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挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)

チョーカー

創造者の地図

 倒した階層主の中から現れた謎の人物……いや、そもそも人なのかもわからない。

 ただ、感じるのは凄まじい圧力。 

 これほどまで危うさを感じさせる存在に会うのは久々だ。 

 ……だからだろう? 俺は切り札である魔法を躊躇う事なく発動させた。


 『創造者の地図クリエイティブマップ


 地図製作系魔法の極みとも言える魔法。

 魔力によって地図が形成される。 それに触れた途端、地図は布素材のように変化する。

 まるで闘牛士が牛を挑発するための布。 ……ケープと呼ぶらしい。 


 効果は、地図に書かれている場所に瞬時に移動できる。

 要するに瞬間移動、テレポーテーション、空間跳躍、転送etc.etc

 しかし、強力すぎる魔法ゆえか、様々な制限がある。

 例えば、ここ階層主の部屋。 魔法の元になる魔素が強すぎる空間では通常通りの使用ができない。

 だが――――


「俺の魔法なら、お前だけは出入り口まで移動させる。……使用まで少し時間が必要だが」

 
アイルだけを逃がす事はできそうだ。 ならば、救援を呼んでもらえれば……そう考えた。

しかし――――


「なるほど。つまり後方の憂いはないってわけね」

「ん? 何を言ってるんだ?」

「万が一大怪我をしても帰れるって事でしょ? 安心して突撃できるわ」

「本気で何言ってんだ? お前ッ!」

「これが本当の背水の陣! アイル・D・スタンピング……吶喊とっかんします!」

「いや、背水の陣の使い方、なんかズレて……待て! 突っ込んでいくな!」



アイルは狂戦士バーサーカーだった。


敏捷SSSと風属性魔法。 その2つを利用した速度領域は、油断をしていると俺ですら見失いかねない。

ならば、正面に立っている敵はアイルの攻撃を認識すらできないかもしれない。

しかし、不幸にも今回の相手は違ったらしい。 向ってくるアイルに手をかざすと、何かを放った。

高速の鞭? いや、緑色のアレは……触手?

超高速移動中のアイルに対してカウンター。 アイルは、そのスピードが仇となり、無防備な胸元に直撃を受けた。 
  
衝撃を受けたアイルは俺の後方へ。 背後にそびえ立っているであろう不可視の壁に衝突して――――

2秒経過…… 3秒経過…… 4秒……

あまりの衝撃がアイルを壁に張り付け、重力にしたがって地面に倒れるまで数秒の時間が必要だった。

ダメージは? 意識は? 

駆け寄り、状態を確認しようとするも――――


「大丈夫よ」とアイルは立ち上がった。


見れば鋼鉄製の胸当てが砕け落ち、胸元に赤い染みが広がっていく。


「胸当てがなければ即死だったわ。けど……まだ、戦える」


呼吸が酷く乱れている。 口元から赤い雫が流れ落ちている。

内臓、呼吸器官にダメージが入っている。 それは見た目以上のダメージだろう。

その姿に、かつての出来事が思い出される。

俺が勇者であること、冒険者であることを辞めた出来事。

なんて事はない。よくある話だ。

数年間、一緒に生活をするように冒険していた仲間を失った。

――――いや、それはきっかけだ。 

俺はその時から――――

仲間の死を見た時から戦いが怖くなったのだ。


だから……
 
だから……

だから……


「だから、どうした!」


無意識に俺は大声を出し、剣を抜いた。

久々のダンジョンでも戦闘。 ブランクは長い。

おそらく、レベルは全盛期より2つ……いや、3は落ちているだろう。

そんなことは関係ない。

裂帛の気合。 それと同時に前に出る。

だが、そのタイミング。 高速で鞭が飛んでくる。 それも2つだ!

俺は先行する1本目と切り裂き、そして2本目――――


 『創造者の地図クリエイティブマップ

自然に腕に巻きついた魔法の地図。それを2本目の触手を――――


「おもいっきり、ぶん殴る!」


殴ると同時に強制的瞬間移動が発動。魔素が溢れてる場所でも短距離なら移動させれる。

移動するのは触手ではない。本体である緑髪の男だ。

飛ばす場所は天井付近。空中に出現したソイツは回避不能。


「その力を持って敵を穿て 真紅の稲光レッドサンダー


切り札レッドサンダーの5連発。

焼け焦げた肉のような悪臭と共に何かが地面に落ちた。

「やった……か?」

だが、それは死んでなどいない。 人間の形を保てなく、それでも生きている。

そして、まるで逆再生のように再生して――――

何事もなかったかのように立ち上がった。


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