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挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)

チョーカー

狂戦士 人間は保護されている!

 幕末の時代、都の京に名前を轟かせた新撰組。

 その一番隊隊長であり非業の天才剣士 沖田総司。

 彼の最後は病床、庭に忍び込んだ黒猫を斬り捨てようとして失敗する……

 しかし、一方である伝説の空手家曰く――――


 『人間は日本刀を持ってやっと猫と対等』


 こういう言葉を残した……とか、残してないとか……

 猫のように愛らしい生き物でも、その俊敏性は人間を遥かに凌駕する。

 果たして天才剣士、沖田総司が万全の体調だったとしても猫を斬り捨てられたかどうか……

 さて、何が言いたいのか? ……話を戻そう。

 ゴブリンは最弱のモンスターだ。

 しかし、その戦闘力を甘く見てはならない。

 猫の話しかるに、野生に生きた生物と人間の戦闘力は開きがある。

 その差を埋めるための武器の技術と魔法である。


 ・ ・ ・

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 「敵はゴブリン一匹だけだ。……やれるか?」

 「……」とアイルは無言だった。 その横顔から表情が見えない。


 元の世界。
 
 その現代に生きる我々、人間は保護されている。

 食事は加工された食品は、スーパーやコンビに購入。

 あるいは外食で済ます。

 慣れていない。 ……圧倒的不慣れ!

 我々は生物を殺す事に圧倒的不慣れだ!

 俺も、この世界に来る前は魚の三枚おろしですら不可能だった。

 むしろ、虫も殺せない超へタレ!

 超絶ハイスペックとも言えるステータスを持つアイルだって、生物を――――例えモンスターと言え、殺す事に躊躇をするはずだ。 しかし、それではダメだ。

 冒険者として本業はダンジョンなどの探索。

 その本業ではモンスターを殺す。 たとえ、珍しいモンスターであっても殺す。

 絶滅危惧? そんな概念はない。
 
 存在を許されたモンスターは、死体になったモンスターだけだ。

 だから、俺は心を鬼にしてアイルへモンスター殺しを指示したのだ。

 「……」と今も無言のアイル。

 やはり、無理か。 別の方法で慣れさすしかないのか。

 そう思っていた時だった。

 ゴブリンが増えた。 仲間だろうか? 2匹が加わり3匹のゴブリン。


 「もう無理だな。移動して、次の機会を――――」

 俺は言葉を止めた。 なぜなら、アイルの顔を見たからだ。


 (笑っている。それも、鬼のような笑みを浮かべて!)

 
  鳥肌が立った。 怯えている? この俺が?

  アイルの変化と自身の変化に俺は困惑する。

  そして「行くわ」と彼女は短く言うと、茂みから飛び出した。


  (まさか、待っていたのか? ゴブリン1匹じゃなく仲間がいると最初から見抜いて?) 
 

  その小さな少女の後ろ姿をみた俺。今度はハッキリとした恐怖を感じた。

  ゴブリンが自身の存在に気づくよりも早く剣を抜き、その喉元へ強烈な突きを見舞いした。

  まともに奇襲を受けたゴブリンの喉元に黒い液体がドロリと溢れ落ちた。

  レベルが1とは言え、力と俊敏が共にSSS規格外の突きだ。 

 絶命は免れない。 しかし、残った2匹のゴブリンは混乱したのは一瞬だけ、素早く石器のような武器を取り出し、アイルに向かい飛びかかっていく。

 一方のアイルの剣は、深くゴブリンの喉に突き刺さったまま、簡単に抜けない。

 絶命したはずのゴブリンが笑っているように見えるのは錯覚か?

 しかし、アイルは剣を抜かなかった――――否

 「このっ! 邪魔だ!」

 抜く動作すら煩わしいとゴブリンの死体を蹴り飛ばし、再び抜き身となった刀身。それは襲い掛かってくるゴブリンの胴へ叩き込む。

 鮮血が宙に舞い、雨を降らす中――――

「2匹目……お前が最後だ!」

 最後のゴブリンはアイルにむかって武器を投げつけると反転。

 駆け出した。 当然だ。あんなのに襲われたら俺だって怖い。 普通に逃げる。

 しかし――――

 「遅すぎる」

 瞬時に後ろから追いついたアイルはゴブリンの後頭部を掴み、地面に叩き付けた。

 「3匹目、これで終わりね。アンタの採点はどうかしら?」

 「どう……と言われても……」


 何、お前って狂戦士バーサーカーなの? それとも戦闘中毒者バトルジャンキー


 普段なら軽口を言ってるところだが、普通に怖いので、「合格! お前、天才だな!」と言ってみました。

 
「そう……じゃ、次はダンジョンに挑戦かしら?」


 誉められたアイルはご満悦の表情で言った。

 そんなほがらかに言われたら断れるわけもなく……

 明日はダンジョンに行く事になった。 
 

 

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