甘え上手な彼女4 冬編
第68話
そう話す瑞稀の父親を俺は何故か憎いと思えなかった。
瑞稀の父親も瑞稀の為にこんな事をしたのだ。
やり方は間違ったとしても、瑞稀を思う気持ちに変わりは無かった。
「君には、散々迷惑を掛けた……消して許されることではない……脅迫と言う罪を私は犯した……罪を償おう……」
「そうですね……こっちは貴方のせいで……彼女に振られましたよ」
言葉ではそう言う高志だったが、内心そうは思って居なかった。
紗弥に振られたのは、誰のせいでもない。 自分のせいだと高志は分かっていた。
「君が望む額を支払おう、もちろんそれで許されるとは思っていないが……」
「金は要りません……その変わり、もっと瑞稀を外に出してあげてください」
「それは……」
「分かってます、病気のことも……でも外に出て交友関係を作ることも大事だと思います……ずっと一人は可愛そうです」
瑞稀の病気のことは高志には良くわからなかった。
でも、少しでも外に出て高志意外の友人、それこそ同性の友達でも出来ればと。
高志は思っていた。
「……医者が大丈夫だと判断した場合、瑞稀の外出を認めようと思う」
「そうですか、それならもう大丈夫です」
「待ちなさい」
高志が帰ろうとすると、瑞稀の父親は俺を止めた。
「まだ何か?」
「いや……君はなぜ、私を許すことが出来る? 私が憎くはないのか?」
そう聞いてくる瑞稀の父親に、高志は正直に今の気持ちを伝える。
「自分……誤解を解かなきゃいけない人がいるので……」
「八重様、それなら私もその方の元に……」
「いや、俺が……俺自身が話さなきゃ意味が無いんだ……」
高志はそう言うと、再び瑞稀の方を向き頭を下げた。
「ごめん、僕も君のお父さん達と一緒になって、君に嘘をついていた……君の気持ちに気づいていながら……許して欲しい」
瑞稀はそんな高志に近づき、優しく微笑んで言った。
「元はと言えば、私の父が引き起こした事です……それに嘘であっても私に付き合ってくれて嬉しかったです……ありがとうございます」
「……ごめん……本当にごめん……」
「大丈夫です……さぁ、早く彼女さんのところに行ってあげてください」
「……あぁ……ありがとう」
俺はそう言って部屋を出た。
「……瑞稀……」
「お父様……私は……楽しかったです……嬉しかったです……八重様と話しをするのが……友人と話しをするのがこんなに楽しいなんて……私は思っても見ませんでした……」
「……そうか」
「お父様……私の体は………」
「大丈夫だ……」
涙を浮かべる瑞稀を瑞稀の父親はそっと抱きしめた。
*
「おい」
「え?」
瑞稀の家を出た瞬間、高志は伊吹に声を掛けられた。
「送ろう」
「え、あ……はい」
伊吹はそう言うと、屋敷の玄関先に車を止める。
高志を乗せると伊吹は高志に尋ねた。
「で、どこに行けば良い?」
「あ、俺の家に……」
「わかった」
今までの丁寧な口調ではなく、高志は少し戸惑いながら車に乗っていた。
「すまなかった……そうは言っても、君は許してくれないだろうね」
「……もう……終わった事です」
「……君の友人に言っておいて欲しい、中々やるなと……」
「……優一……あいつは強かったですか?」
「あぁ……久しぶりにわくわくした」
「そうですか……」
高志は伊吹に送って貰い、家に帰ってきた。 相変わらず紗弥の家に車は無く、家に誰かが居る気配は無い。
紗弥は一体どこに行ってしまったのだろうか?
そんな事を考えながら、高志は一旦自分の部屋に戻った。
「確かここに……」
高志は部屋のゴミ箱を漁り、とある物を探していた。
捜し物は直ぐに見つかった。
「あった……」
それは高志が紗弥の為に用意したクリスマスプレゼントだった。
箱は少し潰れてしまっていたが、中身は無事だった。
瑞稀の父親も瑞稀の為にこんな事をしたのだ。
やり方は間違ったとしても、瑞稀を思う気持ちに変わりは無かった。
「君には、散々迷惑を掛けた……消して許されることではない……脅迫と言う罪を私は犯した……罪を償おう……」
「そうですね……こっちは貴方のせいで……彼女に振られましたよ」
言葉ではそう言う高志だったが、内心そうは思って居なかった。
紗弥に振られたのは、誰のせいでもない。 自分のせいだと高志は分かっていた。
「君が望む額を支払おう、もちろんそれで許されるとは思っていないが……」
「金は要りません……その変わり、もっと瑞稀を外に出してあげてください」
「それは……」
「分かってます、病気のことも……でも外に出て交友関係を作ることも大事だと思います……ずっと一人は可愛そうです」
瑞稀の病気のことは高志には良くわからなかった。
でも、少しでも外に出て高志意外の友人、それこそ同性の友達でも出来ればと。
高志は思っていた。
「……医者が大丈夫だと判断した場合、瑞稀の外出を認めようと思う」
「そうですか、それならもう大丈夫です」
「待ちなさい」
高志が帰ろうとすると、瑞稀の父親は俺を止めた。
「まだ何か?」
「いや……君はなぜ、私を許すことが出来る? 私が憎くはないのか?」
そう聞いてくる瑞稀の父親に、高志は正直に今の気持ちを伝える。
「自分……誤解を解かなきゃいけない人がいるので……」
「八重様、それなら私もその方の元に……」
「いや、俺が……俺自身が話さなきゃ意味が無いんだ……」
高志はそう言うと、再び瑞稀の方を向き頭を下げた。
「ごめん、僕も君のお父さん達と一緒になって、君に嘘をついていた……君の気持ちに気づいていながら……許して欲しい」
瑞稀はそんな高志に近づき、優しく微笑んで言った。
「元はと言えば、私の父が引き起こした事です……それに嘘であっても私に付き合ってくれて嬉しかったです……ありがとうございます」
「……ごめん……本当にごめん……」
「大丈夫です……さぁ、早く彼女さんのところに行ってあげてください」
「……あぁ……ありがとう」
俺はそう言って部屋を出た。
「……瑞稀……」
「お父様……私は……楽しかったです……嬉しかったです……八重様と話しをするのが……友人と話しをするのがこんなに楽しいなんて……私は思っても見ませんでした……」
「……そうか」
「お父様……私の体は………」
「大丈夫だ……」
涙を浮かべる瑞稀を瑞稀の父親はそっと抱きしめた。
*
「おい」
「え?」
瑞稀の家を出た瞬間、高志は伊吹に声を掛けられた。
「送ろう」
「え、あ……はい」
伊吹はそう言うと、屋敷の玄関先に車を止める。
高志を乗せると伊吹は高志に尋ねた。
「で、どこに行けば良い?」
「あ、俺の家に……」
「わかった」
今までの丁寧な口調ではなく、高志は少し戸惑いながら車に乗っていた。
「すまなかった……そうは言っても、君は許してくれないだろうね」
「……もう……終わった事です」
「……君の友人に言っておいて欲しい、中々やるなと……」
「……優一……あいつは強かったですか?」
「あぁ……久しぶりにわくわくした」
「そうですか……」
高志は伊吹に送って貰い、家に帰ってきた。 相変わらず紗弥の家に車は無く、家に誰かが居る気配は無い。
紗弥は一体どこに行ってしまったのだろうか?
そんな事を考えながら、高志は一旦自分の部屋に戻った。
「確かここに……」
高志は部屋のゴミ箱を漁り、とある物を探していた。
捜し物は直ぐに見つかった。
「あった……」
それは高志が紗弥の為に用意したクリスマスプレゼントだった。
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