電気使いは今日もノリで生きる
「土」の精霊
神無月一週目水曜日
「えっと…」
『二人きてるわね、一人が黒髪でパッとしなくてもう一人が金髪のイケメン』
「だれがパッとしないだ」
「おお…これは、よくお越しくださいました。私がこの村の長であるシバともうします…先ほどの無礼な振る舞いをお許しください」
「は、はぁ…」
老婆にここまで謝られてしまったら僕らとしても毒気が抜かれたというか強く出られないというか。うん、亀の甲より年の功と言ったところだろうか。さすがの貫禄か。それからガイアさん?僕のことをパッとしないとかやめてもらえません?
『あれ?私の声聞こえてる?てか姿見えてるの?』
「え?」
「ミライ、お前見えてるのか?」
逆に聞きたいけどクレア見えていないのか?なんで僕だけみえるんだよ
『あ、そっか、ミライ「世界」を使えるから精霊が見えるようになったんだ』
『この子が…?あんまり出来そうな顔をしているけど』
「人を見かけで判断しないでくれよ」
「えっと…イフリート、ガイアは何を言っているんだ?僕だけ聞こえていないんだけど」
『はぁ、シバ私を召喚』
『しなくてもいいわ。クレア、私と感覚を少しだけ共有するわよ』
「え?…あ、見える!」
契約者ってそんなこともできるようになるのか。便利だな。
『繋いでいる間ずっと魔力を消費しているからね。一長一短よ』
「ま、これで会話ができるようになったな」
『そうね…シバ、続きをお願い』
「はいよ…それで、みなさんを追い出そうとしたことはお許しください。我々も今、ピリピリしているので
す」
『なにかあったの?』
『うん、近くの森に魔獣が住み込んでね…あれが魔物を引き寄せるからこの村はちょっとした臨戦状態なの』
「でもそれとあの戦闘と何が関係あるんだ?」
「ああ、魔獣を嗾けた魔族だと思われたのか」
『ええ、それに最近このあたりをうろつく不審な輩が多く目撃されているの』
『…私たちと目的はきっと同じね』
つまり色々な国の人がいると。ここがシェミン先輩の故郷であることはもう知れ渡っているわけか。だから来るかもしれないとここを見張っている
『あなたたちの目的は?』
『「姫」を探しているの』
『…ついにバレたのね』
「ガイアよ…バレたというのは」
『シェミンのことよ』
「おぉ…」
それを聞いた瞬間、その老婆は涙を流して泣き始めた。この反応を見るに…シェミン先輩の正体を知っているということなのだろうか
『…あなたたちはなぜ「姫」を探しているの?』
「先輩を助けたいからです」
『先輩?』
僕は自分の学校生活のことをガイアに話した。ところどころクレアやイフリートが言葉を添えてくれたおかげで大分簡潔に、かつわかりやすく伝えることができたと思う
『そう、よかったわね、シバ。少なくともこの子たちは「姫」を殺そうとしていないわ』
「…そうかい、あの子の味方になってくれるんだね」
「「あの子?」」
「あの子」と言った時、かなり優しい声色になっていた。
『シバは「姫」の友人なのよ…もう何十年来の』
「…」
『まあ吸血鬼だもの』
「血を吸ったら成長しないとか?」
『まあ…そんなものだと思ってくれていいわ』
「そっか。それで私を訪ねに来たのかい…シェミンの友たちよ…だが残念ながら彼女はここに戻ってきていないわ…私に迷惑がかかると思っているのでしょうね」
「そうですか…」
シェミン先輩がいないのは残念ではあるけれどもこれはこれでかなり有益な情報が集まったと言っても過言ではないのだろうか。ん?そういえばここの人達ってシェミン先輩のこと知っているのか?
「知らないと思うねぇ。みんな吸血鬼に敵意を抱いている…私だって最初に出会ったのがあの子じゃなかったら同じように思っていたかもしれない」
「「…」」
シバさんの言葉は僕の心に響いた。環境、出会う人、それはとても大事なのだろう。僕だって…シェミン先輩じゃなくて、いやシェミン先輩でもいい。最初に出会った吸血鬼が凶暴だったら…どんな風に思っただろうか。きっと…うん、別にもしものことは考えなくてもいいか
「申し訳ないねぇ…だがシェミンの友人というのなら私は歓迎しよう」
『その様子だとずっと旅をしていたんでしょう?今日はここに泊まって休んだら?』
「そっか、あの子が学園を去ったとは聞いていたけど…それからすぐに追いかけてきたんだね」
「そうです…ね」
僕はさっきからシバさんと話していて少し、引っ掛かりを覚えている。いや人間性を疑っているとかそういうことじゃなくて…なんか違和感を感じるんだよね。シバさんずっと目を閉じているし。同じことを考えていたのは僕だけじゃなく、クレアやイフリートもだった
『ねえ、ガイア…まさかとは思うけど』
『ええそうよ。シバは目が見えないの…もう年ね』
「そうなんですか…」
『だから私がサポートをしてあげているの…それに、この村に結界を貼ることもね』
「「結界?」」
ここに来る時に何も違和感を感じていなかったけど、いつのまにか侵入していたのか?
『夜だけ発動するのよ…昼間なら何かしら異変に気が付きやすい。でも夜は視界が悪いからそうもいかないでしょう?』
「まあ…言われてみれば理にかなっているか」
そっか。そんなことが起きていたのか。さて、それで…
「クレア、イフリート、お前らはどうしたい?」
「え?うーん、まあご好意は本当にありがたいんだけど…」
『お世話になりっぱなしはね〜』
どちらも僕と同じようなことを思った。うん、そうだよね。さすがに…信用はもちろんできるけどここまでお世話になるわけにはいかないよね。それにまだ今日は終わっていない。今から出れば…まだ捜索の時間はしっかりととれる。1日でも早く見つけたいし…あんまり同じところに滞在してばかりでもいけない。そういうことをシバさんとガイアに説明する
『そう…それは残念ね』
『ごめんね、ガイア』
『私は別に構わないわ…いや、ちょっと待って』
「ん?」
『シバ、1日なら結界を発動させなくてもいいかしら?』
急にガイアがそんなことを言い出した…そういえばすっかり気にしていなかったけどガイアに対してタメ口でも良かったのだろうか
『もうあんたは「世界」を使えるし問題ないわ』
「そういうものなのかよ」
てか『世界』ってなんなんだよ。この魔法がそんなにすごいものなのか?使えれば精霊と対等になれる『隊等な口をきけるだけよ…それとも立場をしっかりと教えてあげましょうか?』
いえ、遠慮します。なめた態度を取ろうとしてすみませんでしたってかガイアがこちらにかなり呆れた視線を送ってきているしやめよう。これ以上無様な姿を見せるのは
『そっちの話は終わった?で、こっちの話なんだけど』
『うん、どうしたの?』
『私、1日だけなら「姫」の居場所を探ってあげてもいいわ…「土」の精霊だし、シバの協力があればいけると思う』
「本当ですか!」
それはありがたい話だ。いや泊まるのを断っておいて何様だって話だけどそれとこれとはさすがに話が別だと言ってもいいでしょう。
『で、ここからが相談なんだけど、私たちが協力する代わりに…ミライとクレア?二人にこの近くに生息した魔獣を討伐してきてもらいたいんだけど』
「…ん?」
あーはいはい、なるほど交換条件というわけですか…まあ、それなら…別にいいのかな?
「えっと…」
『二人きてるわね、一人が黒髪でパッとしなくてもう一人が金髪のイケメン』
「だれがパッとしないだ」
「おお…これは、よくお越しくださいました。私がこの村の長であるシバともうします…先ほどの無礼な振る舞いをお許しください」
「は、はぁ…」
老婆にここまで謝られてしまったら僕らとしても毒気が抜かれたというか強く出られないというか。うん、亀の甲より年の功と言ったところだろうか。さすがの貫禄か。それからガイアさん?僕のことをパッとしないとかやめてもらえません?
『あれ?私の声聞こえてる?てか姿見えてるの?』
「え?」
「ミライ、お前見えてるのか?」
逆に聞きたいけどクレア見えていないのか?なんで僕だけみえるんだよ
『あ、そっか、ミライ「世界」を使えるから精霊が見えるようになったんだ』
『この子が…?あんまり出来そうな顔をしているけど』
「人を見かけで判断しないでくれよ」
「えっと…イフリート、ガイアは何を言っているんだ?僕だけ聞こえていないんだけど」
『はぁ、シバ私を召喚』
『しなくてもいいわ。クレア、私と感覚を少しだけ共有するわよ』
「え?…あ、見える!」
契約者ってそんなこともできるようになるのか。便利だな。
『繋いでいる間ずっと魔力を消費しているからね。一長一短よ』
「ま、これで会話ができるようになったな」
『そうね…シバ、続きをお願い』
「はいよ…それで、みなさんを追い出そうとしたことはお許しください。我々も今、ピリピリしているので
す」
『なにかあったの?』
『うん、近くの森に魔獣が住み込んでね…あれが魔物を引き寄せるからこの村はちょっとした臨戦状態なの』
「でもそれとあの戦闘と何が関係あるんだ?」
「ああ、魔獣を嗾けた魔族だと思われたのか」
『ええ、それに最近このあたりをうろつく不審な輩が多く目撃されているの』
『…私たちと目的はきっと同じね』
つまり色々な国の人がいると。ここがシェミン先輩の故郷であることはもう知れ渡っているわけか。だから来るかもしれないとここを見張っている
『あなたたちの目的は?』
『「姫」を探しているの』
『…ついにバレたのね』
「ガイアよ…バレたというのは」
『シェミンのことよ』
「おぉ…」
それを聞いた瞬間、その老婆は涙を流して泣き始めた。この反応を見るに…シェミン先輩の正体を知っているということなのだろうか
『…あなたたちはなぜ「姫」を探しているの?』
「先輩を助けたいからです」
『先輩?』
僕は自分の学校生活のことをガイアに話した。ところどころクレアやイフリートが言葉を添えてくれたおかげで大分簡潔に、かつわかりやすく伝えることができたと思う
『そう、よかったわね、シバ。少なくともこの子たちは「姫」を殺そうとしていないわ』
「…そうかい、あの子の味方になってくれるんだね」
「「あの子?」」
「あの子」と言った時、かなり優しい声色になっていた。
『シバは「姫」の友人なのよ…もう何十年来の』
「…」
『まあ吸血鬼だもの』
「血を吸ったら成長しないとか?」
『まあ…そんなものだと思ってくれていいわ』
「そっか。それで私を訪ねに来たのかい…シェミンの友たちよ…だが残念ながら彼女はここに戻ってきていないわ…私に迷惑がかかると思っているのでしょうね」
「そうですか…」
シェミン先輩がいないのは残念ではあるけれどもこれはこれでかなり有益な情報が集まったと言っても過言ではないのだろうか。ん?そういえばここの人達ってシェミン先輩のこと知っているのか?
「知らないと思うねぇ。みんな吸血鬼に敵意を抱いている…私だって最初に出会ったのがあの子じゃなかったら同じように思っていたかもしれない」
「「…」」
シバさんの言葉は僕の心に響いた。環境、出会う人、それはとても大事なのだろう。僕だって…シェミン先輩じゃなくて、いやシェミン先輩でもいい。最初に出会った吸血鬼が凶暴だったら…どんな風に思っただろうか。きっと…うん、別にもしものことは考えなくてもいいか
「申し訳ないねぇ…だがシェミンの友人というのなら私は歓迎しよう」
『その様子だとずっと旅をしていたんでしょう?今日はここに泊まって休んだら?』
「そっか、あの子が学園を去ったとは聞いていたけど…それからすぐに追いかけてきたんだね」
「そうです…ね」
僕はさっきからシバさんと話していて少し、引っ掛かりを覚えている。いや人間性を疑っているとかそういうことじゃなくて…なんか違和感を感じるんだよね。シバさんずっと目を閉じているし。同じことを考えていたのは僕だけじゃなく、クレアやイフリートもだった
『ねえ、ガイア…まさかとは思うけど』
『ええそうよ。シバは目が見えないの…もう年ね』
「そうなんですか…」
『だから私がサポートをしてあげているの…それに、この村に結界を貼ることもね』
「「結界?」」
ここに来る時に何も違和感を感じていなかったけど、いつのまにか侵入していたのか?
『夜だけ発動するのよ…昼間なら何かしら異変に気が付きやすい。でも夜は視界が悪いからそうもいかないでしょう?』
「まあ…言われてみれば理にかなっているか」
そっか。そんなことが起きていたのか。さて、それで…
「クレア、イフリート、お前らはどうしたい?」
「え?うーん、まあご好意は本当にありがたいんだけど…」
『お世話になりっぱなしはね〜』
どちらも僕と同じようなことを思った。うん、そうだよね。さすがに…信用はもちろんできるけどここまでお世話になるわけにはいかないよね。それにまだ今日は終わっていない。今から出れば…まだ捜索の時間はしっかりととれる。1日でも早く見つけたいし…あんまり同じところに滞在してばかりでもいけない。そういうことをシバさんとガイアに説明する
『そう…それは残念ね』
『ごめんね、ガイア』
『私は別に構わないわ…いや、ちょっと待って』
「ん?」
『シバ、1日なら結界を発動させなくてもいいかしら?』
急にガイアがそんなことを言い出した…そういえばすっかり気にしていなかったけどガイアに対してタメ口でも良かったのだろうか
『もうあんたは「世界」を使えるし問題ないわ』
「そういうものなのかよ」
てか『世界』ってなんなんだよ。この魔法がそんなにすごいものなのか?使えれば精霊と対等になれる『隊等な口をきけるだけよ…それとも立場をしっかりと教えてあげましょうか?』
いえ、遠慮します。なめた態度を取ろうとしてすみませんでしたってかガイアがこちらにかなり呆れた視線を送ってきているしやめよう。これ以上無様な姿を見せるのは
『そっちの話は終わった?で、こっちの話なんだけど』
『うん、どうしたの?』
『私、1日だけなら「姫」の居場所を探ってあげてもいいわ…「土」の精霊だし、シバの協力があればいけると思う』
「本当ですか!」
それはありがたい話だ。いや泊まるのを断っておいて何様だって話だけどそれとこれとはさすがに話が別だと言ってもいいでしょう。
『で、ここからが相談なんだけど、私たちが協力する代わりに…ミライとクレア?二人にこの近くに生息した魔獣を討伐してきてもらいたいんだけど』
「…ん?」
あーはいはい、なるほど交換条件というわけですか…まあ、それなら…別にいいのかな?
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