カオスアニマ -脳筋おじさんと生者見習いの女子高生-

椎名 総

神の代行者とレベルアップ





「それでは朝凪 旭、神に祈りを捧げてください」




「はい」
「(なーにが神よ…こんな地獄で神もクソもないでしょっ、
 でもレベルアップの為、ああ、神様っっ、
 旭、頑張ったんだからおまけしてもいいんだからねっ、お願いねっ〈ハート〉)」




 現在龍人と旭は始まりと終わりの村アイテールにいる。
 そこにある1番大きな建物『大聖堂』、
 白い要石などで作られた白い外観、
 屋根は青く、奥には恐らく『鍛冶屋の資格の金槌』を応用し作られた
 ステンドグラスのようなものもある、
 横長の茶色い椅子が並び、赤い絨毯も引いてある、
 いかにもな場所、
 RPGならばセーブポイントのような場所。
 大聖堂ではなく礼拝堂ではないか? 教会? 
 と言うツッコミは特に意味はないそんな場所、
 そこに使わす神の代行者、『聖女ユーノ』に相対している。


 『レベルアップ』、
 レベルアップすることで自然に体力は一定まで上がる、
 そしてレベルが上がると自身のステータスを任意の部分を上げることができる、
 この世界で生きていくためには必ず行なう行為である。
 体力(HP)、
 持久力スタミナ
 筋力(攻撃力)、
 術力(魔術力)、
 法力(魔法力)
 適応力(強靭力、相手の攻撃の重さに応じて怯むが数値が高くなるとシステム上は怯まなくなる、暑さ寒さ耐性など)
 技術力(器用さ、武器、盾によって使用に必要とされる能力値、鍛冶スキルにも使用する)7つがある。


 この他に『体力』と『筋力』を上げると装備重量限界が増える。


 旭は今大聖堂で『神の代行者ユーノ』に片膝を付きならがら目を閉じ、
 両手を組んで祈りを捧げている、龍人はそれをただ見守っている。
 旭の身体が少し白く光る、レベルアップ完了の合図でもある。




「はい、あなたの指定した量のアニマは神に捧げられました。
 後はご自身の選択です。ステータスをご自由に振り分けてください。
 お疲れ様でした。」




 立ちながら手を組み目を閉じ旭と共に祈りを捧げていた『神の代行者ユーノ』は閉じた瞳を開きそう言った。


 『神の代行者ユーノ』、
 龍人の知る限り龍人より長くこの世界にいる人物の一人、
 ある意味『謎の代行者』、レベルアップするために必ず必要な存在、


 レベルアップをする為には方法は二つ、
 『始まりと終わりの街アイテール』の大聖堂にて
 『神の代行者ユーノ』に祈りを捧げるか、
 アイテム『代行者への言霊』を使い簡易的に済ませるか、である。
 『代行者への言霊』はそれなりにレアアイテムで深いステージまで潜ったさい、
 取得したアニマをアイテールに帰らずレベルアップするために
 出先で使うことがほとんどである。


 神の代行者ユーノ、その風体はともかくたわわなおっぱい、
 主に黒を貴重としたコーディネート、
 フード付きの上着にある白が胸のあたりで十字を表す、
 金髪の聖女、頭部には黒を基調とした白のフリルのついたカチューシャ、
 おっぱいまである髪の毛は二つに分かたれ、
 鎖骨のあたりで緑のヘアゴムでまとめられている。
 そしてふとともに絶対領域も確保されている。
 肌の露出は少ないものの、上も下も目の保養にもなる、
 この地獄で唯一、万人に、男達の目の保養のための永久機関のような女性、
 それが聖女、『神の代行者ユーノ』である。




「どうするんだ? 『脳筋』か?」




 後ろで見守っていた龍人が『脳筋ペアルック』でもするか? と尋ねるが
 旭は立ち上がり龍人に振り返り答える、




「あんたと一緒にしないでよ、でもまぁ…魔法はちょっと憧れがあるわね、
 でも動きまわるのは性にあってるし、…どうしよう、
 魔法は法力一つ上げるだけで威力は出ないけど
 商人から伝承石買えば使えるようにはなるらしいしなぁ…、」




「何も考えてなかったのか、しょうがねぇやつだな、」




 龍人は後ろの首元を右手で撫でながらそう言う、




「どこぞの『脳筋おじさん』のお陰で、考えてる余裕なんて、


 な・かっ・た・ん・で・す・け・ど・ねっ」




 旭は厭味いやみったらしく龍人に今までの恨みを込めてそう発言した。


「そりゃそうだが、さっさ決めろよ、しかしよく考えてな、
 振り分け直すアイテムなんぞ今のところ無いんだからな」


「…どっちなのよ…まぁ、これでいいかな、っと」


ステータスアップの際は視野にステータスが表示され、手で選択し、
 どの項目をレベルアップするのかを選ぶことができる。
 勿論上がる数値は事前に確認できる。
 旭は見た目かなり適当にキーボートをタタタターンと打ち込むように早々に決めてしまう、


「どう振り分けたんだ?」


 当然外野からは見えないので龍人は一応尋ねる、


「女の子にステータス聞くなんて『さいってぇ』だと思います」


 ぷいっと可愛らしい仕草で龍人の反対に顔をやり目を閉じてそう言い放つ旭、




「ちっ、せっかく指導してやってるのに…、まあいい。
 今日は新しいところに行くぞ、覚悟しろ、いいな」


 龍人は右手で頭を掻きながら
 昨日と同等か、それ以上のものを提示してやるぞ、と言わんばかりに言う、




「へっへーん、レベルアップした朝凪 旭様の進化を見て褒め称える龍人が目に浮かぶ~、」




 旭は相変わらずの痴女と見紛うほどの服装で胸を張って少し揺らしながら自信有りと言い放つ、


「誇大妄想力のあるその朝採れた牡蠣の脳みその中に、
 勝手にありえない『脳筋おじさん』を作り出す分には構わんが、
 あまり浮かれていると足元を救われるぞ」


「わかってるわかってるぅ、あ、じゃーねユーノさん、またよろしくねー」


「……(ぜったいわかってねぇな)」


「はい、お気をつけて」




 神の代行者ユーノに見送られ龍人と旭は大聖堂を後にした。





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