんてよ…」

受け止めたままゆっくり拳を押し返すと怒号のように声を上げて自身の拳で顎を殴った。

「全国の幼女ファンを敵に回したんだ!謝りやがれこの野郎!!」(バキッ!)

拳を振り切った後には風を起こし、拳を振り上げようとしていたテロリストが空中を飛んでいた。
その拳の威力は明らかに普通の人間ではありえない物であった。

「その声…勇人か?」

「ん?あっ…なんでお前がここにいるんだよ!」

「お前こそ!なんでこんな所にいるんだよぉ〜」

久しぶりに会った友人の様に熱く抱きつこうとする二人。
だが、抱き着く間には二人とも互いの顔をぶん殴っていた。

「いてぇじゃねぇか!この野郎!」

「テメェ!何女の子とイチャコラしてんだゴラァ!!」

「てか、今それどころじゃねぇだろ!今の状況でこんな事してる場合じゃねぇだろ!」

乱闘しながら二人とも互いの拳を殴り続けている。
周りには先程の騒動を聞きつけたテロリストの増援が既におり、周りを囲んでいた。

「なぁ、勇人はこんな時いつもどうやって突破する?」

「決まってる、てか、お前の考えと同じだよ」

二人とも声を揃えて周りのテロリストに向けて発した。

「「無理矢理強行突破に決まってんだろ!!」」

「っても、どうするの?俺、デバイス持ってないんだけど…素手で戦えばいいの?」

「せっかくカッコつけたんだから黙っておけよ…」

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