明日とミライ

ノベルバユーザー351070

21歳

お酒がほどよく回っている。
普段は内気な上司が、マイクを片手にノリノリで歌っている。
物真似をしているのか歌い方が独特で
上司が声を張り上げる度に、私と後輩の蓮君は思わずカラオケのソファから転げ落ちそうなくらい笑っていた。
「ちょっとトイレ〜♪」
テンション高めに上司が部屋から出ていった。
「小山さん、あんなに面白い人だとは思ってなかったよ」
つい本音を蓮君に漏らしてしまった。
「いや、前回カラオケ行った時もあんな感じでしたよ」
「そうなんだ。」
私はグラスの氷をカラカラと回しながら返した。
氷で薄まったカクテルに口をつける。
まだまだ飲めるし、私ってお酒強いな。
なんて思いながら…
グラスをテーブルに置いた瞬間、
目の前の視界が一瞬で真っ暗になった。
薄暗くした部屋のせいではない。
私の口が蓮君の唇で塞がれている。
私達は付き合っているわけでもない。
蓮君のことも好きなわけでは無い。
突き放すか?このまま続けるか?
とまどいはあったが、私は続けた。
舌が入ってくる。
生暖かい感触に身体が固まった。
私はまだ21で処女だった。
年下の蓮君に経験がないことを知られたくなかった。
思わず腕を、蓮君の背中に回した。
可愛く見えるだろうと思い、指先を少し舌の動きに合わせてピクっと動かしてみる。
蓮君もそれがわかったのか、呼吸と舌の動きが激しくなった。
お酒の味がする…
部屋のドアの人影に気付いて、蓮君は素早く私から離れた。
「あ、小山さんおかえりなさい」
私は何事もなかったかのように声をかけた。
「ちょっと、今変なことしてなかったよね?笑」
「あはは〜してないですよ」
内心焦ったけど、小山さんはふ〜んと言いながら
それ以上は聞いてこなかった。
「そろそろお開きにしようか」
時計は朝の4時になろうとしていた。
お会計を済ませタクシーを呼ぶ。
私と蓮君は家が近かったので、一緒に乗ることになった。
気まずい…非常に気まずい…。さっきのことを聞こうと思ったが、口に出すのは何故か引けた。
「私の方がちょっと遠いから、先に蓮君の家に向かっていいよ」 

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