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ゲーマーでモブキャラ扱いの俺が何故かヒーローになった話。

怪盗80

第1話:不思議な不思議なゲーム

(ピリリリリ…)
朝の6時、うるさいと思う程のけたましい目覚ましに朝っぱらからイラつきながら目覚ましを殴りつけるようにして止めに掛かる。
特徴的な短く切った赤髪の焔魔煉えんまれんはようやく目覚まし時計のアラームを止めた。
ベットから起きて体を伸ばしていると机の上にある自身のPCの画面にふと目を向けた。
PCの画面には寝ている間だろうか見知らぬゲームがインストールされていた。
そのアイコンは背面が黒一色であり中心に赤色の剣のようなイラスト斜めに写されており、よく見た事があるようでないようなゲームアイコンだった。

「battle the  break HERO?なんだこれ…?ゲームなのか?」

その謎のゲームアイコンをクリックするとそのアイコンは画面上からゆっくり溶けるように薄くなっていき最後には綺麗さっぱり消えてしまった。
突然の事に驚き、PC内のフォルダやファイルの全てを確認してもさっき出ていたアイコンすら無く全て消えていた。

「まぁ、いいや、あとで詳しく確認すれば…てか、ヤッベ!!朝飯食ってなかった!」

夜中充電しておいたスマホを持って作ってあった朝飯を食べていた。
机の上には妹が書き残して置いたのか、『朝飯は食べたからもう行く。』と書かれた置き手紙だけを残していた。
俺の家には親父と妹、そして俺の三人しかいない。
母親は俺が小学6年生の時に交通事故に遭って死去している。
父親はどこか旅に出ていて、全く連絡も取れない。だが、毎月俺の口座に生活費が振り込まれてきている事を考えると生きてはいるのだろう。
テレビでは、ヒーローが事件解決の手助けになったとか、ヒーローが子猫を救ったとか抜かしている。
朝食を食べ終わって片付けていると玄関からうるさい声が聞こえてきた。

「おーい、さっさと出てこいや!早くしないとお前の家の玄関で俺の大好きなロック音楽を鳴らす目覚まし時計を置いて先に高校の見学に行ってやるからな!」

「おい!やめろ!てか、何か訳分からん物を置こうとするんじゃねぇ!」

ドアの向こうから陽気な声にもかかわらずうるさい事を言いながらゴネる面倒な奴を押し除けながら家を出て行った。

「いやー、やっぱりレンは遅いよな。てかお前の妹はどうしたよ?いつも一緒の飯を食うんだろ?」

「あいつは朝早くから学校に行くって書き置きがあった。てか、寝不足なのはお前が昨日、突然レイドバトルのクリア報酬の為にログインさせたんだろ。」

「ふーん…そうだっけ?まぁいいやw
前、お前の家に忘れていった俺の優香は?」

「はいはい、持ってきてやったよ(お前…あとでぶっ◯す…)」

自身の口にメロンパンを詰め込んでいる絶賛成長期真っ最中で食費が掛かる昔からの友人勇人はやと
勇人はスポーツも勉強も出来るしかも顔がイケメンだからか今の学校に入学してから2週間後には先輩からのラブレターやらが靴箱を埋め尽くしたらしい。
だけどこいつはみんなに言っていない事がある…それが…。

「そういえばbattle the break HERO?とか言うゲームって知ってるか?」

「なんだ?いきなり変な事言いやがってんだ?んな面白そうなタイトルのゲーム俺がゲットしてない訳ないだろ?無類のギャルゲー好きの俺に何を言ってやがる」

とんでもないギャルゲーファンだった。
何というか残念…。
そんな事を思い出しながらドヤ顔でメロンパンを咥えながら話す勇人にひさびさに感謝した。

「そうだよな、んでこのゲームはどんなゲーム?」

ここまで間を溜めると言うことはもしかしたらとんでも無く面白いゲームなのでは無いのかと思いながら勇人の話を聞いていたら。

「知らん、俺ですらそんなタイトル知らない」

「おい」

「てかその画面やらスクショしてねぇのかよ?アイコンくらい見れば思い出すかもしれないんだが…」

メロンパンをもぐもぐと食べ進めている勇人にいつもの様に写真を見せようとするが写真を撮り忘れていた事を思い出した。

「すまん…スクショすらしてなかった…」

「マジかよー!なんでスクショしてないんだよー」

残念そうな顔をして深い溜息を吐く勇人は最後の一口に少し大きなメロンパンを口に入れて気分を直して煉に目を合わせた。

「とりあえず、もうすぐ時間だからまた話すか」

「了解♪」

鞄を持って何処かへ走って行く勇人に付いていき見学先の高校へと到着した。


国立春風戦場高等学園。
この地域では学園を中心にして中枢都市一つの街が学園都市として作られている。
交通費などの生活費は学園から全額支給されているので殆どの学生がこの学園に通う事すら夢に見ている。
この学園の人気な理由は他にあるらしいがそんな事は俺達の所では情報に出ておらず知られていない。
体育館ですらとても大きく普通の高校ならあり得ない大きさだが…。
隣にあるドーム状の建物はなんだろう?
思った事考えても仕方がないと思いまた校舎を見た。
そんなとんでもない学園の正門の前で勇人と煉は目を見開きながら互いに理解し始めた。

「なぁ、こんなでかい高校ってどこかで見た事あるか?」

「いや無い、てかこの建物前に見せて貰ったお前のギャルゲー内の校舎に似てね?」

「いやいや、あの聖堂美少女学園とは全く違う、だってあの先っぽがもう少し細いし校舎全体が2m足りないし…」

ブツブツと呟いている勇人を横目で見ながら友人なのだが少しだけ引いてしまった。 

「えー、見学をしに来た生徒はこの支給用スマートフォンを受け取ってから指定の教室へ向かってください」

最先端技術なのか無機質な機械音声でロボットが高校に入っていく生徒に一つのスマートフォンを配っているのを二人で見ているとやはり驚きの方が大きいのか勇人も口を開けたままぽかんとしている。

「と、とりあえず校舎に入るか、ここで止まってるとなんか恥ずかしいし」

「お、おう」

ロボットからスマートフォンを受け取ってから別々の指定場所に向かうとそこには大勢の学生が喋ったりして時間を潰していた。
「なんか…場違いだな…」

「いや、普通この学園は金持ちしか通えない筈だしな見学ですら運がいいよ」

何故、俺たち二人がこんな金持ちの学園に見学しに来たと言うと…。
それは数ヶ月前の事。

「なぁ、これ見てみろよ」

「ん?おいコレってあの金持ちとか有名な学生しか合格出来ない学園じゃねぇかw」

「いやーなんか俺の所に配られてさ、お前は?」

そう言って紙をひらひらと揺らしている勇人が煽ってくる。

「俺にはそんな高価なプリントでさえ貰ってないですよ勇人さん♪いやーとても羨ましいですなぁ…」

芝居がかった台詞で勇人のプリントを目に通していると校内放送で校長室に呼ばれた。

『焔魔煉君、焔魔煉君、至急校長室に来てください。』

「やぁやぁ。君に直接手渡さなければいけない物があってね。ほら、春風学園の見学の手続き証明書。これで春風学園に行くように。」

冷や汗をハンカチで拭きながら無理やり微笑む校長は何故だかかわいそうに思えてしまう。

「いやー…煉君にも国立春風戦場第三高等学園の見学会に無理矢理参加させる様にってついさっき来たんだけども…」

「どうかしました?」

「いや…なんでもないよそれじゃ頑張って来なさい」



「こんな事があったんだから驚いたよ。てか、なんで俺だけあんな渡し方なんだよ…」

「知らね、お前が校長に嫌われてるからじゃね?」

同じ会場に来た勇人に率直な答えを返されて少しいじけながらも学園見学のオリエンテーションが始まった。

「えー…この場にお集まりいただいた生徒達に有意義な時間を過ごして頂くために本学園での生徒会長である春風生徒会長に挨拶をいただきます」

眼鏡を掛けた男性講師が話し終わると壇上へ上がる階段に一歩一歩足を運ぶ生徒会長は綺麗な白髪のショートボブで人形の様な可愛らしさを感じさせる。
制服の上からでも分かるくらいのスタイルの良さや一歩歩く度にその可愛らしさが際立っていた。
壇上のマイクを握って少しマイクテストを行った後に口を開けて挨拶し始めた。

「私がこの国立春風戦場高等学園の生徒会長、春風美琴はるかぜみことです。
見学生徒の皆様、遠い所から遥々この学園への見学ありがとうございます。
そして、この学園ではデバイスといった装置を使って行う戦闘訓練があり、戦闘訓練で優秀な成績を取ると、無償で最高級の寮に入ることができます。その事を考えた上で見学するのもよろしいかと思われます。
では、長くなりましたがこの見学が皆様のより良い選択にしてください。」

ある程度の挨拶が終わり一礼をして壇上から下がる姿でも可愛いらしさを感じさせるが階段を降り歩いて行く時に足が絡まって転んでしまった。
何事も無かった様に立ち上がるとすぐさま歩き出した。

(デバイスってのはなんなんだろう、何かの装置とも言っていたけど…何かあるのか?)

この生徒会長に少しだけ不安を持ちながら見学が始まったのだが…。
見学と言えども殆どが友人や同じ学校の奴と自由に見学するんだがやはりと言えばいいか勇人は他の施設の見学に行ってしまい今現在の所ボッチだ。

(ウワァァァァァ!!どうすんの!ボッチで見学とか笑えないんだが!こんな状況でボッチ耐性皆無の俺に何をどうすれば良いんだ神さまゴラァ!)

「Hey!You!ヒトリボッチなんて寂しそうだからこのワタシ!アリアちゃんがいっし…」

「丁重にお断りします」

声のする方向に顔を向けると他校の制服を着込んだ女子が居た。
その女子は沢山の人がいる中で何故か俺に近づいて来た。
アリアと名乗る女子は綺麗な青目で鮮やかなサラサラとした赤髪、そして整った顔立ちに思春期の男子には苦痛とも思う程スタイルが良かった。
モデルでも金を稼いで食っていけるくらいのモデル体型だった。
茶色の制服を着込み腰あたりには何か四角形のルービックキューブ的な物が下げられていた。
だが、俺に女子耐性が皆無なので丁重に断って早歩きでボッチでも校舎見学を始めた。

「えぇー!ちょっと待ってよ!ワタシだってボッチで寂しいんダカラ一緒に見学しなサイヨ!」

「知らないよ、俺だって友人がいなくても一人で見学すればいいだけだし。
てかなんでカタコト?」

「ふふーん、ワタシはイギリス人母と日本人の父の間で生まれたハーフなんですヨ!って事でワタシと見学シヨ?」

いや、知らねぇよ。
てかなんでコイツは俺に近づいてくるんだよ…。
そんな事を思いながら自分の足で地面を掴んで全力で走り出して逃げた。
自分は足は早い方では無いが普通の女子よりかは早いと言える自信だけはある。

「アッ!逃げるなー!もぅ…仕方がないナァ…」

煉に逃げられたアリアは助走なしで約2m以上をジャンプして煉の目の前に着地した。

「は!?なんであいつ助走なしであの高さのジャンプするって!お前人間やめてんだろ!」

俺が見た中ではバレーボール選手で良くても60cmが限界なのにコイツは今、2m以上を飛び跳ねていた。
至って普通の事だと思っているのかアリアはそのまま俺の肩を掴んで逃がさないようにしていた。

「全くモォ…なんでニゲルの?」

「そりゃジャンプするだけで2m超える女の子は少し範囲外だから離してくれよ」

「キミがワタシと一緒に見学するナラ離すヨ?」

だんだん肩を掴む力が強くなって行くアリアに諦めがついた様に両手を挙げた。
その仕草にアリアは少し不思議に思ったのか首を傾げた。
やっと仕草の意味に分かったのか手の平を片手で打ち付けて頭の上で閃いたのだろう。

「ヨシ!一緒に見学見学♪」

「はいはい、てかお前はなんであんな人間離れしているんだ?」

「オマエなんてイヤーだよ!キチンとアリアって言って!サンとか付けずにネ」

頬を膨らませてこちらをジト目で睨むアリアの目を合わせない様に歩き出すとやはり付いて来た。
文句がある様に煉の背中に飛び付いた。

「はいはい、アリアはどうしてあんな人間離れした身体能力を?」

「ンート…分からない♪デモ知らないゲームをインストールしたらなってた!」

「は?初対面の人に嘘を吐くならもっとまともな嘘でも吐いておけよ」

「lieじゃないよ!Trueだよ!」

ポカポカと俺の体を殴りだすアリアさんをなだめていると遠くから勇人が走ってこちらへ来た。
珍しく勇人は息を切らしながら本気で煉の背中にドロップキックを喰らわせようとした。
だが、運良くアリアが体を揺さぶっていたのが幸いか勇人のドロップキックは空を切る。

「てめぇ!なに、可愛い子ちゃんとイチャコラしてんだゴラァ!俺にその子紹介しやがれ!」

「おう、分かったよ。
頼むからこの人をどうにかしてくれ俺でも困ってんだ」

「ナンデそんな事イウの?ワタシはそんな事思ってないヨ?」

「アリアが良くても俺は思ってるの!」

学園内の中庭で三人が話し合いながら最終的には俺がアリアさんと一緒に見学を進める事になり見学が続いた。

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