エロげーの悪役令嬢に転生した俺は凌辱END回避のために世界最強を目指す!

チョーカー

ヤマトの正体 世界異種格闘技2000戦無敗

 「肩は良いのか?」と書文。

 ヤマトの肩は柔道着から血が染み出している。

 「私は構いませんよ」とヤマトは笑みすら浮かべている。

 「……このまま始めるつもりか」

 「私は構いません」

 「すまぬが、今のワシは猛りを抑えきれぬ」

 「構いません」

 「このまま戦いを挑んでも構わないか? そういう意味で言っているのだが?」

 「私もそのつもりです」

 「なるほど、良い性格をしている」

 「そんな事、初めて言われました」

 「だろうよ」と書文は笑い――――足を地面に叩きつけた。

 震脚 

 大地が揺れる。 比喩ではなく、本当に足を踏み鳴らしただけで僅かに地震が起きた。

「凄い踏み込みですね。過去に闘牛を殴り倒したレスラーと戦った事がありますが……それ以上の打撃でしょうね」

「ほう、わかるか?」

「わかりますとも……」

「ふむ、しかし困った」

「何か困りましたか?」

「お前、隙だらけだな」

「だったら、殴ってみたらいいじゃないですか?」

「殴って終わったら、つまらないではないか」

「そうですね。それはつまらない……では!」とヤマトが構えを取った。

半身の構え。

重心を後ろへ、右足を軽く上げている。

ボクシングのような打撃系のように、拳を固めて胸の位置に持っていく。

ガードがやや低め? 

それに、何かひっかかる物を感じたのは、離れて戦いを見ているノアだった。

(あの構え……どこかで? けど、ヤマトなんて名前の格闘家は聞いたことがない)

本当に? 本当にそうだろうか? そう脳内で誰かが呼びかけてくる。

その瞬間、ハマらなかったパズルのピースが一気に組み上がっていくような感覚。

「ヤマト……思い出した。 ヤマトはリングネームだ!」

その人物の正体に気づいたノアは、声を張り上げ書文に告げる。

「先生、その相手の本当の名前は前田光世……コンデコマです!」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

前田光世 コンデコマ

時は明治、海外に行けば二度と帰国できぬ覚悟が必要とも言える時代。

回るに回って16か国。行われた他流試合の数は2000を越える。

ノーギルール(道着を着ないルールの事)、剣道対フェイシングなど特殊なルールでは負ける事もあったそうだが……

柔道着を来た試合では2000勝無敗である。

なにより、彼の名前を有名にしたのは、平成初期に行われた『何でもありバーリトゥード』の大会。

優勝したホイス・グレイシーが習得していたグレイシー柔術こそ、前田光世がグレイシー一族に指導した柔道が変化した物である。

だが、当然ながら、李書文は前田光世を知らない。

ヤマト――――光世は書文の膝を狙い蹴りを放った。

「むっ」と弾く書文。 しかし、光世の蹴りは意識を下へ散らすための物。

真の狙いは胴タックル。前へ――――だが、タックルは失敗する。

「それは、もう見せてもらっておる」

接近した光世に書文は肘を叩きこんでいた。

頂心肘《肘打ち》

李書文のそれは、受けた相手を吹き飛ばすほどの威力の肘打ち。

後ろへ下がった光世。そのダメージに膝が下がり、腰が曲がる。

そこへ追い打ち。

冲捶《突き》

まともに入れば死。 そんな馬鹿げた威力が乗った書文の突きだ。

それを光世は避ける。 体勢を低く、書文の拳が頭上を通過していく風圧を感じている。

今度は胴タックルではない。 低い――――低空タックルだ。

流石の書文も初見で防げる技ではない。

そのまま互いの体が絡み合い、両者が後方に倒れた。

戦いは寝技へ移行した。

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