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桁間違いで異世界最強に!選んだ職業はまさかの冒険者⁉

景樹 ねこ丸

第4話 始発にして終点

 それからの帰り道は、さっきより重い空気に包まれた。
 だが、まだ父親のゼファはテンションが上がっていた。

 「さすが俺の息子だな。これからビシバシきたえてやる!」

 これからが楽しみ心配である...。
 ソーイの基礎情報は頭のなかに埋め込まれているが、こんな父親は知らない。
 これからもっと凄いステータスを見せる。
 恐らくリアクションできずに、絶句して固まってしまうだろう。
 そんな姿が目に見える。

 操縦席のヘルデンが転た寝うたたねをこくほど、日がどっぷりと沈んだ。
 揺れが大幅に軽減され、かすかに揺れている。
 その微振動が、余計に眠気を誘っていた。

 
 目を開けると世界は明るかった。
 夜の間、眠れたのだ!
 行きでは絶対に考えられないことだ。

 「やっと起きたか。すっごく気持ち良さそうに寝てたぞ。」

 ゼファがわずかに感心したようにそう言った。
 ゼファは眠れなかったのだろう。
 目の下にはくまができ、声すらも眠そうだった。
 ゼファの体全体が、ソーイに眠気を示している。

 「父さんは随分眠そうだね。」
 「あー、まったくだ。一睡もできなかった。行きも眠れてないから、もう三日連続だ。」

 これほど眠れないと、そろそろぶっ倒れる頃だろう。
 ソーイはゼファを心配しながら、裏で催眠魔法というものを使ってみた。
 じわじわと眠気を増幅させる魔法だ。
 いつかは眠れるだろう。

 あれから10分後。
 催眠が上手く効いて、ゼファは眠りについた。
 ようやく一安心だ。

 「ようソーイ。」

 不意に頭に声が響いた。

 「ゼロゼウス様!驚かせないでくださいよ。」
 「すまんすまん。ところでお主は今のところ、“職業”を考えておるか?」
 「いえ、まだです。」

 そんなこと全然考えなかったが、将来ソーイも職に就く。
 これだけのステータスを思う存分発揮できる職業...。

 「まぁまだ決めなくて良い。考え始めてみてくれ。」
 「はい、分かりました。」

 狩人かりうども良いけど、この世界は至って平和だ。
 人員も不足しているわけではない。
 それじゃあ、国家保安官ほあんかんはどうだろう?
 でも、国家だとステータス鑑定を持っている凄い人もいるだろう。
 そうしたら正体がバレてしまう。

 「そっか...職業か。」

 元高校生が、今さらながら職業のことについて考えた。
 進路学習はあったけど、真面目に考えたことはなかった。
 ゼファのうるさいいびきに邪魔されて、集中できなかった。
 すっごく気持ち良さそうに寝ている。

 あれから数時間、小鳥の声と、馬車の揺れる音以外聞いていない。
 じっと考えるのも疲れて、ただひたすらにボーッとしていた。
 自然の声を聞きながら。
 心地よい風に触れながら。

 
 「ふぁ...。ん?暗い?」
 「あぁ父さん。やっと起きたの?すっごく気持ち良さそうに寝てたよ。」

 ゼファは目をこすりながら、回りを見渡した。
 辺りは見慣れた市街が広がっていた。

 「もう帰ってきたのか?」
 「うん。ヴィンセントまで帰って来たよ。」

 ゼファは自分が寝たことが信じられないようだった。
 
 市街の路地に入り、それを抜けると大きな豪邸が鎮座ちんざしている。
 ようやく我が家に着いたのだ。
 急に胃が「ギュルギュル」と鳴いた。
 良く考えてみるとここ数日、まともな飯を食べていない。

 二人はヘルデンにお礼を言って、我が家の扉を叩いた。

 「ただいま帰った!」
 「おかえりなさーい。」
 
 奥の部屋から、待っていたかのように一瞬で母親がやって来た。
 
 「母さん、お腹いた。」

 と言った瞬間、こうばしい香りが鼻腔びこうくすぐった。
 これは、カレーの匂い!

 「夕飯できてるわよー。今日の夕飯は、ソーイの大好きな...」
 「カレーーー!」
 「ピンポーン♪」
 「やったーーっ!」

 とにかくテンションが高くなった。
 壮一郎の時も、カレーは大好物だった。
 辛いものが大の得意で、近くの中華料理店の常連だった。

 それはソーイも同じのようだ。
 異世界でもカレーを楽しめるなんて...!
 やっぱ最高!

 ソーイは急いで自分の部屋に荷物を置いて、すぐさまリビングに駆け込んだ。
 さっきより濃い香りが、ソーイの血を騒がせた。

 「いただきまーす!」

 ソーイは早速がっついた。
 秒でたいらげて、二杯目のおかわりをした。
 そこでゼファが話を切り出した。

 「ところでソーイ。言わなきゃいけないことって何だ?」

 そうだった!忘れてた。
 母親のメリアルは顔をしかめた。
 
 「なにそれ?」
 「えーっとね。俺には隠してたことがあるんだ。」
 「いつから?」
 「えーっと、いつからって言われると難しいんだけど、運命的に考えると生まれたときから。普通に考えれば、5日くらい前から。」
 
 二人は額にしわを寄せ、何だそれ?という顔をした。
 
 「もっと分かりやすく説明してくれ。」
 「じゃあもうズバッと言うよ。」

 二人ののどが、ゴクリと鳴った。

 「俺、転生者なんだよね。」

 微妙な空気になる。
 冗談なのか、本当なのか分からない、微妙な空気だ。

 「だ、だからあんなにステータスが高かったのか?」
 「い、いや。あれはいつわりのステータス。こっちが本当のステータス。」

 そう言って、本当のステータスを見せた。
 一瞬で二人は絶句した。
 
 「...こ、.....え?...、どゆこと?」

 とにかくパニックになっていた。
 本当のステータスは、当然今まで見た中で一番だったわけで、恐らくこれからも見ることは無いであろう超絶的なステータスだ。

 「ゼロゼウス様が、この(偽りの)ステータスにしようと思ったのに、間違えて0を2つくっつけてしまって、これ(本当のステータス)になってしまったって訳です。」
 「は?本当に言ってるのか?」
 「はい。」

 ゼファもメリアルも顔を見合わせて驚いていた。
 転生者がこの世に居るのは知っている。
 だが、まさか自分の子供が転生者なんて。
 考えもしなかった。

 「てことは、元々は違う世界の人間なのか?」
 「まぁね。でも、これは一生のお願いなんだけど。誰にも言わないでね。」
 「あ、あぁ、分かってる。」
 「それにしても、そのステータス高すぎないか?本当にそれほどの力を持ってるのか?」
 「うん。」

 まだ信じてはくれないようだが、実力を見れば一瞬だろう。

 「これほどのステータスがあったら、俺の特訓はいらないか?」
 「いやでも、特訓することで解放される魔法もあるし。それはお願いしたいな。」
 「なんか光栄だな。これだけ凄いやつのコーチをできるなんて。」
 「自分の息子でしょ。」
 「そうだな。」

 これからどんな道を歩むか分からない。
 自分の道は自分で決めるし、誰かに口出しされる義務はない。
 この素晴らしい家庭で始まり、運命をたどっていく。
 
 「これだけ強いと、人類の終着点だな。神様が起こした不具合バグとは言っても、さすがに度が過ぎてるぞ。」
 
 始まったばかりの人生ではあるが、もう頂点といっていいほどの強さだ。
 始発にして終点。
 始めから終わりのような強さを得ている。

 「職業、どうしよっかな。」

 さっきから気がかりなのが、職業だった。
 
 
 
 

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