甘え上手な彼女4 冬編

Joker0808

第65話

「……おい」

「どうですか? 嬉しいですか?」

「なんだ……これは……」

 優一は貰ったプレゼントを開けて、ワナワナと肩を震わせる。
 中に入っていたのは、荒縄とロウソク、そして怪しげな仮面と鞭だった。

「これでいつでも私とSMプレイが……」

「要らん」

「うわぁぁぁ!! なんで放り投げるんですか!」

 優一は貰ったプレゼントをベッドの下に放り投げ、不機嫌そうに布団を被った。

「まったく……お前は……」

「うぅ……冗談じゃないですか……」

「冗談に聞こえないんだよ」

「本当はこっちです……」

「本当か? ロウソクが入ってるとかじゃないだろうな?」

「そうしようかと思いましたけど、踏みとどまりまりました」

「踏みとどまるってなんだよ……」

 そんな事を言いながら、優一は貰ったプレゼントを開ける。
 そこには男用のネックレスが入っていた。 鳥の羽をモチーフにしており、羽の先には薄らと青い塗装が施されていた。

「どう……ですか?」

「あぁ……あっちよりも百倍嬉しいよ」

「えへへ……頑張って選びました……三日間」

「どんだけ時間掛けてんだよ……」

 呆れながら、優一は芹那の方に手を伸ばし、笑いながら芹那の頭を撫でる。

「サンキューな……いつも迷惑掛けて悪いな……」

「は、はわ!! な、何か今日は! す、凄く素直ですね!」

「アホ、俺はいつも素直だっての……」

 優一はそう言うと、布団から置きあがり芹那のを抱きしめる。

「わわ! な、なんですか! 今日はどれだけサービスしてくれるんですか! はっ! もしかして後でお金を請求されるんですか!?」

「アホ……少し黙ってろ……」

「で、でも……心臓の音とか……聞こえると恥ずかしい……それにここ……病院……」

「個室だろ? それに……今日はクリスマスだろ?」

「……もう……ずるいです……」

 優一はそう言いながら、芹那の唇に自分の唇を重ねる。
 芹那は頬を赤らめながら、優一を受け入れる。

「退院したら、今日の続きをするか」

「……はい」

「どうした?」

 芹那は顔を上げずに顔を伏せたまま、優一の言葉にうなずいた。

「だって……顔赤くて……恥ずかしい……」

「はぁ……いつもは踏んでくれだの縛ってくれだの言うくせに……そっちの方が恥ずかしいだろ?」

「それは全然恥ずかしく無いんです! そう言う性癖なんですから!」

「性癖は恥ずかしいだろうが……」

「うぅ……病院なのにキュンときました……」

「そうかよ……そりゃ良かった、じゃあ俺は寝る」

「え! も、もう少し話しましょうよぉ~」

「こっちは怪我人だ、少し寝かせてくれ」

「うぅ~……分かりましたよ……」

 そう言って芹那は帰る準備を始める。
 そんな芹那に優一は声を掛ける。

「芹那!」

「え!?」

 始めて名前で呼ばれ、芹那は驚きながら優一の方を見る。

「気を付けて帰れよ」

「うっ……優一さんの卑怯者ぉぉぉぉ!! そんな事言われたら……嬉しすぎて帰りたく無くなるじゃないですか!! 折角帰ろうって決めてたのにぃ!!」

「なら居ればいいだろ……俺は寝てるけど」

「居ます! 面会時間ギリギリまで居ます!」

「好きにしろよ……俺もお前がいると安心する……」

「え……」

「なんでもねぇよ……」

 優一は芹那にそう言うと、布団を被って再び眠り始めた。
 芹那は椅子に座り直し、笑みを浮かべながら優一の顔を眺める。

「うふふ……見てるだけで幸せです……」

「そうかよ……」

「きゃっ! びっくりした……」

 優一はそう言う芹那の手を握り、芹那の方を向いて目を瞑る。

「握っててくれ……俺もお前と一緒に居るのは……落ち着くんだ……」

「ゆ、優一さん……私……もう……なんか幸せ過ぎて……」

「嬉しいなら、泣くな馬鹿」

「ば、馬鹿じゃないですぅ~~」

 そう言いながら、芹那は優一の手を握ってうれし泣きをした。

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