転生したら愛がいっぱい?!(仮題)

シーチキンたいし

規格外はすぐバレるのが鉄則




「さて、まずラクマの話と言うのが、三ヶ月後の『九勇士円卓会議エニアグラム』の開催が発令された。」

「なんだと?どこのバカだ?」

「ゼレストとメルアリスのとこだ」

「くそっ!またあいつ等かよ…」

エニアグラム?たしか地球の本で九芒星の別名だったよね。九?それにゼレストとメルアリスの二つの新しい単語だ。

(解答、『九勇士円卓会議』別名エニアグラムです。このオリーブス大陸のSランク冒険者は九人。皆、国の英雄、戦争の抑止力として存在しています。)

え?じゃぁ、クマさんもそのすごい冒険者なの?

(解答、肯定します。バスコのSランク冒険者『強剣のラクマ』と呼ばれています。)

何気に心の中で思ってても鑑定さんが答えてくれるのにも同時に驚きつつ、それで街の人達がクマさんを知っていたのかと納得した。

じゃあ、エニアグラムって、そのクマさんみたいなSランクの凄い冒険者の集まりみたいなもの?

(解答、肯定します。二人以上のSランク冒険者の要請により特別に開催される会議のことです。主に近状報告、Sランクでないと対処できないような事態での救援要請などがありますが、Sランク冒険者一人で一軍以上の戦力としてみられています。戦争の抑止力であるSランクが同時に集まることは異例で、本来あり得ません。)

確かに戦争の抑止力と言われてるなら、そんな抑止力が一同に会するなんて、おかしな話だ。それを可能にするのが、「Sランク冒険者二人以上の要請」なのだろう。

そして、会話の内容から、その要請をしたのが「ゼレスト」と「メルアリス」ということなのだろう。

それは名前?それとも国?

(解答、国の名前です。オリーブス大陸の北部にあるゼレスト帝国。そして帝国とも王国とも接する西部にあるメルアリス聖国のことです)

帝国に聖国かぁ。なんか物々しい国の名前だなぁ。なんかぞわぞわするし。

(解答、帝国は大陸統一を目的としているため、国境付近では今だ争いが絶えません。聖国も、表向きは中立を保っていますが、裏では帝国と繋がり、兵器や異種族奴隷などの交易があります。今後気を付けた方がよい国です)

わぁ、ついに鑑定さんが国の裏事情まで教えてくれるようになった…。

いや、わかってたよ?だってEXTエクストラスキルだもんね?EXTエクストラ。しかも『(神)』だもんね。

現実逃避をしたくなるわ。

それにしても異種族奴隷……いやなだな。人を奴隷だなんて。

(解答、この国にも奴隷制はあります。しかし、きちんと奴隷の種類も分けられ、奴隷の人権が法によって約束されています。この国は比較的異種族に対しての差別意識がありません。なので、異種族の間で国交を持てているのはオリーブス大陸ではこの国だけです。)

それはよかった!そっか、最初に来た国がこの国で本当に運がいい!これも神様達のおかげかな?

『(南に進んだのは俺だぞ)』

「(そうだよね!じゃぁ、シロがこの国に私を連れてきてくれたんだね!ありがとう)」

『(別に、他の国じゃアリスが危なそうだからな)』

「(危ない?)」

『(帝国にお前の力がバレれば、捕まっていいように利用されるかもだし、聖国なんていったら、聖女認定されて、神殿に監禁されるぞ?)』

「(うっ!それはいやだ!)」

『(かといって異種族の国に人間族が入るのは少し厳しいしな。だからこっちにしたんだ)』

「(シロすごい!ありがとう!)」



その後も二人の難しい会話は続いた。

そして、ようやく一段落ついたところで、話は私のことに戻ってきた。

「ところでラクマ。この子供はいったい何処から連れてきたんだ?」

「検問の所だぞ。一人で並んでたから、事情を聞いたんだ。そしたらホントに一人みたいでよ…」

「保証人になったわけか…」

「なんか悪ぃのかよ?」

「悪いもなにも、厄介そうな子を連れて入ったもんだ。そういや、お前その辺鈍いからな。この子、加護持ちだぞ」

「なっ?!!!」

「?!!!」

クマさんも驚いたが、スキルやシロと話をしていて、半分聞いていなかった私も驚いた。

どうしてバレたのだろう?

地球の本でも、規格外はすぐバレるのが鉄則だったしな。まぁ、バレたとしても、私をどうこうするとか、絶対無理な気がする。(神々の祝福さんのおかげでせいで)

「その顔は嬢ちゃんも自覚があんるだな」

「……うん」

「ハッキリ言うと、俺は戦闘はBランク止まりだが、EXTエクストラスキル:鑑定を持ってる。」

はい。さっそく会いましたー。これ運がいいの?悪いの?

「俺のスキルレベルは3。ステータスをみたり、嘘がわかったりする。」

スキルレベルが3って高いの?

(解答、この世界のスキルレベルは5がLv.MAXです。Lv.1で、少し補正が効き、初心者よりうまくなるくらいです。Lv.2で中堅、Lv.3で上級者、Lv.4で達人または免許皆伝レベル、Lv.MAXで人外、一騎当千の力と言われています)

え?私の全部Lv.MAXなんですけど。

(解答、Sランク冒険者で、Lv.MAXを一つ所有すればなれるという基準です)

それもう化け物じゃん。私、攻撃系のスキルがないだけましかな?

(解答、攻撃系のスキルを習得する際、鑑定していただければ、取得条件を解答します。)

わぁ、スキルの取得条件までわかるんだ…。

ヤバイなうちの鑑定さん。

あれ?でも、私の鑑定レベル(神)なんだけど?これ、レベルなの?

(解答、この世界のスキルは取得条件をクリアすることで、世界のシステムが肉体に付与しています。しかし、私は神より直接あなた様の肉体に付与されているので、システムに付与されたスキルとは存在そのものが別物です)

スキルってそんな風につくんだ…。もうなんでもありだね鑑定さん。鑑定さん最強だな。

じゃぁ、レベル3って上級者だからすごいんだ?

(解答、EXTエクストラスキル:鑑定のスキルレベル3なら、ステータスの一部と、相手が嘘をついているかの有無を教えてくれます。どこが嘘か、どんな嘘か、まではわかりません)

それでもすごい!やっぱエクストラなだけあるね!

「俺の鑑定スキルでステータスの一部を見させてもらった。」

一部って…どれ見られたんだろう?

(解答、名前、HPやMP、スキル、加護は見られています。しかし、称号とスキルレベルやそのスキルの詳細までは見られていません)

いや、ほぼ見られてるやつだよ。称号が一番ヤバイからまだセーフかな?

「スキルが4つに、ユニークスキルもあり、俺と同じ鑑定スキルエクストラスキルもある。そして、『神々の祝福』という加護までついてる。こんな子供見たことないし、もし、他国でこの子が利用されるようなことがあったら恐ろしくてたまらない」

「な、なんだそれ!!?何でそんなにスキルが??!本当かアリス!」


話すべきか、話さないべきか。

私は迷っていた。間違いなく、ここで話してしまえば、私の人生に巻き込んでしまう。

確かに、わたしには召喚やテイムもあって、友達には困らない。あの大森林でひっそり暮らすと言う手もあった。だけど、やっぱりずっと一人できりだったのだ。もっといっぱい触れ合いたい。誰かと心を通わせて、愛されたい。

ずっとうちに秘めていた願望が、背中を押して、森を出ることを決めた。

シロも鑑定さんもいるから寂しくはないけど、新しい世界も見に行きたかった。地球でも暇すぎて一周したこともあるくらいだし。やっぱり未知の世界を知りたい。

それに命一杯生きると神様達に約束したのに、森でひっそり暮らすなんて出来ない。

これもやっぱり、運命の一つなのかもしれない。

「本当だよ」

「アリス……」

「私ね街に来る前は大森林に居たんだよ。そこでねシロと一緒にいたの」

「シロって…そのずいぶん大人しい犬か?」

あ、犬っていっちゃダメ…。

『グルルルルッ』

遅かった、シロが威嚇しちゃった。

「ダメなの。シロは狼だから、犬って言うと怒るの」

「あ、頭いいんだな…」

「流石は神獣か?」

「え?!こいつが?!」

「うん。シロには小さくなってもらってるだけなの。シロ、この人たちの前なら喋っていいよ」

『これだから鑑定持ちの奴は嫌なんだ』

「しゃ、喋ってる…本当に神獣なんだな…」

クマさんはさっきから驚きっぱなしだ。

『おい、人間。アリスになんかしたら天罰下るからな』

「それは…貴方がですか?それともお嬢ちゃんの加護ですか?」

『どっちもだ』

まだ全部を話せないけど、私のこと、私の持つスキルや加護のことだけ説明することにした。

神様に魂を救われ転生し、神様に新しい肉体うつわを授かったこと。しばらく森で生活していたことだけを伝えた。

「神に与えられた肉体…ですか」

「ちなみにアリスの『神々の祝福』の加護は、アリスを何ものからも守ってくれるの。完全防御つきなの!」

「か、完全防御?」

「うんとね……アリスに悪意もって攻撃しようとしても、バチンッて弾き返されちゃうの!」

ギルドマスターさんは頭を抱えてしまった。

「ほ、ホントに天使だったんだ…」

「クマさん?」

「アリス!お、俺は、お前を守りたいんだ!きっとそのために出会ったんだ!」

なんだかクマさんが運命論者のように、私に熱い視線を向けている。え?ダメじゃない?私今幼女だし。

もしかして…………ロリコン?

(解答、強剣のラクマは現在19歳です。精神年齢から言えば、あなた様と釣り合いが取れます)


マジですか。



ついでに鑑定さんは言ってくれなかったけど、この世界には稀に種族関係なく強く引かれ会う『ツガイ』が存在していると言う。


私がそれを知るのはまだまだ先の話だ。

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