第0話:プロローグ

20XX年。
リザードマンやケットシー、ファンタジーでよくいる様なアバターを使って色々なゲームを楽しむプレイヤー。
歪いびつではなく鮮やかな電子の光がこのゲーム内の架空世界を照らしていた。
そのゲームの世界では各々のプレイヤーが剣や弓を持ちモンスターを狩り、プレイヤー同士でコミュニケーションを取ったりしたりと、色々な事をして過ごしていた。

「なぁ、このゲーム世界で起こった事がもし現実リアルで起きたらどう思うよw」

黄色髪の一部に、黒のメッシュを入れている男のアバターが古く軋んだ椅子に座り込んでケラケラと笑いながらどっからどう見たって普通の男子アバターに話しかけた。

「んぁ？そんなの世界の終わりだろうが、てか、現実世界でも最強のスライムとかどう倒すんだよwアイツ冷却も炎も物理も効かないんだぞ？」

男の子のアバターはやれやれと思いながら黄色髪のアバターに目を合わせずに一人自分の持ち物を整理していた。

「それもそうだな…そんな事が起きたら政府がなんとかするだろうなぁ…」

「そうだな、んじゃ俺はもう寝るわもう夜遅いし明日は高校の見学だし」

パソコンを操作している腕に嵌めてあるゲームの参加賞で貰えた腕時計を見て時間を確認すると短針と長針は2時を過ぎて2時42分を指していた。
ブルーライトカットのメガネを外して体を伸ばしている間にチャットにコメントが打たれた。

「うっす、おやすみー」

黄色髪のアバターに掛けられた声に受け答えてからログアウトしPCのゲーム画面を閉じた。
部屋の床下には自分がいつも使うバッグと昔やっていた格闘ゲームのコントローラー、ゲームのグッズなどが落ちていた。
その床下の障害物(ゲームの景品やフィギュア)を避けながらベッドに倒れ込む。

「あー…ヤバッ…眠っ…これならすぐに爆睡できるわ…」

ベットの上でウトウトし始めた所で机の上に置いてあったPCからよく聞いたメール音が鳴った。

「んあっ…電源消してなかったっけ………」

昼間干しておいた布団からダニが死んだいい匂いが匂う中で全く冴えてない頭で考えたようとした。
(メール内容なんて明日暇な時に確認すればいっか…)
そんな事を考えながら本格的なウトウトし始めそのまま眠りについた。
その微睡みの中で眠りについた自分はまだ知らなかったんだ。
次の日に起こる事すら予想すら出来ない出来事に巻き込まれる事に。
この物語はただのゲーム好きの学生のとても素晴らしくも恐ろしい行く末を記した物語。