後に闇の勇者は異世界で自由に生きる

神港 零

旅立ち

「リーナ、メア。俺は少し旅に出ようと思う」

俺の言葉に二人は驚いた目で見た。

「神人さん。それはどういう事でしょう?」

リーナが聞いてきた。

「俺は少しこの世界を見て回りたい」
「それだとお父様を守る件はどうなりますか?」

確かにタブスを守るって言っちゃたもんな。

「それは対策済みだ」
「それなら良かったです」

リーナは安心したように言う。

「神人。メアも一緒に行っていい?」
「もちろん」
「リーナは一緒に行く?」
「私はお父様に聞かないと分かりません。一応ここの王女ですから」
「そっか」

リーナが悲しそうに言った。

「その前に着替えよう。裸のままだし」
「そ、そうですね」
「そうだった」

俺達は服を着て部屋を出てタブスがいる所に向かった。

「タブス、話したい事が……………」
「神人ーー」

タブスは俺の手を握って来た。

「な、何?」
「神人。リーナを娶ってくれてありがとう」
「まだ娶っていません。なんでお父様が知っているんてすか?」
「それはあんだけ大声を出したら気づくだろう」
「それもそうか」

俺は少し恥ずかしくて頬をかいて、リーナは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして、メアはそれを眺めている。

「タブス的にリーナと付き合って良かったの?」
「別に神人ならいい」
「俺じゃなきゃ…………」
「ぶん殴る」

なんか怖い言葉が出た。まぁ、それだけ俺を信頼してるんでしょな。
あっと本題に入らなければ

「タブス。俺、旅に出ていい?」
「別にいいぞ」
「えっ、いいの?」
「なんで駄目って言われると思った」
「俺はタブスを守るって…………」
「大丈夫。神人なら絶対守ってくれると信じているから」

なんか信頼があつい。

「そうですか。タブス、これあげる」

俺はタブスにネックレスみたいなのを渡した。

「これはなんだ?」
「そのネックレスには念話出来るようになっているから。危なくなったら呼んで」
「そうか。また凄い物作ったな」

少し呆れ混じりに言った。

「ねぇ、神人。神人、メアも欲しいネックレス」
「私も欲しいです」
「分かった。後で作るよ」
「「やった」」

二人は笑顔で喜んでいる。まぁ、喜んで貰えて何よりだ。
その後リーナが顔を引き締めて

「あのお父様」
「神人と一緒に行きたいって言うだろ。いいぞ行って来い。神人の側に居てやれ」

リーナは一瞬ビックリした表情をしたけどすぐに笑顔で

「はい」

と、返事した。


……………一時間後

「リーナ。準備出来たか?」
「はい」
「じゃあ、出発するぞ。またな、タブス」
「さよなら。お父様」
「色々とありがとう。タブスさん」
「ああ、元気でな」

と、言って魔王城を出た。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品