聖獣物語 〜いざ頂点へ〜

WalaW

閑話 聖獣世界「アルケオン」について

 〜リンゼの長話〜


 まずこの世界について話すとしよう。君たちが思っている通り、この世界はいわばファンタジー世界だ。「ステータス」が存在し、「スキル」もある。「魔法」といえるものもある。そしていわゆる「モンスター」も存在する。

 驚くのも仕方がないだろう。信じられないという方が正しいかもしれないが。ああ、そうそう。君たちのステータスだが、プログラム上あと二時間ほどすれば開放されるだろう。
 
 種族についてだが、この世界は今は4つの種族に別れている。聖獣世界というくらいだから予想はついているだろうが。玄武族、朱雀族、青龍族、白虎族の4つだ。もちろん人型であり、君たちと見た目はなんら変わりない。
 
 そしてそれぞれの種族には「属性」が生まれつき付与されている。玄武族には「風属性」、朱雀族には「火属性」、青龍族には「水属性」、白虎族には「雷属性」だ。どんな一般人でも種族ごとの属性魔法を扱うことができ、鍛えれば鍛えるほどたくさんの種類を使えるようになる。もちろん、個人差・・・もあるがな。ちなみに私は玄武族だ。…どうでもいいと言ったやつ、分かっているな?

 まあこの位にしておいて、次に地理的なことについてだな。この世界、アルケオンは主に5つの大陸と、それぞれに位置する4つの帝国から形成されている。一つ国が少ないって?ああ、それは後で話そう。話に横槍を入れるな、斉藤。
 
 さて、一つ目は中央大陸に位置する我らが玄武王の国、グリンゲル大帝国だ。そして大陸の中で最も広く、多くの資源を誇るのもこの中央大陸だ。このグリンゲル大帝国の始まりについてだが、初代聖獣の玄武祖様が建てたもので、………

 (略)

 …というわけで5年前に至るのだが、実はその年に過去最大級の戦争が起こったのだ。さっきの話ともつながることだが、5つの大陸に5つの帝国、5つの部族。これが5年前の常識だった。ただその戦いで1つの部族は全滅した。帝国も滅びた。そして、聖獣も死んだ。いや我が主に殺された、と言ったほうが正しいか。…なんとなく分かったと?

 そう、その殺された聖獣は「麒麟」だよ。滅びたのは麒麟が治めていた、今は無きライクレイト大帝国、そして麒麟族だ。

 そんな一部族全てを滅ぼす必要があったか、と言ったら無いだろうな。実際、聖獣さえ殺してしまえば次の聖獣が生まれるまで脅威にはほとんどなりえないからな。…子供がいなかったらどうするかって?それでも聖獣は生まれるさ、別の血筋へと渡ってな。

 …だが、一族全てが滅んでしまったら話は別だ。もう、生まれない。聖獣「麒麟」は永久に消滅する。それを狙ってのことだったのだろう。…ひどい話だと思うか?だがこれが戦争だ。罪もない人々が、老若男女関わらず惨殺され、蹂躙されていく。…残念ながら私はもう慣れてしまったが。

 …なぜ麒麟族が狙われたのかって?…あえて言うならば妬み、か。我が主の妬みだな。もともと麒麟族は中央大陸に強大な帝国を築いていた。それこそ他の2大国が同盟を組んでも倒せないほどに。

 だが強さはそれだけではなかった。「種族」としての強さ、それが最強と呼ばれていた理由だろう。麒麟族の戦士と他の種族の戦士では、最高で2倍くらい強さに差があった。妬むのも仕方がないといえば仕方がないだろう?二人がかりでやっと倒せる相手が、戦場では一対一で戦わなければならないのだからな。恐怖でしかない。

 ああ、なんでそんな強い帝国が、麒麟族が負けたかって?…さっき言ったとおりライクレイト大帝国は他の2国が同盟を組んでも倒せないほど強かった。

 だが5年前、玄武族中心に麒麟討伐同盟が組まれた。他の4つの帝国全て・・・・・・・・・でな。いくら麒麟族や麒麟が強くても四聖獣とその全軍勢相手にはかなわなかった。そして麒麟は我が主、玄武によって殺され、麒麟族は全滅した。その大陸を征服し、その上に建つのがグリンゲル大帝国、というわけだ。

 …話がそれたな。2つ目の大国について話そう。2つ目は南の大陸に位置する朱雀のクルレイド帝国だ。この帝国を治める朱雀様こそ聖獣の紅一点、圧倒的アイドルであり空中戦では最強を誇る絶世の美女なのだよ。…冷たい目で見ないでくれ。男共はわかるはずだ。さて、クルレイド帝国の成り立ちはというとだが、………

 (略)

 …そして今に至る。ちなみに今の朱雀様は戦後に代替わりしたばかりで、今いる聖獣の中では一番の若手だな。

 さて、3つ目は東の…何?もうつまらないからやめろって?さっきから話に口をはさみすぎだ、斉藤。もう一度拘束されたいか?…3つ目は、東の大陸に位置する青龍族のエルバルト帝国だ。特徴としては…

 (略)

 …だな。…なぜ皆の半分ほどは倒れている?ステータス開放のときは確かに一時的には眠ることになるが…まだ開放されていないはずなのだが。まあいい。

 さて、4つ目は西の大陸に位置する白虎族のラウルス帝国だな。かなり今の代の白虎が弱ってきているからな…そろそろ世代交代だろう。だが、あそこは戦争のせいで子供が死んでしまったらしいから新たな血筋から誕生することになろう。あの国はな……

 (略)

 …といったところだ。………なぜ皆寝ている!人が話をしているのに寝るとは…礼儀がなっていない証拠だな。ちなみに北の大陸はまだ我が主の支配域だな。

 …お。そろそろステータス開放の時間だ。少し長くなってしまったが、これでこの世界についてはあらかたわかったと思う。話をしたかいがあったというものだな。


 

 
 …起きろ、斉藤。

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