ドラゴン・ダリズン

清掃委員長

とある朝

 「おい、かのんー?どこだ??」


 そう聞こえた。


 かのんは手を伸ばし”ここだ!”と叫んだつもりだったが、その時背後には絶対無いはずの巨大な穴が空いていた。


 底が見えないような深さだ。


 かのんは、父親の心配そうな声なんか知らん顔で穴の中を覗こうとしたその時だった、背後から何か物理的な感触があった。そう突き飛ばされたのだ。何の目的なのか、何が理由なのか、わからないが、かのんは「うわぁーー」と言いながら落下していった。
地面に背中がついた時、目が覚めた。
リアルじゃないのかと錯覚するほど鮮明な夢だった。


 「あんなとこから本当に落ちてたら即死だよな、、、」


 そんなことを言いつつ上半身を持ち上げるかのん。
外から眩ゆいばかりの光が差し込む豪勢な1部屋


 昨日のことを思い出すと本当に運が良かったと自分の胸を撫で下ろす。すると、部屋の外からノックの音が聞こえた。


 「はーい」


そう返事するとドアが内側に開き昨日の女性が入ってきた。


 「お身体の具合はどうですか?」


そう尋ねられると、顔を明後日の方に向けつつ、


 「もう、すっかり絶好調です!」


と、そう答えた。


 「あのー、ニアさん、、ここってどこなんですか?」
 「あら、さん付けなんて、、、呼び捨てて良いですよ!」
 「ここは、レギンというこの国の中心です。私はこの国の王家の親族なんです。」
 「そうなんですか、、、」


 かのんはこんなに大きい屋敷を持っていることに納得がいった。「「王様の親戚ならこのくらいの財力があってもおかしくないか。」」と自分の心の中でそう呟いた。


 「かのんさん、、、、いいえかのん貴方はどこから来たのですか?」


 それを聞かれた時はドキッとしてしまった。ただ、聞かれて当然の事だった、


 「それは・・・・・遠い所です、遠い所から来ました。多分・・・」
 「そうですか、まぁ、言えない事なら無理して言わなくても良いのですよ。」


そう言ってもらえた時にはもう、心から感謝をした。


 かのんはもう、元の世界に帰る可能性が無くはないのだが、それでも地球に日本に・・帰るのは今は絶望的と言う事はまだ知らないのである。

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