後に闇の勇者は異世界で自由に生きる

神港 零

過去編 中学校 パート3

優香視点

うちは坂本神人が嫌いだ。
何故かと言うと母が努力しても報われなかったからだ。
母は漫画家になる事を夢を見ていた。
だが、天才の前では適うはずも無く漫画家の夢を捨てて私を養う為に働いている。
私も柔道をやっていた。
全国大会まで上り詰めたのにある凄い天才の前で私は破り去った。
彼女はこう言った。
「全然練習をして私に負けるなんて情けないと思わないの?」と見下した風にその天才児に言われたのだ。
そして私は柔道を辞めた。
悔しかったけど彼女には勝てないと思い込んで私は逃げた。
そしてあいつを見ると彼女の言った言葉を思い出して八つ当たりした。
天才は凡人を見下す。
その考えが変わる事をまだ私は知らなかった。

私はある女の子に話しかけた。
その女の子は坂本神人の幼馴染の花崎薫だ。

「花崎さんってなんで坂本くんと仲良いの?」
「それはどういう意味?」

花崎さんが私を睨んで聞き返して来た。
仲良い坂本くんを悪く言っている人がそんな事を聞いて来るんだから警戒するのは当たり前だ。

「いいよ。教えてあげる」

彼女は長々と話し始めた。
私は途中から呆れてしまった。
呆れた理由は話の半分が惚気だった事だ。
それでなんとなく坂本くんを好きなんだろうと思う。
なんでこんな可愛い子が…………。
そんな事考えていると花崎さんがこんな事を言った。

「柳澤さんは神人くんを勝手なイメージを付けてるだけど思うよ。だからちゃんと神人の人柄を見て」
「えっ」

彼女の言う通りかもしれない。
私は彼の事を何も知らない。
それなのに………。

「私は部活あるから。じゃあね」

花崎さんが教室を出ていった。
花崎さんにとって私はあまり関わりたくないし、
ほとんどの人は坂本くんを別の世界の人として扱っている中で花崎さんは坂本くんと向き合っている。
私はただ坂本くんに八つ当たりしてるだけだ。
そんな事を考えて教室を出ようとするとよく知っている幼馴染が待っていた。

「健…………」
「優香。浮かない顔だな」
「もしかして神人の事を考えている?」
「うん」

私は静かに頷く。

「優香。悩みが解決する所に連れて行ってやろう」
「えっ、えっ、えーー」

健が私の手を引いて歩き出した。
手を繋ぐのは嬉しいけど………。
健は私の気も知らないだろう。
私は顔を真っ赤にしたままどこに連れて行かれるのか考えていた。

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