エロげーの悪役令嬢に転生した俺は凌辱END回避のために世界最強を目指す!

チョーカー

ノアの先生はエルフの李書文!?

「計画通り」と自室に帰ったノアはニヤリと笑った。

 なぜ、彼女は、武道の話を両親に持ち出したのか?

 やはり、10年後に起きる凌辱ENDの回避率を上げるためだ。


 10年後のノアは、主人公とヒロインの才能に嫉妬。 天井知らずの矜持のため、彼らに対して犯罪とも言えるレベルで嫌がらせを行う。

 最終的に命をつけ狙い、返り討ち。 そこで、これまでの犯行の証拠を明らかにされる。

 その罪から、貴族令嬢の立場すら剥奪されて奴隷に堕とされるのだ。

 奴隷……詳しく言えば性奴隷だ。

 つまり、こうなる――――

 「らめぇなの!スライムだけはらめぇ! 溶かされちゃう! 衣服と一緒に私のプライドも溶かされて……いくっっっ! スライムさま、らい好きれす! 貴方の中で溺れされくださいいぃぃぃぃぃぃ!?」

 だが、ここで注目してほしいのは、ノアが性奴隷に堕とされる理由。

 それは、元貴族令嬢という珍しい立場。 性格のきつめそうな顔立ちを差し引いても目に留まる美貌。

 ならば、逆説的に考えてみよう!

 ノアが、性奴隷として売買されるよりも高い価値を持っていたらどうだろうか?

 例えば、10代美少女が武道武術を駆使して、大男をバッタバッタとなぎ倒せるとしたら?

 奴隷商も、そんな才能豊かな美少女を性奴隷として販売するだろうか?

 「――――否! するはずはない!」

 (そもそも、前世の俺は格闘技オタクとしての側面もあったみたいだし、異世界武道! 少し……いや、かなりワクワクしている!)

 「勝ったな!がっははは……」と笑いながら眠りにつくノアだった。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 そんなこんなで数日が経過した。

 小鳥たちのさえづりが聞こえてくる爽やかな朝。

「ついに、ついに……今日ですわ! 先生がいらっしゃる日は!」

そう言うとノアは飛び起きた。

それから到着予定の昼まで外を眺めてワクワクとしてると――――

「馬車が見えましたわ。先生を迎えに行きましょう!」

「待ってください! お嬢様!」とメイドを置き去りにして駆けていく。

そして――――

「お待ちしていましたわ」

止まった馬車の前で一礼するノアの姿は、貴族令嬢の優雅さを持っていた。

なんせ、この日のために挨拶の練習を重ねていたのだ。

「うむ……」と1人の女性が馬車から降りてきた。

(この人が俺の先生になる人って……)

 なめらかできめ細やかな肌は、まるで陶磁器を連想させる。

 透き通るような青い瞳。 すらりと長い四肢。

 腰まで伸びた美しい金髪を後ろにまとめて――――いやいや、そんな美しさですら些事に過ぎない。

 なぜなら彼女の耳は――――
 
 「エ、エルフ!?」とノアは声に出した驚いた。

 そう彼女の耳は長く尖っていたのだ。

 まさにファンタジーで登場する美しいエルフそのままの姿だった。

 しかし、ノアの驚きが耳に届いたららしく「むっ」と不快感を露わにした。

「し、失礼しました。事前に聞かされていませんでしたので」

「そうか……」と険しい顔を変えず、観察するようにノアを見る。

 たまらず「あ、あの? 何を?」と尋ねると
 
「ワシは子供を弟子に取った事はあるが、幼い少女が初めてじゃ。怪我どころか命を落とす事すらあり得る。覚悟はできているのか?」

「……」と口をパクパクと動かすノア。

「フン、迫力に押されて言葉を失ったか」

 そう言うと、 彼女は自己紹介を始めた。

「ワシの名前は李書文 お主に教える武術の名は八極拳じゃ」

・・・

・・・・・

・・・・・・・・・

雇い主である両親への挨拶もそこそこに書文は庭にノアを呼びつけた。

「八極拳は飛んだり跳ねたりする武術ではない。長い年月をかけて功夫を養い、一撃必殺の威力を身に着ける物だ」

 書文が最初に教えたのは站樁と言われる鍛錬法だった。

 両手を前に伸ばし、僅かに肘を曲げる。 そして、その場で大きく腰を下ろす。

 空気椅子に似た格好を長時間維持するツライ鍛錬であるが、ノアの脳裏には

 (李書文? 八極拳の達人じゃん! なんで? 本物? 女性……というよりもエルフになっているの???)

 と超混乱状態になっていた

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品