転生したら愛がいっぱい?!(仮題)

シーチキンたいし

閑話 神々の遊戯



アリスが初めての仕事クエストをしているとき、神界ではイナンとゼウスは、アリスが作った『リバーシ』なるもので遊戯を楽しんでいた。

「ほい。次はお主じゃ」

「あー!また角が!!」

めちゃくちゃハマっていた。

下界の監視をそっちのけで、可愛い愛し子が作ったボードゲームなるものを二人で楽しんでいた。

それはもうめちゃめちゃハマって、暇なときはずっとこれで遊んでいる。今はリバーシと言うもので遊んでいるが、他にもチェス、将棋、囲碁、チェッカー、すごろくなどのボードゲームから、トランプなどのカードゲームまで、多岐にわたる。

「貴様!何故娘子の作ったものが届いたことを我に知らせぬ!」

「ほんまや!俺かてめっちゃ気になってたんやで?」

イナンとゼウスで遊んでいると、そこへやって来たのは、知恵の神『メーティウス』と商業の神『メリクリス』だった。

「何よ?これは、私の可愛い娘が送ってくれたのよ!」

「そうじゃ、我の可愛い孫が送ってくれたんじゃ!」

「私によ!」

「わしにじゃ!」

「おいおい、なぜ二人が喧嘩するのじゃ…。いいからさっさ我にもよこすのじゃ!なんのために我が娘子に加護を与えたと思っておる!」

「俺にもな!異世界の遊戯かぁ、あの子が作っとるの見てから、ずっとやってみたかったんや~」

二人はもともと、アリスの知識に高い関心を持っていた。何故なら、神といえども、他の神が管理する異世界に干渉することは禁忌であるからだ。そこへ異世界の知識をもってやって来るのだから、気になるのは至極当然と言える。

アリスを異世界に送った神は、その意味でも度重なる禁忌を犯していたのだ。

「なるほど…これは柔軟な頭と思考が必要だな」

「簡単そうに見えて、実は奥が深い!すごいやんか!」

二柱の神は、アリスが作って送ったものをじっくりと見聞し、その出来映えに感心していた。

娯楽の少ない神界での新たな楽しみが増えたことに感謝して、二人はさっそく手に取ったボードゲームを説明書を読みながら始めた。

「我はこの将棋と言うものがよい!」

「リバーシもええけど、このトランプっちゅうカードもおもろいなー」

二人はそれぞれ、試したゲームをここがいい、あれがいいと、意見を交わしていた。

「あーらぁ?私達を除け者に何してるのかしらぁ?」

「貴女達は!」

あれやこれやとゲームに夢中になっていると、そこへやって来た四柱の女神達。

彼女達は四姉妹の女神で、この世界の元素を司り、世界の正常を管理する神々。火の神『ウェスタ』、水の神『ヘケート』、大地の神『ネルトス』、風の神『アウライ』である。

「例の子が、何か作って送ったことはみんな知ってるのよ!」

「げーむ……楽しみにしてた」

「そうねぇ、隠し事なんてダメねぇ」

「これが『地球』の遊戯ですか?」

彼女達も、アリスのことは気にかけていた。この世界の12柱の神々は、それぞれに役割がある。

命の神であるイナンは輪廻転生、魂の巡りを管理している神。

商業の神メルクリスは商業に関する全てを仕切る神。

知恵の神メーティウスは、知識を司る学問の神。

そして兄弟神である戦いの神アレーイウスは、戦いや勝負の『勝敗』を司るため、交わされる『契約』を重んじる神で、契約の神とも呼ばれる神。

魔法の神ネフティス、全ての魔法を司り、魔法を管理する神。

鍛冶の神ディーアン、鍛冶を司り、魔剣や聖剣、神器などの管理する神。

運命の神ノルン、運命を司り、つがいや婚姻などを管理する神。

そしてそれぞれの元素を司る、火の神、水の神、大地の神、風の神。直接的に世界の正常を管理する神である。それ故、アリスのことを一番に気付いたのは彼女達なのだ。

故に、彼女達もアリスのことを知っていて、ずっと気にかけていた。

神々は直接下界に手を加えることはないが、それぞれ司るものに関しては干渉することが許されていて、力を使うことができる。

イナンならば力が作用するのは魂の状態のもの。つまり死者のみにしか許されず、他の神々も同じように、管理外のものに力を使うことは禁忌である。

なので、彼女達はアリスのことに一番に気付いたが、自分達ではどうするとこもできず、他の神々を頼るしかなかった。

 それが出来たのが、イナンと創造神様だけだったのだ。

ちなみに加護は別である。加護は極端に言うなら、神の依怙贔屓だからだ。

「バレては仕方ないのぉ」

「創造神様も一緒になって…人が悪いですよ」

「ほっほっほっ!神じゃなから」

結局、ボードゲームはたくさんあったので、暇をもて余す神々が皆で楽しく遊ぶようになった。

ついでに、アリスの加護『神々の祝福』に四姉妹女神の加護が追加され、ますますチート化することを後日知ることになり、驚くアリスの声が聞こえてくるのであった。



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