電気使いは今日もノリで生きる

歩海

電気使いは今日を戦いで生きる

???


「さて、まずは数を減らそうか」


一人一人は驚異ではないんだけど僕の『世界』の性質上全員のこれからの動きが全部頭に入り込んでくる。さすがに量が多すぎてパンクしそうだから数を減らせればなんとかなると思うんだよね


「『thundervolt』」


これでかなりの人数を削ることができるだろう。電撃が降り注ぎ、義勇軍に襲いかかる


「『吸電』」
「!」


僕が放った電撃が全て吸収されてしまった。こんな魔法はみたことない…いや、違う。あいつか


「角先…」
「久しぶりだね…紅、こんな形で出会いたくなかったけどね」


群衆の中から現れたのは角先だった…『麒麟』の森から出て学園に来てからほとんど会わなかったから…本当に久しぶりだな。


「悪いけど、話をしている時間はないんだ」


でも、角先がいるのはちょっとまずいんだよな。あいつ電撃が効かないスキルを持っているからな。僕とは相性が悪すぎる。


「『針金needle』」
「ぐあああ」


だから砂鉄で貫く。もちろん殺すことはしない。さすがの僕だってクラスメートを殺すようなことはしたくないからね


「角先くん!『回復ヒール』」
「!、四万十さんもいるのか」


しかしすぐに四万十さんが駆けつけて角先を回復した。まあ、あれだけの回復魔法の使い手ならそりゃこうして選ばれてもおかしくはないな


「紅くん!どうして角先くんを…」
「決まってる…僕の前に立ちはだかるからだ」
「そんな…」


悲しそうな顔をする。でも…僕はもうこうして立ち続けなければいけない。みんなの前に立って、人類の…的として立ちはだかる必要がある。でも…


「四万十さんまで来ているのか…」


何人かクラスメートが来ているとは思っていたけれどもまさか四万十さんも選ばれているとは思わなかった。いったい何人いるんだ?全員来ているとは思わないけど…


『テンイ、あいつ誰が来てるか知りたがってるわよ』
「え?」
「おい、シルフリード、勝手に僕の思考を読むな」
「ああ、そっか。ここにいるのは俺、角先、四万十、一ノ瀬、楠の5人だ」
「なんで角先のやつがいるんだ」


他の4人はまだわかるけど角先はなんでだ?僕がいるとわかっているのなら天敵であるあいつがいるのは納得できるんだけどここにいるのはクレアだと思っているはずだ。角先がいる理由がない


「…俺たちが誘ったんだ。クレアがいるってことはお前もいる可能性が高いからな」
「一ノ瀬…」


それはいらぬお世話だね。角先に気を使ったっていうわけなんだろうけど正直いらない。何を話すというんだ。仮に話をしたとしても僕の決意が変わることなんて全くない。


「先輩たちも、攻撃してきてもいいですよ」
「…話をする気は、ないんですね」
「すみませんサリア先輩…ですが、もう、決めたことです『電気鎧armor第三形態third』」
「…ごめんなさい」
「何を迷っているのですかサリア様!あいつは…魔王の協力者なんですよ!」
「そうですよ。さっさと殺しましょう」


ほら、外野はさっさと殺したがっているじゃないですか。だから遠慮なんてしなくてもいいんですよ…さて、まずは角先をなんとかしなければいけないわけだけど…


「『放電thunder』」
「『吸電』…紅!お前の魔法は全部俺が防ぐことができる…だから負けを認めて」
「そうですよ!…紅くん、そんな怪我をして…」
「気にしないでいいよ!」


横からたくさんの魔法が飛んでくる。それをかわしていく。そうだ、でも厄介だからほんと数を減らしたいんだよな。


「『針金needle』」
「うぐっ、もう一度」
「同じ手は二度もくらいません『氷結』!」
「『阿修羅』」
「!」


氷柱とそれから剣が僕に襲いかかる。角先に注目していたから反応が遅れてしまった。体のあちこちに切り傷を作ってしまった。


「これで…倒れてください」
「無駄ですよ…」


両手を合わせて電気を循環させる。そして…今、この辺りには砂鉄が充満している。


「大丈夫です!すぐに治療を」
「そんな時間はないよ『引火terrorism』」


そのまま自分に溜まった電気を全て地面に押し付ける。僕の電気は全て『世界』を通じて辺り一面に広がっていく。


「何をしようと…まさか」


次の瞬間、そこらへんに撒き散らされていた砂鉄が一斉に爆発した。爆発が爆発を呼んでどんどん規模が大きくなっていく。


「そして…ついでだ『麻痺paralysis』」
「ぎゃあああああああ」


これによって僕の『世界』が消えてしまった。でもこれで…かなりの人数を戦闘不能に追い込んだはずだ。かなり分散してしまったから人が死ぬだけの電気を流すことはできなかった。でもそれが逆に功を奏した。うまい具合に気絶する程度の電気を流すことができた。


「これで立っているのは…」


サリア先輩、セリア先輩、グレン先輩、スバル先輩、楠、一ノ瀬、天衣、四万十さんの全部で8人。あれ?てっきりハルさんとか来てると思ったんだけど


『まあ、他にも機動部隊もいるからね、ここにいるのはあくまで一部よ』
「そうかい」
「スバル、グレン、それから、セイナ、あなたたちは怪我人の介護と避難を…さすがに数が多すぎます」
「うん、りょうかいー」
「ミライの野郎…こんなに大規模な魔法を使いやがって…それももう3回も」
「角先くん…すぐに治します」
「ミライ…『氷結』」
「!」


氷が僕の方に飛んでくる。…でも、さっきから思う。


「本気で戦ってきてください…じゃなきゃ…」


それ以上の言葉はやめておいた。自分でも言いたくなかったから。先輩たちに罪をなすりつけるつもりはないけれど、これ以上先輩たちが手加減をしてしまったらきっと、無差別に、ここの人たちを殺してしまう


「『精霊召喚・フェンリル』」
「『阿修羅』」
「先輩!」
「ミライ…私は決めました…リル」
『ああ、きちんと話そう』
「そっか、お前は知っているんだな」


そして…天衣たちの方を向く。お前らは?お前らは…覚悟はできたのか?


『いけるわよね?テンイ』
「…ああ」


辛そうな顔をして天衣はうなづく。なんだよお前まだ覚悟できていないのか。そんなんだから…


「僕に負けるんだよ『放電thunder』」
「危ない!」
「セリア先輩」
「さすがですね」
「『精霊の槍』」


電撃を先ほど出現させた刀で防がれる。そして僕がセリア先輩に注目していた隙にサリア先輩が僕を攻撃する。やっぱり本気できましたね。でも、その攻撃はまだ防げれる


「…!」


腕を動かそうとした瞬間、肩に激痛が走る。そして動かすことができなかったためにサリア先輩の槍と体に受けてしまった。


「紅…今、肩」
「僕のことを気にすると死ぬよ『創造creat』」


砂鉄の剣を生み出す。くそっ、さっきのクレアとの戦いで負傷したところが痛む。身体中から血が流れ出ている。


『サリア、急げよ』
「わかっています。他の援軍が来る前に…ミライの知り合いしかいない今のうちにミライを倒します」
『違う』
「え?」
『もう…永くない』

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