エロげーの悪役令嬢に転生した俺は凌辱END回避のために世界最強を目指す!
ノア 運命を変えるために
奴隷市場。
血と汗と……得体の知らない異臭を隠すため、きつめのお香が焚かれている。
そんな場所に身なりの良い少女が現れたので奴隷商は「またか」と呟いた。
「奴隷として買ってほしい。その後、自分で自分を買い直す」
客の女性は、懐から金貨が入った袋を取り出した。
その奇妙とも言える依頼であるが
「はいはい、すぐに準備しますね」と慣れた手つきで書類や契約魔法の用意を始めた奴隷商。
……最近、多いのだ。
自ら奴隷に立候補する女性が……
原因はわかっている。大ヒットした恋愛小説の影響だ。
身分の違う男女の物語、ヒロインは自ら奴隷になってまでも男と一緒に生きようとした大恋愛傑作。
そんな創作に憧れて奴隷になる。 それが本業たる奴隷商にしてみたら、
(冗談じゃない。こっちは危ない橋を渡って儲けているんだ。人に言えない商売のルートがバレただけで、こっちは……)
なんて事は、全然思っていない。
ブームのおかげで金回りが良い! なんせ、奴隷として買い取った金額に対して、世の娘たちは、すぐにそれ以上の金額を払って自分で自分を買い直すのだ。
その差額が良い儲けになるのだ。
ほしいのは奴隷と言う身分。 やりたいのはファッションとしての奴隷!
国の暗部と言われる奴隷市場が市民権を得てしまった事は、世界の奴隷事情を大きく破壊してしまう事になるのだが……それは、また別の話。
「それでは腕に紋章を入れますね。好きな柄を選んでくださいね」
「それじゃ……この龍で」
客は見た目に合わない厳ついドラゴンの紋章を指さした。
「へぇ、珍しいですね。普通は可愛らしいのを選びますよ」
「……奴隷の証に可愛い紋章を選ぶのですか?」
「ん~ 変ですよね」と奴隷商と客は2人して首を捻った。
いつの間には馴染んでいる。そんな不思議な魅力がある少女の客だった。
「それでは腕に奴隷の紋章を入れますね」
「へぇ~ 今は魔法で入れるんだ」
「そうですね。墨を入れても回復魔法で消せますから、こちらの方が便利なんですよね。いろいろと……はい、完成しました」
「はい、ありがとう。それで値段は?」
「貴方の値段は……そうですね。金貨2000といった所ですかね」
金貨100枚で普通の生活をすれば1か月暮らしていけるのを考えれば、かなりの金額だ。 もっとも、人間の人生を捧げる額と考えれば、高いと思う者もいれば、安いと思う者もいるだろう。
「じゃ売値はいくらですか?」
「金貨2100枚ですね」
「金貨100枚丸儲けですね」と少女は袋から差額分の100枚を手渡した。
「おかげ様で日の当たる商売をしている錯覚に陥ってしまって困ったもんですよ」
奴隷商は陽気に笑った。
おそらく奴隷商という商売上、非道を重ねていたに違いない。
きっと、そのままで人生を歩んでいたのならば、闇に飲まれていただろう。
それが、こんな笑顔を見せるようになるとは……
少なくとも今の奴隷商には悪人としての印象は抱かないだろう。
以前の彼を知っている者は、憑き物が落ちたかのように別人に変わってしまったと言うだろう。
もはや、彼は悪人ではなくなったのだ。
それを知ってか知らずか、少女は――――
(ちまたで噂の恋愛小説。人の在り方、国の暗部を変えてしまうほどの力を有しているならば、その作者は一体、何者だろうか?)
そんな事を考えながら、止まっている宿に戻ると――――
「お嬢様! 本当に紋章を!」と女子が走ってきた。
「やだなぁメイドちゃん。奴隷契約は結んだと同時に解約したんだから、こんなのすぐに消えるよ」
「お嬢様! 他人の魔力を体内に入れるのは大変、危険な事です。すぐにお風呂に行きましょう! 怪しげな仕掛けがないか、すぐに調べないといけません!」
「ちょっと、メイドちゃん! い、一緒にお風呂は! 待って!」
そう叫ぶ人物こそ、ノア・バッドリッチ。
彼女の本来の目的のため、自らを奴隷に堕とし……奴隷の契約をその場で解除した。
その理由とは――――
血と汗と……得体の知らない異臭を隠すため、きつめのお香が焚かれている。
そんな場所に身なりの良い少女が現れたので奴隷商は「またか」と呟いた。
「奴隷として買ってほしい。その後、自分で自分を買い直す」
客の女性は、懐から金貨が入った袋を取り出した。
その奇妙とも言える依頼であるが
「はいはい、すぐに準備しますね」と慣れた手つきで書類や契約魔法の用意を始めた奴隷商。
……最近、多いのだ。
自ら奴隷に立候補する女性が……
原因はわかっている。大ヒットした恋愛小説の影響だ。
身分の違う男女の物語、ヒロインは自ら奴隷になってまでも男と一緒に生きようとした大恋愛傑作。
そんな創作に憧れて奴隷になる。 それが本業たる奴隷商にしてみたら、
(冗談じゃない。こっちは危ない橋を渡って儲けているんだ。人に言えない商売のルートがバレただけで、こっちは……)
なんて事は、全然思っていない。
ブームのおかげで金回りが良い! なんせ、奴隷として買い取った金額に対して、世の娘たちは、すぐにそれ以上の金額を払って自分で自分を買い直すのだ。
その差額が良い儲けになるのだ。
ほしいのは奴隷と言う身分。 やりたいのはファッションとしての奴隷!
国の暗部と言われる奴隷市場が市民権を得てしまった事は、世界の奴隷事情を大きく破壊してしまう事になるのだが……それは、また別の話。
「それでは腕に紋章を入れますね。好きな柄を選んでくださいね」
「それじゃ……この龍で」
客は見た目に合わない厳ついドラゴンの紋章を指さした。
「へぇ、珍しいですね。普通は可愛らしいのを選びますよ」
「……奴隷の証に可愛い紋章を選ぶのですか?」
「ん~ 変ですよね」と奴隷商と客は2人して首を捻った。
いつの間には馴染んでいる。そんな不思議な魅力がある少女の客だった。
「それでは腕に奴隷の紋章を入れますね」
「へぇ~ 今は魔法で入れるんだ」
「そうですね。墨を入れても回復魔法で消せますから、こちらの方が便利なんですよね。いろいろと……はい、完成しました」
「はい、ありがとう。それで値段は?」
「貴方の値段は……そうですね。金貨2000といった所ですかね」
金貨100枚で普通の生活をすれば1か月暮らしていけるのを考えれば、かなりの金額だ。 もっとも、人間の人生を捧げる額と考えれば、高いと思う者もいれば、安いと思う者もいるだろう。
「じゃ売値はいくらですか?」
「金貨2100枚ですね」
「金貨100枚丸儲けですね」と少女は袋から差額分の100枚を手渡した。
「おかげ様で日の当たる商売をしている錯覚に陥ってしまって困ったもんですよ」
奴隷商は陽気に笑った。
おそらく奴隷商という商売上、非道を重ねていたに違いない。
きっと、そのままで人生を歩んでいたのならば、闇に飲まれていただろう。
それが、こんな笑顔を見せるようになるとは……
少なくとも今の奴隷商には悪人としての印象は抱かないだろう。
以前の彼を知っている者は、憑き物が落ちたかのように別人に変わってしまったと言うだろう。
もはや、彼は悪人ではなくなったのだ。
それを知ってか知らずか、少女は――――
(ちまたで噂の恋愛小説。人の在り方、国の暗部を変えてしまうほどの力を有しているならば、その作者は一体、何者だろうか?)
そんな事を考えながら、止まっている宿に戻ると――――
「お嬢様! 本当に紋章を!」と女子が走ってきた。
「やだなぁメイドちゃん。奴隷契約は結んだと同時に解約したんだから、こんなのすぐに消えるよ」
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