愛されなかった僕が転生先で幼児になってみんなから溺愛される

ノベルバユーザー351128

プロローグ 生きる意味

それは、ある一人の男の子の話。

とあるマンションのとある一室、そこには、とある家族が住んでいる。
その家族は、父親がエリート警察官、母親は元検事、二人の息子は名門私立高校の生徒、次男は首席で入学。そして、外で見るその家族の姿は、いつも笑顔の母、息子の話を楽しそうに聞く父、楽しそうに話す息子。

その姿は、誰からみても理想の家族。

ただ

一人を除いては。

僕の名前は桜井広夢、高校3年生でさっき話した家族の長男。
さっきの話だけを聞けば理想の仲睦まじい家族だが、真実は違う。
父さんや母さんの息子は弟だけ、僕は、たまたまできた、たまたま絶対記憶能力を持っていた、血縁上息子の只の出来損ないな他人だ。

出かけるとき連れて行くのも、褒めるのも、欲しいものを買い与えるのも弟だけ、僕に与えられるのは、必要最低限のものだけ。

でも

それは仕方ないこと、だって、出かけるとき連れて行ってくれないのも、褒められないのも、欲しいものが貰えないのも僕が出来損ないの他人だからだ、僕が悪いから。だけど、それでもよかったんだ、父さんと母さんの側にいられる、ただそれだけで。
だけど今度、僕にとって最大のチャンスが訪れる。


ある日、突然母が話しかけてきた、よっぽどのことがない限り話しかけない母が。
「大学受験?」
そう僕が呟いた、すると母が
「そうよ、大学受験に合格すれば、なんでも貴方が好きなこと一つ叶えてあげるわ」
そう母が言った。

僕はびっくり「本当?」と言った。
すると、また母が
「本当よ、それと、受験問題は暗記が多いみたいだから、しっかり覚えるのよ、覚えるのだけは人一倍得意なんだから」
そう答えた。そして、僕の前で初めてみせた笑顔に驚きつつ、母がそんなことを言ってくれると思わず、嬉しくなり
「うん!僕、頑張るよ!」
今まで、あまりしたことなかった笑顔でそう返した。


僕はその後の母と父の行動がおかしいと気付かないほどに、歓喜し勉強に没頭した。

その後の結末がどんなものであるかも知らずに。







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