甘え上手な彼女4 冬編

Joker0808

第61話

「あの保永先生」

「愛奈って呼んでくれないんですね……」

「いや……私達の関係はそのような関係では……」

「私はそんな関係になりたいと思ってるんですけど」

 愛奈はぷくーっと頬を膨らませて大石に文句を言う。
 大石は再びため息を吐き、愛奈の方を見て話しを始める。

「あのですね、保永先生はまだまだお若いですし、私みたいなおっさんよりも同い年くらいの若い男性の方が……」

「それは私が決める問題です! 私は大石先生が良いんです!」

「うっ……」

 この人はなんでこんなにストレートに言ってくるのだろうかと大石はそう思いながら、頭に手を当てて考え始める。
 若くて可愛いこんな人が、なんで自分なんかを……。

「大石先生!」

「は、はい?」

 急に声を上げる愛奈に大石は驚く、愛奈は真っ直ぐ大石の目を見て真剣な表情で話す。

「好きです、私は大石先生が大好きなんです……」

「うっ………そ、それで……私にどうしろと……」

「付き合ってください、正式に!」

「え、えっと……これは告白と考えて良いのでしょうか?」

「はい! で、答えは!」

「えっと……考えさせてもらっても……」

「ダメです!」

「えぇ………」

「今すぐ答えが欲しいです! ダメならダメとハッキリ言ってください!」

「ほ、保永先生……あまり大声を出すのは……」

 大石達が居るのは、商店街から少し離れたクリスマスツリーの有る公園。
 商店街よりも人通りは少ないにしても、他にも人は居る。
 愛奈の声に周りの人間が大石達に注目し始めた。

「先生が……先生が悪いんじゃないですか……私の事……どう思ってるんですか……」

「あ、いや……あの……」

 愛奈が泣き出してしまい、大石はアタフタするばかりだった。

「やだ、別れ話し?」

「あんな美人を……酷い男だな」

「クリスマスなのに……可愛そうね……」

 他のカップルが大石達を見てそんな事を話し始めた。
 大石は場所が悪いと考え、愛奈を連れて一目の無いベンチに移動する。

「落ち着きました?」

「落ち着きません! 早く答えを下さい!!」

「あぁ……この人こう言う人だった……」

 愛奈は涙を浮かべ、頬を膨らませながら大石に言う。
 大石はそんな愛奈の隣に座り、優しく話す始めた。

「保永先生……少し落ち着いてください」

「はい……」

「あの……私は先生の事を綺麗で可愛らしい女性だと思っていますよ」

「それは嬉しいです、頭撫でても良いですよ?」

「いや、それは遠慮します」

「ぶー」

「話しを戻しますけど……俺は……貴方と釣り合える自身が無いんです」

 大石は真面目な表情で愛奈に話し始めた。

「貴方は綺麗だし……俺なんかにはもったいない……それに比べて自分は何の面白みも無いおっさんです……自分と一緒に居ても面白い事なんて何も……」

「そんな事無いです!」

 大石の言葉に愛奈は立ち上がって声を上げる。
 
「私は先生と一緒だと楽しいですし! ずっと一緒に居たいって思ってるんです! 釣り合う釣り合わないなんて関係ないじゃないですか! 問題は先生が私をどう思ってるんですか! 好きなんですか! 嫌いなんですか!!」

「せ、先生落ち着いて……」

 愛奈はそう言いながら、大石の胸ぐらを掴んで大石を問い詰める。
 
「早く言わないとちゅーします」

「え! じょ、女性がそう言うことをするのは……」

「5……4……」

「そのカウントダウンはなんですか!!」

「好きって言わないとちゅーします……3……2……」

「それはただの脅迫じゃ無いですか!! あぁ!! わかりました! 好きですから!」

 大石が好きと言うと、愛奈はニッと口元を歪めて大石にこう言う。

「私も大好きです……」

「んぐ……」

 愛奈はそう言うと、大石の唇に自分の唇を重ねた。
 

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