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挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)

チョーカー

襲撃者

 冒険者ギルドは24時間営業だ。

 緊急の依頼もあれば、ダンジョンで動けなくなった冒険者の救出が必要な場合もある。

 ようやく深夜に帰還した冒険者に報酬を支払ったり……

 様々な理由によって、ギルドでは深夜でも開かれている。

 俺がギルドを出たのも深夜とは言えなくとも、人通りが少なくなるような時間。

 かと言って、ちらほらと人の姿は見受けれる。


 「……そんな時間に襲ってくるつもりなのかよ」


 俺は誰に聞かせるわけでもなく呟いた。


 「あぁん? アンタ、何言ってるのよ?」


 路地の真ん中には子供が立っていた。 きっと、昼間の騒動で冒険者を襲撃した子供なのだろう。

ボロのマントを身に纏い、顔はフードで隠している。

身元は隠すつもりなのだろうが、襲ってくる気配は隠す気がないというわけだ。


「アンタに聞きたい事があるんだけど……」と子供。


子供らしからぬ、荒っぽくも投げやりな口調は気になるが……

それは置いといて、「なんだ?」と俺は聞き返した。


「あんた、キョウって人を知ってる?」


「……」と躊躇する。 俺を探しているわりに俺の顔を知らなかったのは予想外だったからだ。

そんな様子を襲撃者は、どう思ったのだろうか?


「えっとね。冒険者で貴族で勇者らしいのだけどさぁ」と説明まで始めた。


俺は「いいや。知らないな」と惚けて見せた。

「キョウ? 冒険者で貴族で勇者? そんなすげぇ奴が今更、冒険者ギルドに来るとは思えないけどな」

全力で惚けてみた。 

しかし、襲撃者が「……それもそうね」と妙に素直に納得してしまった。


「あんたの言うとおりだわ。ありがとう。それじゃ貴族がいそうな所を片っ端から襲ってみたら会えるかしら」

恐ろしく剣呑な事を言い始めて、そのまま立ち去ろうとし始めた。

冒険者相手に喧嘩を繰り返すだけならまだしも、貴族を襲うって、それテロ行為……

というか、捕まったら国家反逆罪で断頭台送りだから。


「いや、ごめん。俺がキョウだ。 早風教雅で間違いないよ」


勢いよく振り返った子供から凄い殺気が浴びせられた。

「あんたね」と声も怒りで震えている様子だ。


「ごめんごめん、それで何の用?」


「用? そうね……」と子供から怒りの震えが止まり冷静さを取り戻したように見えた。


 「とりあえず、アンタを一発ぶん殴るのが用件よ!」


 全く冷静ではありませんでした。 手には、暗闇でもキラリと光る白刃が見えてます。

 喧嘩どころか刃傷沙汰だ! 


「人を殴るのに刃物を出すなよ!」

「問答無用!」


子供は勢いよく飛び上がった。 3メートルくらいの大ジャンプだ。

俺も思わず「すげぇ」と口笛を吹くレベル。  

魔力による肉体強化。 あるいは魔術的遺物アーティフアクト場違いな工芸品オーパーツなどの特殊なアイテム。 もしくは獣人など生まれ持っての身体能力……

どういうトリックなのか? 心当たりがありすぎてわからない。

「しかし、上からの奇襲攻撃か。 なるほど、通常の冒険者なら初見で対処できないのも当然かもしれないな」

だが――――

俺は宙から襲い来る子供に手をかざす。


「その力を持って敵を穿て 真紅の稲光レッドサンダー


短詠唱による攻撃魔法。 俺の手から炎は放出される。


「一応、加減はしたぞ。怪我は自分で防げよ」

しかし――――

「手加減なんていらないわ!」

子供は空中で方向転換。 俺の魔法を避けた。


「――――ッ!? なに!?」 


不可視の何かを空中で蹴っている。 

俺の視線から逃げるような動き。 一瞬で背後に回りこられた。


「見えないッ! 空手の三角飛びかよ」


 俺は悪態をつきながら、剣を背負うように背後へ回した。

 
 周囲に甲高い金属音が響いた。


 「なんで死角からの攻撃を防げるのよ! あんた!」

 「なんでって言われても、戦いの経験値が違うんだよ。経験値が」

 「このおぉ!」と子供は蹴りを放ってきた。 

 狙いは股の間。つまり、男性最大の急所への蹴撃。

 俺は前方に飛んで避けると同時に反転。 空振りの足を掴む。


 「この――――放せ! 放しなさいよ。変態! 大声出すわよ」

 「盗人猛々しいってレベルじゃねぇぞ。 さっきまで殺す気マンマンだったじゃねぇか!」

 「ふん! この程度で殺される奴だったら用はないわ」

 「やっぱり、イカれるな。お前。それで俺になんの用件なんだ。 憲兵に突き出すまでの間、話だけは聞いてやるよ」

 子供は視線を外して、躊躇する仕草を見せるも、意を決したかのように――――

 「……アンタ、異世界から召喚されたって本当?」

 「それは……あぁ、本当だ」

 「そう。実は私もそうなんだよね。 私の場合は転生? ってバージョンなんだけどね」







 
 

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