挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)
うへぇ 拳の痕が生々しい
「暫く、大病になる! 俺は!」
屋敷に帰宅するなりメイドにそう言った。
つまり仮病で貴族としての仕事を停止するという意味だ。
うちのメイドは察しもよく――――
「……え? ご主人さま、大変言い難い事柄ですが……元々、患っています。 ご主人さまは、ロリコンという大病を……」
「うるせぇよ! あとロリコンは病気じゃねぇよ!」
「ロリコンが病気じゃないなら、何ですか?」
「生き様……かな?」
もちろん、一連の流れはジョークだ。
しかし、まるで本気でドン引きしたかのような表情をメイドは見せ、今はひんやりとした冷たい視線が心地いい。
はぁ~ん、さてはコイツ……本気でロリコンだと思っているな。
「とりあえずは、地下室を解放して研究をする。誰も近づけるなよ」
数年後、自殺でもしそうな研究者が言いそうな事を言ってみた。
寡聞にして知らないが、これもある種の死亡フラグで使われる言葉なのかもしれない。
とりあえず地下室に向う。 暫く使われていなかった地下室は埃と異臭にまみれていた。
「ギルドの隠し部屋を笑えない酷さだった……掃除しなければ……」
  ゲンナリとしたテンションに鞭を打って掃除を開始した。
少しだけ、冒険者ギルドでみた瞬時に掃除が終わる魔法を羨ましく思えてきた。
・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
まともになった木製のテーブルに並べた資料。
パラパラと本をめくっては、何が書かれているのかの内容をメモを取る。
まずは、大量の資料を分析するための資料作り。
「ふぅ~」と一息つく。 こんな時にコーヒー飲みたくなってくる。
「まぁ、この世界にコーヒーなんて存在しなけどね」
「なんの独り言よ? それ?」
「!?」と俺は反応が遅れた。 声をかけたのはアイルだった。
「思ったよりも集中してたわね。私に気づかないなんて……本当に最強の冒険者なの?」
「フィクションの達人が言う気配がないとか、気配がないみたいな事を言うのは、あくまでフィクション内での出来事なのさ。 俺を倒したかった後ろから攻撃してみな」
「はん、よく言うわね。 初めてあった時、私が背中から切りかかったのを忘れたの?」
「そう言えば、そうだったな」とおどけて見せた。それから――――
「どうした? ここは立ち入り禁止だってメイドから聞かされてないのか?」
「そのメイドから頼まれたのよ。夕飯になっても出てこないアンタを連れ出してくれってね」
「もう、そんな時間なのか? しかし、ノックくらいしてくれたらよかったのに……」
「ノック? もちろん、したわよ? ノックのあとを見たいのかしら?」
ノックのあとってなんだよ? ツッコミを入れようと思ったが、しなくて正解だった。
アイルは内開きのドアを開き「来い来い」と手を招いた。
「ん?」と俺は立ち上がって首を伸ばした。 ここから見えたドアの裏側には。夥しい打撃痕が残っていた。
「うへぇ 拳の痕が生々しい」
「中々でないからイラついちゃってね。あっ、ちなみに弁償はしないから」
「まぁ、それはいいけど……」
地下室に通じるドアには大量に拳の痕が残っているって、ますますマッドサイエンティストぽい雰囲気でいいじゃないか。
「それで? 何かわかったの?」
「まだまだ……だね。でも、方向性は決まった」
「方向性?」
「明日からは修行の一環として、モンスター退治を集中に行っていくぞ」
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