エロげーの悪役令嬢に転生した俺は凌辱END回避のために世界最強を目指す!

チョーカー

 ノアの戦う理由

 貴族令嬢と言うのは、身の回りの世話をするメイドがついているものである。

 「着替えなんて1人でできるわよ。それにお風呂なんて!」

 「いえ、なりません。ベッドリッチ家のご息女として恥ずかしくない相応しい振る舞いをしていただけませんと」

 メイドリーはバッドリッチ家に使える使用人夫婦の娘であり、ノアと同じ年に生まれたため、幼少期から専属のメイドとして一緒に暮らしている。

 彼女にとって、主人であるノアの着替えを手伝うのは当たり前。

 お風呂で背中を流すのは当たり前。

 むしろ、

 (どうして、ノアお嬢様はお風呂に入る事をこんなに嫌がるのでしょうか?)

 メイドリーは、本気でそう考えている。 

 いや、実際に王族や貴族の人間にとっては正常な考えなのであるが……

 気がつけば、ノアは裸にされ、浴室で背中を流されていた。

 「屋敷の浴場と比べると少し狭い感じがしますが、風情というのでしょうか? 普段と違って気持ちいいですね」

 「う、うん、ソウデスネ」

 「どうかしましたか? 普段と様子が違いますが」とクスッと笑うメイドリー。

 (メイドちゃん、意外と強引なのようね)

 「はぁ」とため息をつくノア。それから、チラリと後ろを覗き込む。

 メイドリーは普段メイド服に包まれているが、それを脱ぎ捨てると発育の良い体という事がよくわかる。

 むしろ、暴力的も言えるエロスを有していた。

 (くっ! これは危険すぎる)

 普段は眠りについている前世の性別がムクムクと起き上がってくるような不思議な感覚。

 そんな事を少しだけエッチな妄想を脳内で繰り広げていると――――

 ペタッ

 「ひゃあえ!? なに?」とノアは振り向いた。

 「――――ッ!?」とその光景に息を止めた。

 後ろからメイドリーが抱きしめてきたのだ。

 「ちょっと、メイドちゃん! 何を!」

 動揺するノアに対して、メイドリーは瞳に涙を浮かべていた。

「どうしてですか? どうして、ここまでノアさまは自身の体を痛めつけるのですか?」

 その言葉にハッと気づくものがあった。

 激しい鍛錬に次ぐ鍛錬。 痛みに痛みを重ね、傷に傷を重ねてきた。

 ノアの肉体は、同世代の少女であるメイドリーから見て痛々しいものに見えているのだろう。

「それはね、メイドリー。私には立ち向かわなければならない相手が運命付けられているのよ」

「運命……そんな言葉――――」

「私は……いいえ、俺は転生者だ」

その瞬間、メイドリーは目を見開いた。さっきまでの敬愛する主人に対する目ではなく、信じられないナニカを見る目。

「だから、俺は……この先に起きる出来事がある程度はわかっている。それは――――」

 ノアは説明する。 

 無論、この世界がエロげ―の世界とか、『どきどき純愛凌辱シリーズ 魔法学園のエッチな私たち』の世界という事は省略して。

 「俺が15才になり、国立の学園に入る頃、俺は宿敵と言える奴と出会う」

 「宿敵……男ですか?」とこの時、メイドリーの瞳には複雑な感情が浮かんでいたが、その事にノアが気づくことはなかった。

 「あぁ、学園でその男たちと戦い、俺は敗れる。そして……」

 「そんなッ!」と悲鳴のようなメイドリーの声。

 「だから、俺はその未来を変えるために……信じてくれるか? メイドちゃん!」

 この世界で転生者は珍しくはない。

 しかし、突然言われて簡単に信じてくれるのか? と言ったら別問題だ。

 「――――はい」とメイドリーの返事に安堵の息をついたノア。しかし……

 「はい、信じます。 その口調……ノアさまは前世は男の方だったのですよね?」

 「え? あぁ、すまない。騙すような真似をして……だから、今後は着替えとかお風呂とか……」

 「よかった」

 「え?」

 「ノア様に男性としての心があるのなら、今まで通りにお使いさせていただきますね」

 「ん? んんん? ちょっと、メイド……さん。顔が近いですよ」

 「大丈夫です。私も初めてですが……気持ちよくさせていただきます」

 「うあわあああああああああああああああああ!?」と謎の悲鳴は浴槽に響いた。

 その後、身の危険を感じたノアの発案により、宿の部屋を2つ取り直してた。

 もっとも、メイドリーは不満そうであったが……
 

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