転生したら愛がいっぱい?!(仮題)

シーチキンたいし

王都へ出発


あれから数日、この街に来てもう一ヶ月以上経った。

空海のことは最初は驚かれたが、今では受け入れられた。クウは私の頭の上がお気に入りらしく、今ではそこが定位置だ。

『頭にスライムをのせて、白い子犬を連れている子供』といえば、私だとわかるほどに街の人に覚えられている。

「アリス!」

「どうしたのクマさん?」

「急で悪いが、明日から王都に向かうことになったんだ」

「え、急だね…うん!わかったの!」

「すまねぇ」

本当に申し訳なさそうに頭を下げるクマさんに何だか胸が苦しくなって、私は精一杯の笑顔で答えた。

「ううん、アリス、楽しみだったからいいよ!」

「たくさん観光しような」

「うん!」

クマさんが私を王都に連れていきたくないのは、私が犯罪者ホイホイだからだろう。

容姿は勿論、その能力、加護、どれをとってもチート級。まぁ、神様がくれたものだから、自分の力だとあまり認識できていないが。

でも、この世界でスキルレベルがLv.MAXなんて英雄の領域だし、加護なんて神の使い認定されてもおかしくない。そう考えると、自分がいかに常識離れした存在か、理解せざるえない。

そういえば……私、クマさんが強いことは知ってるけどステータスは見たことないな。

勝手に鑑定はマナー違反なんだっけ?

(解答、私であれば問題ありません)

……え?本当に?

(解答、私は神により付与された能力です。物質などは問題ありませんが、生物に鑑定する場合、普通の鑑定であれば、魔力の痕跡が残ります。加えて、ステータスを見られたときに少し不快感を覚えるので、すぐに鑑定されたと相手にわかるため、この世界では合意無しの鑑定はマナー違反です。

追記、法で禁止にしているところもあります。

しかし、私はステータスの表示上、普通の鑑定に分類されていますが、神に付与された別物なので、私で鑑定したとしても相手に不快感を与えることはないので気付かれる恐れはありません。)

うわー…。でた、チート。相手のステータス見放題ってこと?

(解答、可能です)

じゃあ……ちょっと申し訳ないけど、クマさんのステータス見せてくれる?

(解答、了解しました。鑑定結果を表示します。

名前:ラクマ
HP:15780(+16000)
MP:12350(+12000)

STR :24960(+25000)
DEF :8577(+10000)
INT  :13693(+14000)
AGI  :17840(+18000)
RES :15923(+16000)
DEX :785(+1570)
LUK :521(+1042)
(※全ステータス2倍補正中)

スキル:身体強化 Lv.MAX
                魔法適正 Lv.4
                忍耐Lv.3(RESに補正)
                直感 Lv.MAX
                自動回復Lv.2
                収納倉庫Lv.3

ユニークスキル:不屈
HP(生命力)が2割を切ったら自動的に発動するスキル。全ステータスに2倍補正をかけます。

EXTエクストラスキル:限界突破
限界を越えて力を発揮することのできるスキル。任意で発動指定。使うと、あらゆるスキル、ステータスにおいて超越します。しかし、その反動に使用後、数日ステータスが3割減少します。

称号:超越者
            セリーフ王国Sランク冒険者
            魔法剣士
            アリスの保護者
            アリスを愛する者

以上です)

いや、ちょ……見てはいけないものを見てしまった感がヤバい。

え、待って、ちょっと色々とスルーして聞くけど、なんかステータスの項目増えてない?わたしこの英語みたいなやつ無かったよ?

(解答、あなた様のステータスは、LUK 以外、全て子供の平均ステータスとほぼ同じです。加護の効果、完全防御で何者にも害されることは無いので、不要と見なし省略しました)

あ、そうだよね。じゃあ、この英語みたいなやつ、どういう意味?

(解答、HP:生命力、MP:魔力、STR: 力、DEF:防御力、INT :知力、AGI :速さ、RES :抵抗力(耐久)、DEX :器用、LUK:幸運値となります。)

成る程。地球にあったゲームみたいだ。

それにしても、クマさんのステータスやばくない?普通のステータスだけでも高いのに、補正で更に倍だよ。なんで、こんなに補正ついてるの?

(解答、あなた様の影響かと)

え?私なの?

(解答、はい。ステータス称号の詳細を表示します。

称号:超越者
EXTエクストラスキル:限界突破を持つものに与えられる称号。寿命に補正。
        :セリーフ王国Sランク冒険者
セリーフ王国のSランク冒険者になった者に与えられる称号。
        :魔法剣士
魔法と剣を両方極めた者に与えられる称号。STR知力INTに補正。
        :アリスの保護者
愛し子であるアリスを保護している者に送られる称号。アリスの加護の恩恵で防御力DEF抵抗力RESに補正。
        :アリスを愛する者  
愛し子であるアリスを愛する者に与えられる称号。アリスの加護の影響で幸運値LUKに補正。

以上が称号の詳細です。この称号:アリスの保護者と称号:アリスを愛する者が新たに加わり、補正値を大幅に増幅させています。)

きゃぁぁ!やっちまった!完全に私のせいだこれ!

「どうしたんだ?」

「く、クマさん」

鑑定さんとやり取りをしていたら、クマさんが心配そうに問うた。言えない、私からは言えない。いや、絶対気づくだろうけど。

とりあえず目の前の問題をスルーすることにした。

「ううん、何でもないの。クマさん、出発は明日のいつ?」

「朝には出る。王都までは長旅になる。今日中に必要なものを揃えないとな」

「はーい!」

旅支度のため、必要なものを買いに、私達は街の商店街に向かった。

たくさん物を買ったが、私もクマさんも異空間収納のスキル持ち。私に至っては、上限無しの異次元収納倉庫アイテムボックスだ。ほぼ手ぶらで行ける。

しかし、手ぶらでは倉庫持ちだとバレバレなため、ちょっとした荷物は見えるところに持っていた方がいいんだとか。

なので、追加で可愛いいポーチを買ってくれた。シロとクウのおやつを入れよう。

そうして次の日、私とクマさんは王都に向けて出発することとなった。

見送りには、ギルドマスターのオルグおじ様と、受付嬢のリサさんが来てくれた。二人とも忙しいだろうに。

「くれぐれも…くれぐれも気を付けくれよ」

「何で二回言ったんだ」

「お嬢ちゃんもくれぐれも大人しくしておけよ」

「…はーい」

すごい必死に「くれぐれも」を強調して言うので、私は大人しく頷いた。何でだろう、問題児扱いだ。あれかな、存在自体が問題チートのオンパレードだからかな?

二人に見送られ、私達は王都を目指す商隊の馬車に乗り込んだ。今回は王都まで馬車に乗せてもらう代わりに、護衛の冒険者として雇われることになったのだ。

こうして私の初の旅が始まったのだ。


「楽しみだねぇ」

『(王都か……面倒事は任せておけ。俺が守ってやるからな)』

『(ぼくも!アリスと一緒なら、どこでも嬉しい、よ?)』

「ふふ、ありがとう二人とも」


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