話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)

チョーカー

アイルと階層主の戦い

 部屋の中心に出現した階層主。だが、それは――――

 「スライム?」

 アイルの呟き通り、現れたのスライムだった。

 「なによ。散々、驚かせて現れたのは今まで通りのスライムじゃない」

 そのまま無防備とも言えるほど油断しきっているアイルは、トコトコと歩いてスライムに近づく。

 そのまま5歩6歩と歩いた所で彼女は足を止めた。

 「ねぇ、あのスライムって遠近法が狂ってない?」

 変哲のない壁に囲まれた広い空間。 真ん中にいるスライム。

 だから階層主を通常のスライムのサイズだと錯覚していたのだ。

 そのサイズは小柄なアイルよりも大きい。

 
 「ちなみに、あのスライムの強さってどのくらいなの?」


 猪突猛進型バーサーカーの彼女にしては珍しく躊躇しているみたいだ。

 もしかしたら、自分よりも大きいスライムにビビッたのかもしれない。

 
 「別にビビッてないわよ。 ただ、階層主って言うくらいなんだから、強いんでしょ?」


 野生の感が階層主の強さを嗅ぎ取ったのか?

 「そうだな……」と俺は考えた。

 「階層主って言っても1層だから、平均的な冒険者より下……レベル3なら余裕で倒せるくらいだな」

 もちろん、1人じゃなく5人パーティという条件つきだが、その事について言い忘れた。

 いや、嘘だ。 アイルを煽るためにワザと言わなかった。


 「上等じゃない! 行くわよ!」


 俺の挑発に乗ってアイルは目はギラギラとした物に変わる。

 駆け出すアイル。それと同時に彼女から魔法の気配が感じられた。


 『不可視の足場エアウォーク


 彼女の風魔法。 

 その名の通り、見えない足場を作る魔法……その進化版。

 アイルが自身の魔法に乗ると、弾かれたかのように彼女の体は加速した。

 風魔法にある特性の1つ。 触れたものを弾く反発力。

 それを利用した急加速。 まるでロケットのように頭からスライムに突っ込んでいく。

 しかし、相手も階層主。 カウンターを狙ってるのか、アイルに向って飛びかかる。

 その姿は、クリオネの食事シーンのようにグロテスク。

 だが―――

 両者は交差することすらなかった。

 アイルが新しく作り出した足場を空中で蹴り、方向転換。

 階層主スライムは目標を失い、食事のような体当たりは空振り――――ではない。

 そこにあるのはアイルが生み出した不可視の足場エアウォークが残っている。

 階層主は、それに触れた瞬間に緑の液体を周囲にばら撒いた。


 「風魔法にある特性の2つ目……剣のように対象を切り裂く切れ味」と俺は誰に聞かせるわけでもなく呟いた。 


 アイルの魔法 『不可視の足場エアウォーク

 反発力のある不可視の足場を作り出す魔法。 そして、その魔法はアイル以外の物が触れたら、ズタズタに切り裂く攻撃魔法でもある。

 俺の指導によって改良された魔法だが……


「僅か3日で、ここまで完成させるとは……やはり天才か」

「ちょっと、褒めるのも良いけど、アイツ再生してるわよ。 どうやって倒せばいいの?」


階層主の動きが止まっている。 よく見れば、ばら撒かれた緑色の液体が逆再生のように体に戻っている。 

「そうだな。 強いスライムの倒し方の基本は魔法だな。 炎属性や水属性がおススメだぞ」

「両方とも属性持ってるけど、まだ実戦レベルなのは風属性だけなの知ってるでしょ?」

「じゃ、それ以外の魔法だ」

「それ以外って私の魔法って……なるほど」


その手に持つ剣にアイルの魔力が灯っていく。 
 
『武具強化』

武器の威力、切れ味、あるいは防具の強度を高めるアイルの魔法。

そして不可視の足場エアウォークの併用によって階層主との間合いを一瞬で詰める。

階層主は体の一部を変形。鞭のようにしならせてアイルに放った。

しかし、それは届かない。

アイルの一振りにより、鞭の如き攻撃は斬り払われた。

加えて本体へ横薙ぎの一撃。階層主の体が切り取られる。

先ほどと同じように階層主は動きを止め、切り取られた体を再生させようとする。

しかし、アイルによって斬られた部分は反発するように体に戻っていかない。

魔力の込めた武器での斬撃。

斬られた部分には魔力の残滓が残っており、異物のように体内に取り込めなくなっているのだ。


「アンタ、それなりに強かったわ。 でも、まぁ……こんなもんでしょ」


アイルは動きを止めている階層主に近づき、魔力を込めた剣を突き刺した。

それで終わり。 階層主は動きを止めた。


  

「挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く