第106話　海底神殿

　クラーケンは足を切り落とされたことで麻痺が解けてこちらに気づく。

　俺は一度水中に顔を出す。このまま麻痺したままであってくれたら楽なのにと思いながら再び水中へ。

　こちらの動きを伺っている。俺は頭に酸素と付与した結界を張り水中戦の準備を整える。

　先ほど切り落とした足はすでに回復済み。それに先ほどのシェリーの魔法も殆ど効いていないようだ。

「厄介だな」

　ため息交じりに言う。

　それに先ほどと違い今は完全に相手の土俵。こちらが完全に不利としか言えない状況。

　クラーケンはこちらを見ているだけで動こうとしない。

　だが、こちらから動こうにも打つ手がない。

　十本の足に水中でならかなり機動力もあるだろう。

「やるしかないよな」

　俺は気合を入れなおして剣を構える。体に強化を使い筋力を上げて自分の後ろに結界を張る。それを足場にして勢いをつけて斬りかかっていく。

　クラーケンも近づく俺に足で攻撃を仕掛けてくる。先ほどまでは一本二本での攻撃だったのだが今は八本ほぼすべての足で攻撃を仕掛けてくる。俺はそれをかわしながら近づいていくが近づくにつれて速度が増していく。

　少しずつ攻撃辺り始める。いつもと違う環境での戦闘で体どうしてもついてこない。

　そしてクラーケンまで後、十メートル程の所で一撃をまともに受けてしまった。そのまま後方へと吹き飛ばされてしまった。水中でうまく体勢が立て直せず吹き飛ばされる続ける。それを追ってくるクラーケン。

　俺は後方に結界を張り無理矢理止めて、耐性を立て直す。だが、そんなことお構いなしに向かってくる。

　クラーケンの進路上に結界を張り、動きを止めようとするがその結界がクラーケンの突撃で簡単に壊されてしまった。それでも動きは少し遅くなった。

　その隙に進路上より移動してクラーケンをかわす。

　その時にふと目に入った物があった。もう一度その方向を見てみるとそこにあったのは海底にある神殿だった。なぜこんな所にとは思ったが今はそれどころではない。

　俺が一瞬海底神殿に意識を奪われている間にこちらに近づいてきている。

　結界で足場を作り、突撃を回避しながらクラーケンの後方へと回り込む。

　背後から斬りかかり一撃を与える。だがこの後の展開は分かっている。そのため、

「もう回復なんてさせねえよ」

　クラーケンの体に結界を張る。回復封じを付与した。

　それにより先ほどダメージが残ったまま。

　結界で足場を作り勢いをつけて近づいていく。ダメージが回復できないことでもう少し混乱するものかと思っていたのだが、そうはならず冷静にこちらを見ている。

　俺の接近に気づくと先ほどと同じように八本の足で攻撃を仕掛けてくる。だが、今度は回避するでなく足を全て切り落としていく。

　もう回復はしない。それが分かっているからこその攻撃。

「これで最後だ!」

　剣を縦に一振り、クラーケンが縦に真っ二つになる。

　やっと戦闘が一息つくと、クラーケンの異空間収納へしまい海底へと潜っていく。

　先ほど見た海底神殿が気になっていた。

　外から見ているだけでもかなり大きさだった。

　俺が海底そこに着くと目の前に海底神殿の入り口がある。

　入り口の扉を開けて中に入ってみると何かに触れたような気がした。

　すると神殿の中にはなんと空気があった。結界を解くと呼吸ができる。

　中を探索しようかと考えたが今は一度上に上がって皆に報告をしようと思った。

　それにここのことを報告しないといけないとも思った。

　再び頭に結界を張り水中へ。

　そして水上へと浮上していく。