電気使いは今日もノリで生きる
肉体の限界点
葉月二週目風曜日
「ミライ!」
クレアの警告の意味はわかっている。『電気鎧・第三形態』と『電気鎧・第五形態』の合わせ技。体への負担がかなりヤバイことぐらいはわかる。人間が普段から自分が傷つかないようにかけているセーブを取っ払う『第三形態』だけでなく人間では出すことのできない力を引き出させる『第五形態』を同時に使うわけだから
『そういうんじゃないわ。あんたまだ使い慣れていない魔法を無理やり発動してるでしょ』
確かにまだ使い慣れていないからどんな風に使えばいいのかわからないことも多い。でも、それじゃあだめなんでしょ?いま、こいつを打ち破るためには新しい何かが必要だ。そのためには新しいことにどんどん挑戦していかなくてはならない。たとえ自分がどれだけ傷つくことになろうとも
「それじゃあ、いくよ」
「『ふふっ、私を楽しませてね』」
僕はあいつに向かって走りだす『領域』内を走る限り僕の速度はどんどん早くなっていく…あ、そうだ。一回やってみたかったことをやってみよう
「『あら、私の周りをぐるぐる回るなんて…』」
よくアニメとかでかなりスピードが速い人がやっている人の周りをぐるぐるするやつ。かなり速い速度で走り回ることによってアニメではよく白い渦みたいな感じで表現することが多いあれ。それを自分でもやってみたくてさ。普通なら足とかに限界を感じてしまうのだろうけどいまの僕ならその感覚はない。文字通り、足がちぎれるまで僕は走ることができる。
「『よく目が回らないわね』」
「…援護するよ『火の玉』」
「『ふうん、それで私の注意を逸らす気ね。でも残念「蜂群」』」
あいつの周囲に黒い塊が大量に生み出される。そして同時にあたりにかなり大きな羽音が響き始めた。このうるさくてちょっと気持ちが悪い音は…よくテレビとかで蜂特集をしている時とかに聞く音だ。魔法の名前のように蜂を召喚したのだろうか
「『これこそ飛んで火に入る夏の虫、よね…実際は逆だけど』」
「それは…わかんないだろ」
そして蜂たちはクレアが産み出した火の玉とぶつかって死んでいく。でも、油断してるな?
「ここだ!」
「『あら、残念』」
「くっ」
まじかよ。いまあいつはクレアに集中していたはずなのに。どうして…おまけに僕は今あいつの視界から外れたところを狙ったはずなんだけど。死角となる真後ろから狙ったはずなのに…もしかして読まれていたのか?確かに後ろからの攻撃はありきたりすぎるか
「それならっ」
今度は横から…と見せかけてもう一度後ろから狙う。後ろから失敗したとなれば次は横からと考えるのが普通だ。だからそこの逆をついて後ろから攻撃する。でも油断してはいけない。さっきよりもっと溜めて速度を上げて攻撃に移ろう。
攻撃の瞬間うまい具合に電流の向きを切り替えることができなかったみたいで僕の速度は一時的に低下してしまった。やっぱり円運動とかをしている時の方が速度を上げやすい。なんとかトロンっていうのは確かに理にかなっているんだな
「『さて、次はどこから狙われるのかしら?』」
「こっちからだよ『蜃気楼』」
「『目くらましね』」
「そうだよ『炎の舞』」
「『「蟲の世界」』」
また、頭が痛くなってくる。いや、でもまだ少しは動けるか?…そうだ。一か八か音の速度を超えてみるか?音を置き去りにすればきっとこの攻撃も効かないはず…さすがにそれはそもそも体がもたないか。僕ができるのは人間を超えた動きまでで人体そのものを破壊する行動をとることができるわけじゃないからな
「『あら?少し動きが乱れたわよ?』」
「僕が援護する『火の領域』」
クレアの『領域』によって幾分和らいだ。これくらいなら、問題なく行ける。そしてそろそろいい感じの速度になってきたので…
「『さっきよりは速いけど、まだね「蟲翅」』」
「なんでっ…」
読み合いには勝ったと思ったのに…またしても防がれてしまう。これは、読み合いに負けたということなのか?いや、今度こそ、今度は間髪を入れずに攻撃を仕掛ける。さっきはきっと時間をかけすぎたせいで相手に警戒心を産ませてしまったからに違いない。でもだから逆に今回は時間をかなり短めにする。連続で攻撃が来るとは思っていないだろうから
「『ふふっ』」
「なんで『炎の剣』」
クレアが剣を作り出して援護してくれてもそれさえも全て躱されてしまう。僕の攻撃だけでなくクレアの攻撃さえも見切っているというのか。
『相変わらずふざけた反射神経よね』
「『ええ、「色眼鏡」…なかなか素敵な魔法でしょう?』」
『感知して動くことができるのが異常なのよ』
「僕らの動きを読んでいるわけではなく、僕らの動きを見て対応できているというのか」
「『そうよ…私の瞬発力を超えたいなら…そうね、音速は超えないと無理よ』」
そういえば虫の速度ってかなり速いんだっけ?おまけにトンボとかはかなり観察力がすごいらしいし、高速で動きながら獲物を見つけて狩ることができるんだっけな。でも…音速を超えることができるのならあいつの反応速度を超えることができるのか。なら、試してみるのもアリかな?
「まだまだ…っ!」
『ミライ!』
「『あら、もう動き回ることを止めたの?』」
理性が急速に働いて動きを制限する。『電気鎧・第三形態』を発動していても最後の理性だけは働くみたいだ。正確には自分で意識して止めるような感じか。確かにこれ以上は無理だ。イフリートの警告で体がかなりやばいことになっていることに気がついた。足の骨が間違いなく曲がっている。かなりの速度で走っている反動をもろに受けてしまったみたいだ。これ以上続けていたら間違いなく再起不能になっていただろう。その事実に僕はかなり恐怖する。危ない。本当に自分の限界に挑戦する感じだった。
「助かった…」
『だから言わんこっちゃないわ。慣れない魔法を使ってはダメよ』
「わかったよ『電気鎧・第三形態』」
さすがにこれは反省しないといけないな。というわけで使い慣れている魔法だけを使うことにしますかね。この状態でも結構戦うことできるし
「『ふーん、さっきのはもう終わりなのね』」
「結構体張ってるのにほとんどダメージ与えることができなかった…」
『多分あなた一人なら死んでもそんなにできないでしょうね』
「悲しいこと言うなって」
「…イフリート、力を貸して」
『ええ、もちろんよ』
僕とクレアだけでなく、さらにイフリートも加わって僕らはあいつに挑む。それに、思い出した。今ここには頼れる先輩たちがいるじゃないか。なんか相手は僕ら相手にそこまで本気を出していないみたいだし、先輩たちが勝まで耐えるようにすればきっと…。本来なら自分たちだけでやりたいけどわがままをいうことはやめよう。なんとしても、僕らは勝たなければならないのだから
「ミライ!」
クレアの警告の意味はわかっている。『電気鎧・第三形態』と『電気鎧・第五形態』の合わせ技。体への負担がかなりヤバイことぐらいはわかる。人間が普段から自分が傷つかないようにかけているセーブを取っ払う『第三形態』だけでなく人間では出すことのできない力を引き出させる『第五形態』を同時に使うわけだから
『そういうんじゃないわ。あんたまだ使い慣れていない魔法を無理やり発動してるでしょ』
確かにまだ使い慣れていないからどんな風に使えばいいのかわからないことも多い。でも、それじゃあだめなんでしょ?いま、こいつを打ち破るためには新しい何かが必要だ。そのためには新しいことにどんどん挑戦していかなくてはならない。たとえ自分がどれだけ傷つくことになろうとも
「それじゃあ、いくよ」
「『ふふっ、私を楽しませてね』」
僕はあいつに向かって走りだす『領域』内を走る限り僕の速度はどんどん早くなっていく…あ、そうだ。一回やってみたかったことをやってみよう
「『あら、私の周りをぐるぐる回るなんて…』」
よくアニメとかでかなりスピードが速い人がやっている人の周りをぐるぐるするやつ。かなり速い速度で走り回ることによってアニメではよく白い渦みたいな感じで表現することが多いあれ。それを自分でもやってみたくてさ。普通なら足とかに限界を感じてしまうのだろうけどいまの僕ならその感覚はない。文字通り、足がちぎれるまで僕は走ることができる。
「『よく目が回らないわね』」
「…援護するよ『火の玉』」
「『ふうん、それで私の注意を逸らす気ね。でも残念「蜂群」』」
あいつの周囲に黒い塊が大量に生み出される。そして同時にあたりにかなり大きな羽音が響き始めた。このうるさくてちょっと気持ちが悪い音は…よくテレビとかで蜂特集をしている時とかに聞く音だ。魔法の名前のように蜂を召喚したのだろうか
「『これこそ飛んで火に入る夏の虫、よね…実際は逆だけど』」
「それは…わかんないだろ」
そして蜂たちはクレアが産み出した火の玉とぶつかって死んでいく。でも、油断してるな?
「ここだ!」
「『あら、残念』」
「くっ」
まじかよ。いまあいつはクレアに集中していたはずなのに。どうして…おまけに僕は今あいつの視界から外れたところを狙ったはずなんだけど。死角となる真後ろから狙ったはずなのに…もしかして読まれていたのか?確かに後ろからの攻撃はありきたりすぎるか
「それならっ」
今度は横から…と見せかけてもう一度後ろから狙う。後ろから失敗したとなれば次は横からと考えるのが普通だ。だからそこの逆をついて後ろから攻撃する。でも油断してはいけない。さっきよりもっと溜めて速度を上げて攻撃に移ろう。
攻撃の瞬間うまい具合に電流の向きを切り替えることができなかったみたいで僕の速度は一時的に低下してしまった。やっぱり円運動とかをしている時の方が速度を上げやすい。なんとかトロンっていうのは確かに理にかなっているんだな
「『さて、次はどこから狙われるのかしら?』」
「こっちからだよ『蜃気楼』」
「『目くらましね』」
「そうだよ『炎の舞』」
「『「蟲の世界」』」
また、頭が痛くなってくる。いや、でもまだ少しは動けるか?…そうだ。一か八か音の速度を超えてみるか?音を置き去りにすればきっとこの攻撃も効かないはず…さすがにそれはそもそも体がもたないか。僕ができるのは人間を超えた動きまでで人体そのものを破壊する行動をとることができるわけじゃないからな
「『あら?少し動きが乱れたわよ?』」
「僕が援護する『火の領域』」
クレアの『領域』によって幾分和らいだ。これくらいなら、問題なく行ける。そしてそろそろいい感じの速度になってきたので…
「『さっきよりは速いけど、まだね「蟲翅」』」
「なんでっ…」
読み合いには勝ったと思ったのに…またしても防がれてしまう。これは、読み合いに負けたということなのか?いや、今度こそ、今度は間髪を入れずに攻撃を仕掛ける。さっきはきっと時間をかけすぎたせいで相手に警戒心を産ませてしまったからに違いない。でもだから逆に今回は時間をかなり短めにする。連続で攻撃が来るとは思っていないだろうから
「『ふふっ』」
「なんで『炎の剣』」
クレアが剣を作り出して援護してくれてもそれさえも全て躱されてしまう。僕の攻撃だけでなくクレアの攻撃さえも見切っているというのか。
『相変わらずふざけた反射神経よね』
「『ええ、「色眼鏡」…なかなか素敵な魔法でしょう?』」
『感知して動くことができるのが異常なのよ』
「僕らの動きを読んでいるわけではなく、僕らの動きを見て対応できているというのか」
「『そうよ…私の瞬発力を超えたいなら…そうね、音速は超えないと無理よ』」
そういえば虫の速度ってかなり速いんだっけ?おまけにトンボとかはかなり観察力がすごいらしいし、高速で動きながら獲物を見つけて狩ることができるんだっけな。でも…音速を超えることができるのならあいつの反応速度を超えることができるのか。なら、試してみるのもアリかな?
「まだまだ…っ!」
『ミライ!』
「『あら、もう動き回ることを止めたの?』」
理性が急速に働いて動きを制限する。『電気鎧・第三形態』を発動していても最後の理性だけは働くみたいだ。正確には自分で意識して止めるような感じか。確かにこれ以上は無理だ。イフリートの警告で体がかなりやばいことになっていることに気がついた。足の骨が間違いなく曲がっている。かなりの速度で走っている反動をもろに受けてしまったみたいだ。これ以上続けていたら間違いなく再起不能になっていただろう。その事実に僕はかなり恐怖する。危ない。本当に自分の限界に挑戦する感じだった。
「助かった…」
『だから言わんこっちゃないわ。慣れない魔法を使ってはダメよ』
「わかったよ『電気鎧・第三形態』」
さすがにこれは反省しないといけないな。というわけで使い慣れている魔法だけを使うことにしますかね。この状態でも結構戦うことできるし
「『ふーん、さっきのはもう終わりなのね』」
「結構体張ってるのにほとんどダメージ与えることができなかった…」
『多分あなた一人なら死んでもそんなにできないでしょうね』
「悲しいこと言うなって」
「…イフリート、力を貸して」
『ええ、もちろんよ』
僕とクレアだけでなく、さらにイフリートも加わって僕らはあいつに挑む。それに、思い出した。今ここには頼れる先輩たちがいるじゃないか。なんか相手は僕ら相手にそこまで本気を出していないみたいだし、先輩たちが勝まで耐えるようにすればきっと…。本来なら自分たちだけでやりたいけどわがままをいうことはやめよう。なんとしても、僕らは勝たなければならないのだから
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