話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)

チョーカー

 あのメイドが……

 「ご主人さま、ご主人さま、起きてくださいな」

 「ん~」と俺は目を覚ました。 

 普段なら、少しだけメイドに意地悪をしてセクハラトークに持っていくところだが、なんだか今日のメイドは様子がおかしい。

 声のトーンが怪談の女幽霊みたいだ。 「うらめしや」なんて言い出す前に起きることにした。


「なんだ? 何かあったのか?」

「えぇ、何かあったご様子なので、私もそれをどうやって聞きだそうかと思っている次第です」

「何を言ってる? どうしたんだ?」


するとメイドは「……」と指を指した。 その指の先を視線で追いかけてみると……

年端もいかない少女が薄着で寝ていた。 つまり、俺は少女と同衾していたことになる

「ゲゲッ! アイル!」

「へぇ~ アイルさんですか。 ずいぶんと可愛らしい女の子ですね。それで、どういうご関係でしょうか?」

「いや、昨日知り合った冒険者で…… その……」

「昨日知り合って、ベットインですか。さすがです! ご主人さま。鬼畜でらっしゃる」

「待て待て待て、これには海よりも深いわけがあってだな!」

「私には浅瀬にしか見えませんが、いいでしょう。わけを聞かせてもらいましょう」


「えっと……」と俺は困惑した。 どこまで話せばいい?

いきなり「この子は勇者、転生者だ。これからよろしく」なんて説明してもいいのか?

しまった、夜のうちにアイルと辻褄合わせをしておけばよかった。

覆水盆に返らず。 後悔先に立たず。

朝で頭が働かない状態もあって、何も思い浮かばない。

「えっと……」とか「あの……」としか、俺の口から出てこない!


「無いのですか? 海よりも深いわけとやら? 昨日、ナンパした少女と同じベッドで寝ただけということでよろしんですね?」

「えっと……弟子だ」

「はい?」

「突然、弟子入りを頼まれた」

「それで弟子にしたのですか? 普段は断るでしょ? そういうのは」

「いやいや、貴族さまに教えてるだろ?」

「あれは半分、お遊びと小遣い稼ぎじゃないですか」

「うぐっ……いや、あまりにも熱心だったから、つい俺も根負けしてな」

「根負けして、一緒に寝たと?」

「いや、一回そこから離れようか? 一回、クールダウンしようか?」


「わかりました」とメイドはため息混じりに言った。


「要するに、困っている女の子を助けようとして、そのまま屋敷にまで連れてきたということですね」

「だいたい、そんな感じだ。 ……後、彼女にやましい事はしていない」

「えぇ、もしも本当にご主人さまが、社会的に許されない行為を行ったとしたら、その時は……」


メイドは笑みを浮かべてから言葉を続けた。


「ご主人さまが法で裁かれ、不名誉を後世に残すよりも早く私が裁いて差し上げます」


「おぉう……」と返事を返した。 メイドの顔は、完全に本気だった。

「しかし、この子……アイルさんでしたか?」とメイドは少女の顔を覗き込んだ。


「こんだけ騒いでていても安眠しているのは大物なのか、それとも……」

「ただの馬鹿なんだろうな。今のところは……な」


・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 早朝、食事の前にアイルを屋敷の案内をすることになった。


「さすが貴族さまね。昨日は夜だったから庭がやばいくらいに広いって思ったけど、屋敷の部屋数がどんだけあるのよ?」

「使ってない部屋が多すぎて、大半は使用していないから数まで把握してないよ」

「へぇ~ あれ? でも、この屋敷を維持するのに使用人とか沢山いるんじゃないの?」

「いや? 屋敷の管理はメイド1人に任せているよ」


「はぁ!」とアイルは叫んだ。


「ありえないでしょ? この廊下を掃除するだけでも何時間かかるのよ! あのメイドさん、分身でもするの?」

「……まぁな。うちのメイドは優秀だからな」


アイルは「はぁ~」とため息をつかれた。


「別にアンタとメイドののろけ話は聞きたくないわよ」

「のろけ話ってつもりはないが……それに俺とアイツはあくまで職業的な主従関係だ」

「はぁ? 嘘でしょ? あのメイドさん、アンタにどんだけ好き好きビーム出してる思ってるの?」


「……好き好きビーム?」と思わず聞き返したが、アイルは話を続ける。


「あんだけ露骨にモーションかけてきてるのに、アンタは気づいてないくらい鈍感なわけじゃないでしょ?」

「……そりゃ、まぁ……」

「アンタたちって何年も同じ屋根の下で暮らしているはずでしょ? 何も無いわけないでしょ? ……いや、ちょっと待って? アンタ、もしかして本当に特殊性癖者なの?」

「特殊性癖者じゃねぇよ。誰が言ってた? そんな事?」

「いえ、アンタのメイドが――――ご主人さまはロリコンなど特殊な癖がありますのでご理解を―――って教えてくれたわよ?」


「あのメイドめが!」と俺は声を荒げた。


「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く