後に闇の勇者は異世界で自由に生きる

神港 零

試験

「んじゃ、最初は誰からやるのだ?この森の広さなら数人はいっぺんに出来るぞ」
「私とこいつから……………」
「俺たちは最後でいい」
「なんであんたが決めるのよ!」
「じゃあ勝負は無かった事にして…………」
「分かったわよ!」

俺はこの子のことをなんだかんだ素直な子だし、悪い子ではないと思っている。
ただ、なんで俺をそんなに敵視してるか謎だ。

「じゃあ私がやります」
「私もやるよ」
「健にかっこいい所見せないと」
「お兄ちゃん、頑張るので見ててください」
「お前ら4人か………準備はいいか?」
「「「「はい」」」」

始めにやるメンバーはリーナ、カルナ、優香、未尋の4人だ。

「制限時間は30分。心置き無く戦って来い」
「………………開始」

4人が一斉に飛び出した。

ドーン、ドーン

始まってすぐに魔法の爆発音が鳴り響いた。

「アイツらどんどん魔物やら魔獣やらを蹴散らしている」
「そうですね。俺たちの分は残して欲しい所ですけど…………」
「ねぇ、ティナ。あの子たちやば過ぎない?」
「彼女らの実力なら普通だと思います」

マリナがリーナたちが起こしている爆発音に圧倒されている。
俺的にはあまり魔法を使わないで欲しいだけどね。相手はあの魔獣だ。使わざる負えないんだろう。
俺はそう信じてる。
30分経ってリーナたちが戻ってきた。

「4人ともこのプレートに触れろ」

4人があるプレートに触れた。
その時プレートから文字が浮かび出した。

「これはなんですか?」
「これは1時間以内で魔物を倒した数が表示される代物だ」

学園長は胸を張ってそう言う。
プレートの書かれた数を見ると、
リーナは魔物411体、魔獣10帯、合成魔獣3体
カルナは魔物211体、魔獣7体、合成魔獣4体
優香は魔物152体、魔獣3体、合成魔獣1体
未尋は魔物388体、魔獣5体、合成魔獣2体
と、言った感じだ。
学園長は引き気味になっているが気の所為だろう。
次は健、メア、薫の番だ。

「そういえば久遠。お前は受けないのか?」
「はいなのじゃ。我は主様のメイドだからな」
「そこのメイドは試験を受けてうちの生徒になっているけどな」
「あっ、どうも」

ティナさんが久遠の方を向いてお辞儀をした。
久遠は俺の方に試験を受けてみたいと言わんばかりに見てきた。

「好きにすれば?」
「受けるのじゃ」

久遠は嬉しそうに言い放った。
メア、久遠、健、薫は開始の合図を待った。

「………………開始」

メアたちは一瞬で森の中に姿を消した。
さっきのメンバーは魔法の爆発音がしていたが(主に未尋、リーナだろう)今回のメンバーは魔法の爆発音はしないがその代わり……………魔獣たちの悲鳴?みたいな物が聞こえた。
横を見るとマリナが少し震えていたことは言わないほうがいいだろう。

30分後

メアたちが戻ってきた。
果たして結果は…………………メアたちがプレートに触れた。
メアは魔物261体、魔獣34体、合成魔獣11体
健は魔物255体、魔獣24体、合成魔獣9体
薫は魔物126体、魔獣15体、合成魔獣5体
久遠は魔物351体、魔獣21体、合成魔獣7体
…………………………………1つ言っていい?
学園長とマリナ、それにティナさんが引いているよ?

「このプレート………………壊れてないよな?」
「学園長、これで驚かれたら困ります」

正直俺も驚いている。
確かに凄い結果を叩き出せると思っていたけど想像以上だった。
メア、久遠は分かるけどリーナ、健はまだ常識人だったと思う。(俺の価値観で)

「健、どうしたんだ。その………強くなってないか?」
「ああ、この前、聞いた神高山で薫、未尋、優香と一緒に修行したんだ。お前に近くために」
「リーナ、カルナは?」
「私たちはメアちゃんと久遠さんに特訓して貰いました」
「へえ〜」

そういえばたまにみんなで出かけて、傷だらけで帰ってきた時があったがそういう事だったのか。

「マリナ様はあれ程の魔物を数十分間で倒せます?」
「自信がない」

横を見ると弱音を吐いてる人がいた。
次はレミリアさんの番かな?
視線を向けると………………。

「あっ、私は付き添いなので…」
「そうなんですか?」
「一国のお姫様で戦闘経験が乏しい人をこの危ないところにほおり投げられないでしょ」
「あなた方と一緒にされては困ります。私は一般の試験を受けますので」

俺の意図が分かったのか、レミリアさんはそう告げた。
俺はマリナの方を向いて…………。

「もしかして戦意喪失しちゃった?」
「だ、誰が!」

マリナは怒鳴り声をあげた。
次は俺とマリナの試験しょうぶだ。
俺たちは準備をする。

「あんたに負けないから」
「そうですか。まぁ、俺は別に勝とうが負けようがどちらでもいいけど」
「あんたのそういう所は気にくはない!」
「本気を出さないとは言ってないでしょ」

本心はめんどくさいがやると決めたからにはやる。

「2人とも準備はいい?」
「「はいっ」」
「……………………開始」

俺とマリナの勝負が開始した。

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