廃課金ゲーマーの異世界ライフ〜何処へ行っても課金は追ってくる〜
拠点地入手3
ついに土地を手に入れた。
周りを住宅に囲まれて酒場みたいな喧騒感は一切見られない。
いいね、マンション暮らしからの土地主。
俺も出世したもんだ。
『旦那、もしかして忘れているかもしれやせんがシルヴィア達を出しても宜しいっすか?』
「はっ………クロコ、大事な仲間を忘れる訳ないじゃないか。」
『目を逸らして言われたら説得力無いっすよ…。二人がずっと影の中からお経のように懺悔を洩らしているんで許して下さいやせんか?』
『むークロコがそう言うなら出していいよ。』
『ありがとうございやす。』
元々クロコが怒鳴られて怖い思いしたのに、仲間想いの優しい奴だ。
クロコの影からペッと吐き出されたリリー達。
ブベッと地面に呻いた後に、そのまま流れるように土下座に入る。
示し合わせたかの如く綺麗な流れ、やっぱり息の良さは姉妹のようだ。
「「申し訳ございませんでした!!」」
「また同じ展開になったら許さないからね、言い争いも程々に。」
「「はい!!」」
自分の理想キャラだけに本気で怒れない。
これで彼女達が落ち着くのを願うばかりだ。
現時点での仲間が全員集合したので、お家建築の為に新たな配下を解放する。
お金を支払い、魔法陣が展開される。
すると、これまでと同様にそこから配下が現れる。
名前はケンゾウ。
種族はクラフトドワーフ。
元々生産に秀でたドワーフの派生種族で生産系のみを更に特化させて通常種よりも何倍もの生産スピードと繊細さを誇る。
けれど、見た目は漫画やアニメを参考にキャラメイクした完全なるずんぐりむっくりなドワーフ。渋いおっさん面に口周りを覆う髭、腕の太さはかなりこだわりました。
お酒が似合いそうな見た目に反して甘い物好きというギャップも付けてみた。
ケンゾウは跪いたままで瞳だけを開ける。そして、その目は俺を捉える。
「主よ、解放頂き感謝する。老骨ながらこの身を主に尽くす所存じゃ。」
「うん、ケンゾウよろしく。解放していきなりで悪いけど早速お願いしたい。」
「ドンと来いじゃ。儂なら材料さえあれば何でも主の望む物を作ろうぞ。」
心強いけど見た目がお爺ちゃんだから無理させるのは申し訳無い。
本人の持つスキルなら家の一軒や二軒簡単だろうけどさ。
「この土地に家を建てる。建築材は解放からだと3千万zまで。足りない素材はクロコ達と一緒に潜った迷宮で手に入れたドラゴンで補いたい。出来る?」
「ふむ、ドラゴンの骨を骨組みに利用してそれから………。」
ケンゾウは頭の中で設計図を組み立てていく。
「主、鉱石はあるかのう?」
「迷宮にあった宝箱からいくつか見付かったけど家の材料には足りないかな。解放からだとミスリルなら1kg20万zだったな。アダマンタイトやオリハルコンはミスリルの5倍以上の値段だよ。」
「ふむふむ、ならミスリルを100kg程頼むわい。あと、ドラゴンはアイテムボックスそれともクロ坊の影の中かの?」
「ミスリル100ね。ドラゴンはクロコの影に入っているよ。」
「ふむ、ならクロ坊。儂をドラゴンがある影に入れてくれ。必要な素材を解体したいんじゃ。主よ、ミスリルは儂が影から戻って来てから出してくれるかのう。2、3日したら帰って来るわい。」
そう言って、のっそのっそとクロコに近付き影を出させる。
それじゃあ行ってくるって一言告げ、影に沈んでいく。
さて、ケンゾウが戻って来ないと家の建築は進められない。
今日はこのまま宿屋に戻ろう。
明後日はコロックさんにまたドラゴンを売りつけに行く。けれど、明日の用事は特に無く暇。
完全な休息日って事にして皆とのんびり過ごすとしよう。
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