魂狩りのダンジョンマスター ~慈悲も容赦も持ち合わせておりません!~
第57話 食堂にて
 
    食堂に到着した俺たちは食堂に隣接する厨房にいる係の人から料理を受け取り、適当な席について夕食を食べ始めた。
そこに先ほどの気まずい空気はなく、俺は隣に座った宏和と普通に雑談をしながら料理を口に運んでいたのだが‥‥‥
「篠宮君、ちょっといい?」
突然、俺は後ろから話しかけられた。
椅子に座ったまま振り向くと、そこには学年のマドンナ、清水結希乃がいた。
腰まで伸びた黒髪に、恐ろしいほどに整った顔立ち。
時折クラスメイトから女神と呼ばれるほどに美しい彼女の顔には、いつも微笑が浮かんでいる。
「いいけど、何か用か?」
「別に用があるわけじゃないんだけど、久しぶりだから挨拶しておこうと思って。私、訓練場に行かなかったから」
「律儀だな‥‥‥わざわざこんなことしなくても気にしないのに」
「でも、一応しておくに越したことはないでしょ?」
「それはまあ、そうだが」
「でしょ? じゃあ挨拶もしたし、私はこれで。話の邪魔してごめんね」
あっというまに会話が終わり、視線を宏和の方に戻すと、宏和は料理を受け取りに行った清水さんをまだ視線で追っていた。
確かに容姿はいいがそれだけでここまで夢中になるだろうか‥‥‥と考えつつ、俺は宏和に声をかける。
「おい宏和、いつまで見てんだ」
「‥‥‥あ、すまん。でもあの清水さんだぜ、仕方ないだろ? 周りを見てみろよ」
言われた通り周りを見てみると、食堂にいる他の男子の多くの視線が清水さんの方を向いていた。
チラチラと見ている奴も多いが、思いっきりバレバレだ。
そういえば高校でも清水さんは教室の男子の視線をよく釘付けにしていた。
異常な光景ではあるが、思い返してみれば見慣れた光景でもある。
「な? 俺だけじゃないだろ? 皆はお前みたいに彼女がいるわけじゃないから飢えてるんだよ」
「そういうもんかね」
「そういうもんだって‥‥‥ほら、話をしてたらお前の彼女さんも来たぞ」
宏和の視線の先を見てみると、そこには料理を持ってこちらに向かってくる葵さんがいた。
魔法の練習で何かあったのか、心なしか疲れているように見える。
「さて、俺は飯も食い終わったし先に部屋に帰るとしますかね」
「気を遣わせて悪い」
「何、気にすんじゃねえよ」
こうして、入れ替わる形で俺の隣に座る人物は宏和から葵さんに移った。
確認したいこともあるし、いい機会なのでここで一回スイッチを切り替えることにしよう。
+++++++++
「朝倉さんに気を遣わせちゃったみたいですね」
「そうですね。まあ向こうからすれば僕たちは再会したばかりですし、これくらい気を遣わせても構わないでしょう」
「! 戻ったんですか?」
「一時的にですよ。今、僕たちの会話を聞いている人はいないでしょうし」
どうやら【俺】から僕になっていたことに驚いたようだ。
流石に喋らないとすぐには気づかないらしい。
「ところで何かあったんですか? 何やら疲れているみたいですが」
「それが、ちょっと魔法の練習で集中力を使いすぎちゃったみたいです。中々上手く魔力を扱えなくて‥‥‥」
「なるほど‥‥‥では効果があるかは分かりませんが、水属性の回復魔法をかけておきましょうか」
「あれ? 努君の魔力の属性って無属性でしたよね?」
「魔物に魔法を使わせるんですよ。この前のスライムが水属性の魔力を持っているんです」
「へ~‥‥‥ただのスライムじゃなかったんですね」
僕は指示を出し、ポーチの中にいるアクアマリンスライムに回復魔法を使わせる。
脳の疲労に効果があるのかは知らないが、何もしないよりはマシだろう。
「さて、普段なら雑談を楽しみたいところですが、今は切り替えて真面目な話をさせてください。一つ確認したいことがあるんですが‥‥‥」
僕は気持ちを切り替えて、会話を再開した。
    食堂に到着した俺たちは食堂に隣接する厨房にいる係の人から料理を受け取り、適当な席について夕食を食べ始めた。
そこに先ほどの気まずい空気はなく、俺は隣に座った宏和と普通に雑談をしながら料理を口に運んでいたのだが‥‥‥
「篠宮君、ちょっといい?」
突然、俺は後ろから話しかけられた。
椅子に座ったまま振り向くと、そこには学年のマドンナ、清水結希乃がいた。
腰まで伸びた黒髪に、恐ろしいほどに整った顔立ち。
時折クラスメイトから女神と呼ばれるほどに美しい彼女の顔には、いつも微笑が浮かんでいる。
「いいけど、何か用か?」
「別に用があるわけじゃないんだけど、久しぶりだから挨拶しておこうと思って。私、訓練場に行かなかったから」
「律儀だな‥‥‥わざわざこんなことしなくても気にしないのに」
「でも、一応しておくに越したことはないでしょ?」
「それはまあ、そうだが」
「でしょ? じゃあ挨拶もしたし、私はこれで。話の邪魔してごめんね」
あっというまに会話が終わり、視線を宏和の方に戻すと、宏和は料理を受け取りに行った清水さんをまだ視線で追っていた。
確かに容姿はいいがそれだけでここまで夢中になるだろうか‥‥‥と考えつつ、俺は宏和に声をかける。
「おい宏和、いつまで見てんだ」
「‥‥‥あ、すまん。でもあの清水さんだぜ、仕方ないだろ? 周りを見てみろよ」
言われた通り周りを見てみると、食堂にいる他の男子の多くの視線が清水さんの方を向いていた。
チラチラと見ている奴も多いが、思いっきりバレバレだ。
そういえば高校でも清水さんは教室の男子の視線をよく釘付けにしていた。
異常な光景ではあるが、思い返してみれば見慣れた光景でもある。
「な? 俺だけじゃないだろ? 皆はお前みたいに彼女がいるわけじゃないから飢えてるんだよ」
「そういうもんかね」
「そういうもんだって‥‥‥ほら、話をしてたらお前の彼女さんも来たぞ」
宏和の視線の先を見てみると、そこには料理を持ってこちらに向かってくる葵さんがいた。
魔法の練習で何かあったのか、心なしか疲れているように見える。
「さて、俺は飯も食い終わったし先に部屋に帰るとしますかね」
「気を遣わせて悪い」
「何、気にすんじゃねえよ」
こうして、入れ替わる形で俺の隣に座る人物は宏和から葵さんに移った。
確認したいこともあるし、いい機会なのでここで一回スイッチを切り替えることにしよう。
+++++++++
「朝倉さんに気を遣わせちゃったみたいですね」
「そうですね。まあ向こうからすれば僕たちは再会したばかりですし、これくらい気を遣わせても構わないでしょう」
「! 戻ったんですか?」
「一時的にですよ。今、僕たちの会話を聞いている人はいないでしょうし」
どうやら【俺】から僕になっていたことに驚いたようだ。
流石に喋らないとすぐには気づかないらしい。
「ところで何かあったんですか? 何やら疲れているみたいですが」
「それが、ちょっと魔法の練習で集中力を使いすぎちゃったみたいです。中々上手く魔力を扱えなくて‥‥‥」
「なるほど‥‥‥では効果があるかは分かりませんが、水属性の回復魔法をかけておきましょうか」
「あれ? 努君の魔力の属性って無属性でしたよね?」
「魔物に魔法を使わせるんですよ。この前のスライムが水属性の魔力を持っているんです」
「へ~‥‥‥ただのスライムじゃなかったんですね」
僕は指示を出し、ポーチの中にいるアクアマリンスライムに回復魔法を使わせる。
脳の疲労に効果があるのかは知らないが、何もしないよりはマシだろう。
「さて、普段なら雑談を楽しみたいところですが、今は切り替えて真面目な話をさせてください。一つ確認したいことがあるんですが‥‥‥」
僕は気持ちを切り替えて、会話を再開した。
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